東京五輪,予算
(画像=takadahirohito/stock.adobe.com)

2020年春、同年夏開催の東京五輪が新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって1年の延期が決定されました。その決定から約1年が経過した2021年1月、再び緊急事態宣言が発出され、2021年夏の開催も危ぶまれています。15日には米有力紙・ニューヨーク・タイムズが「東京五輪は中止の可能性」と報じました。日本と米国、欧州主要国で感染拡大が続き、国際オリンピック委員会(IOC)らの間で、安全な五輪開催は不可能との声が出ていることが理由といいます。感染症対策のために東京五輪の大会予算が大きく膨らみ、仮に開催となってもオリンピック史上もっとも経費のかかる大会になりそうです。

約3,000億の経費増が決定

2019年12月、東京五輪の最終予算として出された案では、開催費の総額は1兆3,500億円とされていました。その後大会の延期が決定され2020年12月に新たに出された予算案では、2019年12月に算出された予算の約3,000億円増の1兆6,440億円になったことを東京2020組織委員会が公表しました。

オリンピック史上初となる大会の延期に史上最大の費用額。何かと話題になる東京五輪、なぜこのように予算が膨らんでしまったのでしょうか。

なぜ予算が増額した?

東京2020組織委員会は延期を踏まえて大会を簡素化し経費の削減を図るとしながらも、延期によって生じた追加経費に加え、新型コロナウイルス感染症対策関連費も計上しています。

チケットの払い戻しのためのシステム費用、選手村の維持管理費用、広告代理店との契約延長費用なども含まれており、それにともない東京都が負担する費用額も1,050億円増額されています。

五輪開催は中止の意見も

予算が膨らむ東京五輪については、本当に開催するべきなのか疑問の声も上がっています。日本と米国、欧州主要国では感染拡大が続き、国際オリンピック委員会のディック・パウンド委員は開催に「確信が持てない」と述べています。

新型コロナウイルスは、感染拡大から1年を経過しても収まるどころかさらに広がり、国内でも連日のように新規陽性者数の最大数を更新しています。国外では新型コロナウイルスの変異ウイルスが猛威を振るい始めており、「対策をすれば安全」という状況ではありません。

お金も健康も財産

緊急事態宣言が再び発出される以前から、国内の移動すら控える方が多くいたはずです。新型コロナウイルスが収まらない状況下で、多くの人が国を超えて移動する五輪の開催に反対する意見が出るのもうなずけます。

東京五輪の予算が増額されていることに加え、新型コロナウイルスのリスクがより増すかもしれない状況に不安を覚える方も多いでしょう。お金と健康、どちらも人間社会で暮らす人々には欠かせない財産です。東京五輪はどうなるのか、私たちは注意深く情報を集めていく必要がありそうです。

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