「北海道に新幹線がやってくる」と道民が湧いた2016年。函館と青森を結ぶ新たな交通手段として登場した、「北海道新幹線車両H5系」をデザインしたグッズが数多く発売されるなど、北海道には新幹線の歓迎ムードが漂っていました。「次は札幌へ」とはやる市民の期待を背負いながらも、JR側は大きな課題に直面しているといいます。
待ち望んでいた北海道新幹線の開業と札幌延伸
2016年3月、北海道にはじめての新幹線が登場し道民は期待に湧きました。ところが、5年経った2021年の今でも函館―青森間でしかその姿を見ることができないため、北海道新幹線をその目で見た道民はそれほど多くありません。
かねてより、北海道新幹線は函館から札幌に延伸する計画があり、2030年には函館―札幌間を走る新幹線の姿を見られる予定です。
現在の工事状況は
函館から札幌まで線路を延長する、その距離はなんと約212キロメートルもあります。この区間内に設置される駅は函館側から新八雲駅(仮称)、長万部(おしゃまんべ)駅、倶知安(くっちゃん)駅、新小樽駅(仮称)4つです。
複数の地区・区間でトンネル工事が同時に行われており、すでに掘削が完了したトンネルもありますが、未着手の工事もあります。トンネル工事の進捗率は全体で39.9%(2021年4月時点)。数字を見ると一見順調なように思えますが、札幌側のトンネル工事で排出される土の受け入れ地が決まらないために思うように進んでいないというのが現在の状況です。
市民は残土受け入れに不安の声
トンネル工事の掘削後に出る土の受け入れ先が見つからないのには理由があります。トンネルの建設時には、基準を上回る重金属が含まれているため、残土の受け入れ候補として挙げられている複数の地区の住民から反発の声が上がっているのです。
重金属を含む残土の処分方法等については住民向けの説明会が開かれているものの、住民の懸念は払しょくされていません。「周辺の農作物への風評被害があるのでは」と不安を隠せない様子です。
札幌側のトンネルは残土の受け入れ地を確保できないことから、2工区で着工が2年遅れています。
残土の受け入れ問題は札幌だけでなく、新函館北斗駅側でも発生しています。こちらは高濃度のヒ素を含む土の受け入れ先が決まっておらず、一部区間で掘削が中止されている状況です。
住民の理解得ずして新幹線の延伸ならず
重金属やヒ素が含まれる残土「要対策土」の受け入れ先が決まらないことには、工事も進まずあわせて開業時期も後ろにずれこんでいきます。
とはいえ、開業優先で住民の理解を得られないまま工事を進めていけば、開業早々に住民の「北海道新幹線離れ」が起こってしまう可能性もあります。受け入れ候補地の住民に対する丁寧な説明を繰り返すほかありません。
札幌に新幹線が姿を見せるのは、一体いつになるのでしょうか。
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