2017~2018年にかけて日本国内で発生した「仮想通貨ブーム」。その代表格であるビットコインは、2017年の終わりに大台となる200万円(1ビットコインあたり)を突破しました。その結果、多額の資金を投資していた人は資産を大きく拡大させ、メディアなどで“億り人”ともてはやされるなど社会現象にまで発展。
しかしブームというのはあくまでも一過性のものです。事実、200万円という最高値を記録したビットコインは、2018年に入るとまたたく間に下落します。2018年の終わりごろには、1ビットコインあたり約30万円にまで急降下していきました。その影響もあり仮想通貨市場が下火になる一方、各業界から仮想通貨に参入する企業が現れるなど、水面下での動きは続いています。その動向について概観してみましょう。
一世を風靡した仮想通貨(暗号資産)の現状
まずは、これまでの経緯についておさらいしておきます。日本をはじめ世界中で仮想通貨の取引が活発に行われるようになると国内での法整備も進んでいきました。2017年4月には仮想通貨に関する新しい制度(改正資金決済法等)が施行されます。「仮想通貨」や「仮想通貨交換業(仮想通貨交換サービス)」の定義が明確になり、また利用者保護の観点から安全に取引するためのルールも明確化されました。
具体的には、仮想通貨交換サービスを行う事業者に対し、以下のような義務が課されています。
1登録制の導入
2利用者への適切な情報提供
3利用者財産の分別管理
4取引時確認の実施
さらに有識者で構成される「仮想通貨交換業等に関する研究会」では、ビットコインをはじめとするインターネット上で取引される仮想通貨を「暗号資産」という呼称に統一する提案もなされました。これはG20の共同声明に合わせたもので“法定通貨”と明確に区別するための施策であるとされています。
仮想通貨は資産になるのか?
このように法整備を含めて社会的な認知とその地位を固めてきた仮想通貨ですが、法定通貨や他のアセットのように“資産”としての活用は進んでいくのでしょうか。実は、市場の停滞とは裏腹に今後を左右するような動きも出てきています。仮想通貨に対する評価と気になる動きについて確認しておきましょう。
仮想通貨に対する認識
仮想通貨への支持が広がった背景には、いわゆる「ブロックチェーン技術」という最先端のテクノロジーが活用されていたことがあります。ブロックチェーンは「分散型台帳技術(分散型ネットワーク)」と呼ばれていることからも明らかなように中核のシステムが監視するのではなく、ネットワーク参加者によって取引の安全性が保たれている点に特徴があります。
しかし仮想通貨ブームを経て、こうした技術的な革新性より投機的側面や金銭的な部分にばかり注目されているのが実情です。
フェイスブックが手掛ける「リブラ」とは
そんな中、SNS大手のフェイスブックが仮想通貨事業への参入を表明。2019年6月に、独自の仮想通貨「Libra(リブラ)」をリリースすると発表したのです。フェイスブックの参入は、世界で20億人を超えるユーザー数がいることに加え、リブラが法定通貨と連動する「ステーブルコイン」であることにも注目が集まっています。
これにより、これまで金融インフラを活用できていなかった幅広い層をもマーケットとして取り込める可能性があるのです。
なぜLINEは仮想通貨取引をはじめたのか
また国内の動きとしては、2019年9月、チャットアプリ大手のLINEが仮想通貨事業への参入を発表しています。具体的には、仮想通貨事業およびブロックチェーン関連事業を展開する関連会社「LVC株式会社」が、資金決済に関する法律に基づく仮想通貨交換業者として正式に登録されています。今後は、チャットサービスに連動した仮想通貨の発行などLINE利用者間での資産のやり取りが活発になるかもしれません。
仮想通貨の可能性と将来性について
リブラは“フェイスブックが手掛ける仮想通貨”ということで話題になっています。しかし2019年10月、電子決済大手の米ペイパル・ホールディングスが、運営団体である「リブラ協会」への加盟を見送ると表明しました。加えて各国の金融当局も懸念を示していることからサービス開始の2020年までに大きな動きがあるかもしれません。他の仮想通貨とともに今後の動向を注視しておきましょう。
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