(本記事は、野村 絵理奈氏の著書『オンラインで伝える力』の中から一部を抜粋・編集しています)
オンラインでは、〝気持ち〟が伝わりにくい?
オンラインというツールに慣れ始めた今、多くの人が抱えているのがオンラインでのコミュニケーションに対する不安や悩みです。
仕事上のオンラインコミュニケーションに関して最も多い悩みは、「非対面のやりとりは、相手の気持ちがわかりにくく不安」というものでした。
また、「上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安」「出社する同僚の業務負担が増えていないか不安」「相談しにくいと思われていないか不安」「仕事を頼みにくいと思われていないか不安」「出社する同僚から仕事がやりにくいと思われていないか不安」といったものも、「相手の気持ちがわかりにくい」ことと「自分の気持ちを伝えにくい」ことに起因するものであると考えられます。
つまり、テレワークを支えるオンラインコミュニケーションでは、「相手がどんな気持ちでその言葉を発しているのか」「自分の発言を相手がどういう気持ちで受け取っているのか」がわかりにくいため、多くの人が、「相手が本当はどう思っているのか」「自分は本当はどう思われているのか」に頭を悩ませているのです。
また、「テレワークの課題」の調査結果では「業務上の指示ややりとりに支障がある」「他のメンバーに仕事を頼みにくい」「チームに一体感が感じられない」など、コミュニケーションに関わる課題を多くの人が挙げています。
「指示ややりとりに支障がある」というのは、伝えられる情報に限りがあるオンライン上でのやり取りで、相手の指示と自分の理解の間にギャップが生じていないかと不安を感じたり、逆に自分の指示がうまく相手に伝えられないと感じている人が多いということでしょう。さらに、オンラインに表示されるステータスだけでは、その相手が仕事を頼める状況なのかどうかがわからず、その結果、「他のメンバーに仕事を頼みにくい」という事態に陥ることも想像できます。
また、「チームに一体感がない」というのは、物理的に顔を合わせる時間が少ないぶん、相手の感情にふれることが難しくなったからだと考えられます。これらの課題からは、コミュニケーションの量と質の低下により「相手の気持ちが受け取りにくくなった」と多くの人が感じていることがわかります。