ハイリスク・ハイリターン投資とは?代表的な方法5選やポートフォリオの考え方
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ハイリスク・ハイリターン投資というと、「危険なので手を出してはいけない」というイメージをお持ちの人も多いのではないでしょうか。一方で、資金の一部をハイリスク・ハイリターン投資に回すことで、「運用効率を上げる」効果も期待できます。ここでは、ハイリスク・ハイリターン投資の代表的な方法やポートフォリオの考え方について解説します。

目次

  1. 金融商品においては「ハイリスク=値動きが大きい」
  2. ハイリスク・ハイリターン投資5選
  3. ハイリスクハイリターン投資はポートフォリオの一部にするのが賢明

金融商品においては「ハイリスク=値動きが大きい」

一般的にリスクという言葉には「危険」という意味があります。そのため、「ハイリスク投資=避けるべき」というイメージを持ちやすいのですが、金融商品におけるリスクとは「振れ幅(値動き)の大きさ」のことを指します。

つまり、ハイリスクとは、値上がりや値下がりの幅が大きいということになります。

ローリスク:値上がり幅と値下がり幅の振れ幅が小さい(×安全の意味ではない)
ハイリスク:値上がり幅と値下がり幅の振れ幅が大きい(×危険の意味ではない)
ミドルリスク:両者の中間

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ハイリスク・ハイリターン投資5選

本項ではハイリスク・ハイリターン投資として、次の5種類を紹介していきます。

  1. アクティブファンド投資
  2. 小型株投資
  3. エンジェル投資
  4. 暗号資産投資
  5. レバレッジ投資

それぞれの特徴やどういった銘柄があるのかを確認していきましょう。

※本稿はこれらの商品や銘柄を推奨するものではありません。購入により元本割れ、または元本を上回る損失が発生する可能性があります。ご自身の判断と責任に基づいて慎重に運用をしてください。

1.アクティブファンド投資

投資信託は分散投資の効果があるため、ローリスク・ローリターン(またはミドルリスク・ミドルリターン)の商品と考える人も多いかもしれません。しかし、選択する銘柄によってはハイリスク・ハイリターンのファンドもあり、その一つがアクティブファンドです。

投資信託は投資手法によって、インデックスファンドとアクティブファンドに大別されます。

インデックスファンド・指数(インデックス)に連動するパフォーマンスを目指す
・手数料が安い傾向
アクティブファンド・指数を上回るパフォーマンスを目指す
・手数料が高い傾向

アクティブファンドの中でも注目度の高いテーマを設定した銘柄は、リターンが年率50%を超えるケースも散見されます。以下は、その一例です。

ファンド名運用会社年率リターン
野村世界業種別
(世界半導体株投資)
野村アセット70.38%
日経平均高配当利回り株ファンド三菱UFJアセット61.65%
iFreeNEXT FANG+インデックス大和アセット58.91%
※日本経済新聞「投信ランキング(2023年10月 22日付)」を基に筆者が作成
※上記の表内の「年率リターン」とは、分配金再投資ベースでの基準価額の上昇率を示します。

2.小型株投資

時価総額が少ない上場企業に投資する小型株投資もハイリスク・ハイリターンの投資といえます。
比較的少ない投資金額であっても株価が大きく動きやすく、好決算などの材料をきっかけに短期間で株価が急騰するケースも少なくありません。「テンバガー(10倍株)」となるのも小型株が

の言葉がある通り、ハイリスク・ハイリターンの代表である株式投資では株価が急騰しやすい銘柄の条件でよく挙げられるのは「小型株であること(時価総額が少ないこと)」ですが、他にも以下のような条件が聞かれます。

銘柄選定はご自身でリサーチして判断するのが賢明です。証券会社が提供しているスクリーニング(銘柄条件検索)を使えば手軽にできますので、直近大きく値上がりした銘柄を抽出し、値上がりの要因を分析し、自身の銘柄選定に役立てると良いでしょう。
検索の一例(直近1年の値上がり率上位の銘柄)は次の通りです。

