ブリッジ・シー・キャピタル(東京都中央区)が運営する不動産投資型クラウドファンディングサービス「CREAL(クリアル)」。コロナ禍で営業継続が難しくなったホテルをオフィスに改装するプロジェクトである「第34号上野オフィスプロジェクトファンド」のファンド出資者の募集を11月10日に開始し、20日に満額調達完了となった。

ホテル,営業継続困難

コロナ禍でホテル逆風

 このホテル物件は「Q Stay and lounge上野」。「CREAL」上で今年1月に募集した案件だった。「社交型コンテンツホステル」というコンセプトで展開。AIを用いた多言語同時翻訳チャット「Kotozna Group Chat」を導入して、多言語での対面のコミュニケーションを可能にした。また共有スペースには東京藝術大学の学生をはじめとした若者層のアート作品を展示するなど、ホステルとして先進的な取り組みが注目されていた。しかし2、3月に新型コロナが直撃。主要なターゲットとして考えていた訪日観光客はストップ。1月オープンのためコロナ関連補助金を受けられず事業継続が難しくなった。
 ブリッジ・シー・キャピタル代表取締役の横田大造氏は「ホテルファンドとして期待していただいた投資家もいらっしゃるなかで、どのようにしてホテルを再生していくかが課題となっていました」と振り返ったうえで、「コロナ禍のなかでの不動産需要や立地などを精査して、この不動産の最有効利用についてホテルありきの検討ではなく、ゼロから考え直すことから始め、再生プランを練っていきました」と話す。そのなかで着想したプランがオフィスへのコンバージョンだった。

コミュニケーションを重視したオフィスに

 横田氏は新型コロナを経てからのオフィス市況について「ウィズコロナを意識したオフィスへのニーズが高くなっています」と指摘する。テレワークや在宅勤務が広がった4~5月、ワーカーがオフィスから離れる動きがでた。コミュニケーションツールとしてオンライン会議サービスやチャットツールなどが注目を浴びたものの、それらに依存することの限界も見えてきたのが直近の状況。感染予防対策を施しながらも、社員間や取引先などとのリアルなコミュニケーションがとれるオフィスへのニーズが強まっている。
 「当社が『CREAL』上で今年6月に募集したファンドである両国のオフィスビルの案件ではテナント退去後のリノベーション施策としてセットアップオフィスを手掛けました。テナントにとっては初期コストを抑えられるため人気が高く、運用面では家具・什器を用意することで賃料の上昇要因になります。このビルでは相場に比べて、3割ほど高い賃料水準にできました」(横田氏)
 上野の案件では1階にカフェを設けてコミュニケーションを促進し、オフィスフロアではデスクに仕切りを設ける一方で、オンライン会議向けのいわゆる「おひとり様用ブース」も多数用意した。加えて、フリーアドレスを採用し柔軟にスペースを利用することができる。コンバージョン完了後の来年2月以降はブリッジ・シー・キャピタルをはじめとしたグループ会社が最初に入居しファンドへのリターンの安定を図る。その後は自社利用で1棟利用を希望する企業への売却や純投資としてオフィスビルへの投資を検討している事業法人および不動産会社へ売却の方向で出口戦略を探る。

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