金投資がにわかに注目を集めている理由と投資家にとっての魅力
(画像=vetre/Shutterstock.com)
田中タスク
田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

金投資が、にわかに注目を集めています。多くの方々にとって金とは貴金属の代表格であり、古くから富や権力の象徴とされてきた存在です。そんな金投資になぜ注目が集まっているのでしょうか。投資家や資産を保有している方々にとって重要なのは、資産をいかに増やすかという「攻め」と、保有している資産の価値をいかに維持するかという「守り」です。

この両者のうち、資産を保有している人たちにとっての金投資には「守り」の効果が期待できます。なぜ金に資産を守る効果があるのか、そしてここまで守りの資産である金に注目が集まっているのかについて、金投資を始める具体的な方法も含めて解説します。

投資家にとっての金とは

日本語では貨幣のことを「お金」と呼びます。この金という文字が、貴金属の金に由来していることは容易に想像がつきます。このことからも分かるように、金は古代から高い価値を持つ財産として人類を魅了してきました。もちろん今もその価値は失われておらず、金は高値で取引されています。2019年7月現在では1グラムあたり5,000円を超える価格で取引されており、緩やかな上昇傾向です。

投資家にとっての金とはインフレに強い安定した現物資産の代表格であるため、経済情勢が不安定になると資産を金に換える動きが起きやすくなります。つまり経済の先行きに不透明感が増すと金相場が上昇するという相関関係があります。

金投資が注目されている理由

昨今の金相場上昇には、いくつかの要因が考えられます。その中で主なものを挙げてみると、以下のようになります。

  • 貿易の保護主義台頭や地政学リスクなどによって金への資金逃避が続いている
  • 中国やインドなどの新興国で金の需要が旺盛になっている
  • アメリカが金本位制への復帰に言及している
  • 主要国が利下げを実行、もしくは示唆している

米中貿易戦争に代表されるように、自国の利益を最優先する保護主義的な動きが世界各国で起きています。こうした動きは世界経済の成長鈍化や不安定化を想起させるため、安定資産である金への資金逃避が起きるのは自然な流れです。現実味は薄いもののアメリカが金本位制への復帰に言及したのも、こうした流れを受けて基軸通貨ドルの地位を確実にする狙いがあるものと思われます。

また中国やインドなど人口の多い新興国で宝飾品や産業分野での金需要が高まっており、このことも金相場を押し上げる要因となっています。

金投資を始める具体的な方法

資産防衛の観点から金投資を始めたいと思ったときに、今すぐ実践できる主な方法は3つあります。

①金地金を購入する
貴金属販売会社で取り扱っている金地金(きんじがね)を購入するのが、最も確実かつ分かりやすい方法です。インゴットと呼ばれる金の塊を金庫に保管しているシーンが映画などに描写されることがありますが、これが金地金です。金地金の購入は黄金に輝く金を保有しているという精神的充足は得られます。

しかし売買手数料が高く、盗難のリスクを考えるとセキュリティの観点からもコストがかさむ方法です。

②純金積立
貴金属販売会社や証券会社には、純金積立という金融商品があります。毎月一定額を金の購入に充て、それを積み立てていくことで金を積み立てたのと同じ効果が期待できるのです。少額から金投資を始めることができ、「管理保管料が原則としてかからない」などコスト面での優位性がありますが、毎月の積立時に金を購入するため、「その都度手数料がかかる」というデメリットもあります。

③金ETFを購入する
ETFというのは、証券取引所に上場されている投資信託のことです。株や不動産などさまざまなETFがありますが、その中に金ETFと呼ばれる金価格と連動するように運用されている投資信託があります。金価格と連動しているため、金価格の上昇によって値上がり益を狙うことができるでしょう。現金資産を金資産に換えて安全を確保するというヘッジ効果もあります。

つまり金ETFを保有することで、実質的に金を保有しているのと同じ効果が得られます。金ETFは投資信託なので、少額からの積立投資も可能です。それだけなら純金積立と同じですが、金ETFは現物の金取引よりも手数料が安く保管料も不要ということでコストを低く抑えられるメリットがあります。証券取引所で取引されているため、金ETFは株式と同じ感覚で証券会社の口座で売買が可能です。

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