銘柄名(証券コード)市場値上がり率
アジャイルメディア・ネット (6573)東証グロース812.00%
ニチリョク (7578)東証スタンダード406.96%
内海造船 (7018)東証スタンダード376.87%
ビューティー花壇(3041)東証スタンダード355.64%
海帆(3133)東証グロース313.70%
※楽天証券スーパースクリーナー(2023年10月 22日)の検索結果を基に筆者が作成

3.エンジェル投資

ハイリスク・ハイリターン投資の選択肢では、自身が注目するベンチャー企業(未上場株)を見つけて投資を行うエンジェル投資もあります。

投資した企業が急成長して、まとまった配当金を出せるようになったり、上場(IPO)に成功したりすれば、メガリターンを得ることも可能です。

エンジェル投資は、未上場企業への投資をテーマにした「株式投資型クラウドファンディング」のプラットフォーム(FUNDINNOなど)を利用すれば比較的手軽に始めることができます。

4.暗号資産

暗号資産も、値動きが大きく、ハイリスク・ハイリターンのとうしです。

ちなみに直近のチャートでは、2023年1月に1Bitcoin 220万円を切りましたが、本稿執筆時点(2023年10月22日時点)では450万円まで急騰しています。
参照:ビットフライヤー 「ビットコイン(Bitcoin)/日本円のチャート」

今後の暗号資産のトピックスでは、世界最大の資産運用会社ブラックロックなどがSEC(米証券取引委員会)にビットコインを使ったETF(上場投資信託)の申請を行っています(執筆時点)。この申請が承認されれば、「暗号資産に大きな値動きがあるのでは?」との見解もあります。

5.レバレッジ型投(FX、レバレッジETF、信用取引など)

FX、レバレッジETF、株式の信用取引はいずれも「担保となる証拠金(保証金)にレバレッジをかけられる」という共通点のあるハイリスク・ハイリターン商品です。 投資におけるレバレッジとは証拠金よりも大きな倍率で取引ができることで、商品ごとに投資倍率が異なります。

投資商品最大のレバレッジ率
FX25倍
レバレッジETF銘柄によって異なる
例:日経レバETF=日経平均の騰落率の2倍
信用取引(株式)3.3倍
※金融機関や取引形態によっては、上記のレバレッジ率以下のこともあります。

レバレッジ商品を利用する際の注意点は、レバレッジ率や投資金額に余裕をもたせることです。一例では、レバレッジ型の商品で運用するのは、金融資産の総額の数%程度に抑えれば暴落しても損失のダメージは限定的です。

ハイリスクハイリターン投資はポートフォリオの一部にするのが賢明

ハイリスク・ハイリターンの投資商品は、まさに「諸刃の剣」です。うまく利用すれば運用効率を高める反面、大きく資産を減らしてしまう可能性もあります。

ハイリスク・ハイリターン投資の賢い考え方は、ローリスクやミドルリスクの商品を交えながら、ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ、資産配分)を組むことです。一例は次の通りです。

分類投資商品例全体に占める割合例
ローリスク・ローリターン定期預金
個人国債
60%
ミドルリスク・ミドルリターンインデックスファンド
REIT
不動産クラウドファンディング
37%
ハイリスク・ハイリターン小型株投資
暗号資産
3%

上記のようにハイリスク・ハイリターン投資の割合が低ければ、仮に小型株投資の対象企業が破綻したり、暗号資産が急落したりしてもポートフォリオ全体に与える影響は限定的です。

上記の投資商品に補足をすると、通常、リスクとリターンは相関関係にありますが、「不動産クラウドファンディング」に限っては、その法則が当てはまらないケースもあります。空室や売却損で損失が発生しても、その一部を軽減してくれる「優先劣後方式」を採用しているファンドが多いからです。

この方式を採用しているファンドは、「ミドルリスク・ハイリターン(またはローリスク・ミドルリターン)」のケースもあります。「優先劣後方式」について、詳しく知りたい人は下記の関連記事もご参照ください。

関連記事:不動産クラウドファンディング選びで「優先劣後方式」を重視すべき理由

本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

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