インスペクションの説明義務化で不動産取引はどう変わる?
(画像=Unuchko Veronika/Shutterstock.com)

2018年4月1日の改正宅建業法の施行により、中古不動産の媒介契約時においてインスペクション(建物状況調査)に関する説明が義務化されました。もちろん、インスペクションの実施自体が義務化されたわけではないものの、この施行によって不動産投資を取り巻く環境はどのように変化していくのか、考えてみましょう。

インスペクションとは?

インスペクションとは、「建物状況調査」のことです。建築士などの専門資格を有する人間が、「建物の構造上安全性に問題がないかどうか」「雨漏り・水漏れの有無、給水管などに劣化が発生していないか」などを診断するもので、目視可能な範囲に限られています。インスペクションを正しく行うことによって、不動産の売り主・買い主双方にとって安心な不動産取引を行うことが期待できるでしょう。さらに、売買後のトラブルも未然に防ぐことができる効果もあります。

説明義務化の趣旨

インスペクションに関する説明が義務化された背景には、「中古住宅の取引をもっと活性化させたい」という政府の考えがあるといえるでしょう。宅建業法の改正前は、「不動産取引において中古住宅に関する質的な信頼性をいかに担保するのか」という点が大きな課題でした。新築住宅と違って、中古住宅は劣化が進行している場合が多いため、特に建物の基礎部分や壁の内側、給排水管などの「見えない部分」に何かしらの不具合が発生している可能性があります。

中古住宅を購入しようと考えている方にとっては、「物件の不具合について十二分に把握することがないまま物件購入を決めなければならない」という不利な場面が散見されていました。インスペクションの説明義務化は、売り主・買い主双方にとってのこうした不動産取引の不安を払しょくする狙いもあるのです。

説明義務化によりどう変わる?

では、インスペクションの説明義務化によって、これからの不動産取引はどのように変化していくのでしょうか。

買い主にとって十二分な購入検討材料が与えられる

インスペクションの実施有無を透明化することによって、買い主は購入検討中の不動産の状況を的確に把握する機会が得られます。つまり、中古住宅の購入前に十二分な購入検討材料が与えられることによって、より不動産購入に踏み切りやすくなることが期待できるでしょう。

売買後のトラブルを抑止することが可能

不動産購入前に、インスペクションの実施有無を把握し、実施している場合はその内容を的確に把握することによって、売買後のトラブルを未然に防ぐ効果があります。「言った」「言わない」「聞いていない」といったトラブルを回避することができるのです。

インスペクションによって安全性が証明された物件は評価されやすい

売買前にインスペクションをしっかりと実施している物件は、専門資格を持ったプロによる「お墨付き」が得られたことと同義のため、「付加価値が付けられた」という見方をすることもできます。売り主にとっては、インスペクションを正しく行うことによって、買い主に物件をアピールするための材料を得ることができるでしょう。

建物に不具合がある場合、売却するのに不利に働く

インスペクションによって、建物の安全性に問題がないことが証明された場合は、買い主に対するプラスのアピール材料になります。しかし、見えない箇所に何かしらの不具合が所見された場合、その情報は売買契約締結前の重要事項説明の際、確実に買い主へ通知しなければいけません。そのため、購買意欲を低下させてしまう可能性もあります。

ただし、問題のある箇所を明確にして「どの箇所にどの程度の補修が必要か」という部分についてきちんと説明することによって、「買い主が建物補修に関して見通しを立てやすくなる」という見方もあります。

インスペクションでより安心できる不動産取引を

インスペクションの義務化によって、より透明度の高い不動産取引が可能になりました。中古住宅は、新築住宅と比較しても建物の各所に不具合が発生している可能性が高いため、インスペクションの存在価値は非常に大きなものがあるといえるでしょう。不動産取引時には、こうした項目にも目を配り、適切な判断ができるようにしておく必要があります。