大口の資産運用に適したVWAPギャランティ取引とブロック取引
(画像=nartawut/Shutterstock.com)

株式などの取引は成行価格や指値で注文することが一般的ですが、VWAP(売買高加重平均価格)を基準に注文を行う方法もあります。こうしたVWAPギャランティ取引やブロック取引と呼ばれる方法には、大口投資に適しているのが特徴です。以下では、これらの取引の仕組みや特徴について解説していきます。

VWAPギャランティ取引とは

VWAPとは「Volume Weighted Average Price」の略で、出来高加重平均価格のことを指します。株価はいつの時点を基準とするかによってさまざまなものが考えられます。たとえば、日々の株価はその日における最終の取引価格である「終値」として公表されるのが一般的です。VWAPは一時点の価格ではなく、終日、あるいは前場や後場において成立した各取引価格にその出来高(売買高)を乗じることにより加重平均した価格です。

たとえば終値のように特定の時点だけを基準とした価格は、その瞬間だけの取引により、たまたま乱高下することがありますが、VWAPは出来高を加味しているため、より実態に近い価格と表現することができます。VWAPギャランティ取引は、このVWAPを基準に注文を行う方法です。

VWAP取引やブロック取引は大口投資に適した方法

証券会社を通じて株式の売買注文を出す際、売買価格を特に指定しない「成行注文」や売買価格を指定する「指値注文」とするのが一般的です。VWAPギャランティ取引では、VWAPを基準にする点では「指値注文」に似ていますが、証券会社を通じて市場で株式を売買するのではなく、証券会社が直接の取引相手となる「相対取引」となる点が異なります。

またVWAPは証券取引所などにおける通常の立会取引が終了したあとに算定されるものです。そのため、VWAPギャランティ取引は時間外の取引である「立会外取引」として行われます。なお、証券会社を通じて、主に立会外取引として行われる相対取引を「ブロック取引」といいます。ブロック取引では、必ずしも証券会社が直接の相手方とはならず、また価格もVWAPが基準になるとは限りません。

VWAPギャランティ取引やブロック取引は立会外取引であるため、「大量に取引を行っても市場に大きなインパクトを与えずに済む」というメリットがあります。そのため大口投資には適した方法といえるでしょう。特にVWAPギャランティ取引では、証券会社が取引の相手方となることから売買成立の可能性が高い傾向です。

またVWAPを基準にするため「株価変動や売買のタイミングを注視しておく必要がない」というメリットもあります。

実際にVWAP取引を始めるには?

VWAPギャランティ取引は、さまざまな金融商品について行うことのできる方法ですが、一般には証券会社が株式を対象に提供している取引形態を指します。そのため実際にVWAPギャランティ取引を始めるには、VWAPギャランティ取引を提供している証券会社に申し込むことが必要です。取引条件や取扱銘柄は証券会社により異なります。

しかし東京証券取引所に上場する銘柄のうち証券会社が選定した銘柄を対象とし、ToSTNeT(Tokyo Stock Exchange Trading NeTwork System)と呼ばれる立会外取引で約定させるのが一般的な方法です。取引価格はVWAPそのものではなく、証券会社の手数料に相当する一定のスプレッドが加算されます。また最低取引金額が設けられているため、そのような条件をよくチェックしておくことが重要です。

現代の市場環境にも適したVWAP取引

近年、株式市場では自動化による高速取引が一般的なものとなり、株価が瞬時に大きく変動することが多くなったといわれています。そうした環境では、特に一定期間におけるVWAPを基準とした立会外取引であるVWAPギャランティ取引の利用価値は高いといえるでしょう。大口金額での投資や資産運用を考えている人は、「VWAPギャランティ取引やブロック取引という選択肢もある」ということを念頭に株式投資の戦略を検討してみてはいかがでしょうか。

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