不動産オーナーとしては、入居者に気持ちよく暮らしてもらいたいのが本音です。しかし集合住宅である限り、近隣トラブルの発生をゼロにすることはできません。どのような近隣トラブルが多く、どんな対処をするべきでしょうか。
多いトラブルは騒音、マナー違反、ペット
近隣トラブルのケースとして多いのは「騒音」「マナー違反」「ペット」などの問題です。集合住宅は壁や天井・床を挟んで隣人と隣り合っている環境ですから、どうしても生活音は聞こえてきます。それが過度な音でなければ、お互い様といえますし、大きな問題になることは少ないでしょう。しかし音の発生する時間帯や程度、頻度、音の種類によっては生活に支障をきたすと感じる人も増えてきます。マナー違反といっても内容はさまざまです。
- 廊下などの共用部に荷物を置く
- 自転車・自動車などを所定の位置にきちんと置かない
- ゴミの不始末
- 室内やベランダへゴミを放置して悪臭を発生させるなど
ペットに関しては、「そもそもペット禁止物件なのにペットを飼う」という違反行為を犯す入居者もいます。またペット可の物件であったとしても鳴き声や足音、糞などによる悪臭で近隣に迷惑をかける人などあげればきりがありません。
まずは管理会社に相談する
隣人トラブルの発生を知ったとき、オーナーとしてはどのように対応すればいいのでしょうか。当事者同士で話し合って解決してくれれば助かりますが、そううまくはいきません。管理会社に管理を任せている場合、クレームが管理会社に行き、そこで問題の発生を知ることになるでしょう。対応についても管理会社と協議しつつ進めていくことになります。
例えば騒音トラブルなら両者の生活時間帯の相違が迷惑に感じる原因ということも少なくありません。音の発生元である入居者に夜遅い時間帯は、足音を立てたり大きな声で話したりすることを控えてもらうようにお願いするべきでしょう。「洗濯機やオーディオの音がうるさい」といった場合には、振動を軽減するゴムやマットを機械の下に敷いてもらうといった対応で解決できることもあります。
同時に迷惑を被っていると訴えてきた入居者に対しても集合住宅である以上、お互いに多少の我慢は必要であると理解してもらうことも大切です。ペット禁止物件でのペット飼育やゴミの不始末などマナー違反というよりもルール違反の場合には、毅然とした対応をする必要があります。口頭や手紙での注意、施設内への張り紙などを行い、ルールの遵守を繰り返し求めていきましょう。
退去だけでなく、事件に発展するケースも
隣人トラブルでの懸念材料は、放っておくと入居者の退去に発展するということです。一部の不届き者のために、優良な入居者が退去してしまうのは、オーナーとしても釈然としない気持ちになります。そうならないためにも早急な対応をする必要があるのです。場合によっては事件に発展するケースもあります。
例えば騒音に感じている人が、騒音の発生元の入居者に対して怒りに任せて怒鳴り込んだり、暴力を奮ったりする可能性もあるのです。
- 役所に相談してみる
- 弁護士や法律相談に相談してみる
- 警察に相談してみる
- 監視カメラや張り紙を活用する
- 自ら見回りをするなど
上記のようなあらゆる手立てを使って問題が大きくなる前に解決を図るべきでしょう。迷惑行為の程度がひどい場合には、オーナーが賃借人に対して更新拒絶や解約解除を通告することもできます。真面目に暮らしている入居者の生活を守るためには、厳しい決断をすることも大切なのです。
オーナーが損害賠償されるケースも
オーナーは入居者に対して生活するのに適した環境を提供することが義務です。迷惑行為を行った入居者に対して改善措置などを要求せず放置した場合には、他の入居者から損害賠償請求がされることも考えられます。例えば過去に真上の部屋に粗暴な性格の入居者が住んでおり、近隣に怒鳴り込んだり暴力を奮ったりを繰り返しているにもかかわらずオーナーが対応しなかったという事例がありました。
判例の中にはオーナーが契約解除などの対策を取らなかったことに対して入居者が損害賠償請求をし、賠償責任が認められたケースもあります。そのような事態にならないためにも、早めの対応が賢明といえるでしょう。
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