社債の利回りってどれくらい?金利との関係や価格の変動要因を解説
(画像=Dzmitry/stock.adobe.com)

社債は、民間企業が発行する債券で国債や地方債などよりも高い利回りに設定されているのが特徴です。しかしなかには「公的機関が発行する債券との違いがよくわからない」という人もいるのではないでしょうか。

本記事では、社債の概要や利回りについて解説しながら、債券の代替商品として注目されている不動産クラウドファンディングについても紹介します。

目次

  1. 社債とは
  2. 債券価格が変動する要因
  3. 債券の利率と利回りの違い
  4. 社債の平均利回りはどれくらい?
  5. 債券の代替として有効な不動産クラウドファンディング
  6. 社債と不動産クラウドファンディングは安全性では共通している

社債とは

社債とは、企業が発行する債券です。投資家が発行企業に資金を出資し、企業は満期になったら元本と約束された利息を付けて償還します。満期まで保有した場合は、額面で払い戻されますが、償還前に中途売却する場合はそのときの金利や発行体の信用力によって利益または損失が出たりします。また、社債は原則として元本保証ではありません。

社債は、国内だけでなく金融機関を中心とした海外の社債に投資することも可能です。国内社債より高利回りなのが魅力ですが、為替変動リスクがあることは念頭に置いておきましょう。

債券価格が変動する要因

債券価格は、いくつかの要因で変動します。なかでも金利と発行体の信用力は、大きな変動要因となります。

金利

基本的に債券価格は、金利と連動して上下します。債券価格と金利は逆相関の関係にあり、金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる仕組みです。これは、金利が下がると新たに発行する債券(新発債)の利率も低く設定されることになり、より金利の高い古い債券(既発債)の価値が上がるためです。

逆に金利が上がると新発債の利率も上がるため、金利が低い既発債の価値が下がり価格も低下します。

信用力

発行体の信用力も変動要因の一つです。投資家は、満期になれば元本と利息が償還されることを前提に投資しています。ただし発行体に財政危機があると償還の時期が遅れたり、最悪の場合は債務不履行になる恐れがあります。例えば、2023年に発生した中国の不動産大手「中国恒大集団」の米ドル建て債券の債務不履行は良く知られたケースでしょう。

財務内容の良い発行体の債券は、格付けも高く信用度が増すことから価格が上昇しますが、財務内容が悪化して格付けが下がった債券は信用度も下がるため、価格が下落します。

債券の利率と利回りの違い

既発債は、債券価格の変動によって利回りが変わるため、利率だけでなく利回りを確認して投資を判断することが重要です。債券の募集要項に記載される利率と、実勢価格を反映した利回りの違いについて確認しておきましょう。

利率とは

利率とは、額面金額に対して年間で受け取れる利息の割合のことです。例えば利率3%の債券を新発債で買った場合は、満期まで保有すれば元本に約束された3%の利息を加えた金額が償還されます。そのため価格の変動を受けずに決まった利率で利息を得たい場合は、売り出し中の新発債を買うことが必要です。

利回りとは

利回りとは、投資した金額に対して得られる利息と年間収益の割合のことです。既発債を市場で買う場合は額面金額で買えるとは限らず、額面1万円の債券を9,500円で買うこともあれば、1万500円で買うこともあります。そのようなケースでは、額面金額の利率だけ見ても収益を判断することができません。

そこで投資した金額に対する利回りで計算すると、9,500円で買った場合は額面利率より利回りが高くなり、1万500円で買った場合は額面利率より利回りが低くなることがわかります。

社債の平均利回りはどれくらい?

国内債券は、日銀による低金利政策の影響で長らく低利回りが続いています。例えば個人向け国債の変動10年の利率は0.60%(税引前、2023年11月7日~30日募集分)です。その他の債券もおおむね1%以下の利率が目立ち、現状は円建て債券で利率3%以上の商品を探すことは難しいといえるでしょう。

一方で社債の平均利回りは、高めの傾向が見られます。「CAPITAL EYE」の調べによると、2023年3月31日~10月13日の期間に条件設定された個人向け社債の平均表面利率は約1.15%です。社債の利率は、公的機関が発行する債券に比べてかなり高いことがわかります。それでも利率3%以上の社債を探すのは容易ではありません。

債券の代替として有効な不動産クラウドファンディング

上述しているように債券は、安全性が高いものの相対的に利回りが低い傾向です。かといって高配当を行う株式は値下がりリスクが大きく不安と感じている人もいるかもしれません。そのような人におすすめなのが不動産クラウドファンディングです。ここでは、債券の代替として有効な不動産クラウドファンディングについて解説します。

不動産クラウドファンディングとは

不動産クラウドファンディングは、運営事業者がインターネット上のサイトで募集しているファンドに投資家が出資し、不動産運用で得られた収益から分配金を受け取る不動産小口化商品です。主に以下のような理由から近年投資家の間で不動産クラウドファンディングの人気が高まっています。

  • 1万円という少額から投資できる
  • リスク対策がしっかりしている
  • ローリスクのわりに想定利回りが高い など

ただ人気がある先着式のファンドの場合、募集開始後すぐに満口になり買えないケースが多い点はデメリットです。抽選式のファンドも応募者が多ければ抽選倍率が高くなり、買えない可能性が高くなります。

不動産クラウドファンディングの平均利回り

不動産クラウドファンディングの利回りは、おおむね3~8%程度といわれています。運営事業者やファンドによって利回りは異なりますが、「不動産テックラボ」の調べによると主要30社の平均想定利回りは約4.72%(2023年11月24日現在、各運営事業者の直近10案件の平均)でした。社債と比べても圧倒的に高い利回りであることがわかります。

不動産クラウドファンディングの収益シミュレーション

実際に不動産クラウドファンディングに投資して得られる収益をシミュレーションしてみましょう。上記平均利回りに近い、想定利回り5.0%のファンドの例で計算します。

【計算例】
ファンド名:わかちあいファンド「京都宝ヶ池②」
運用期間:12ヵ月
投資金額:10万円

  • 税引前収益:5,000円
  • 源泉徴収税:△1,021円
  • 税引後収益:3,979円

運用期間がちょうど1年となるため、税引き後で年利回り3.979%となります。手取りで4%に近いので、債券の代替としては十分な利回りといってよいでしょう。

社債と不動産クラウドファンディングは安全性では共通している

社債と不動産クラウドファンディングに共通しているのは、安全性の高さです。社債は、元本が保証されていませんが、例えばトヨタ自動車が発行する社債が予定どおり償還できないことは考えにくいため、優良企業の社債を新発債で購入する場合は元本保証に近い投資が期待できます。

不動産クラウドファンディングも社債同様に元本保証ではありません。しかし以下の制度を導入しているファンドなら、元本割れするリスクは極めて低いといえます。

  • 優先劣後方式
    万一売却損が出た場合に運営事業者があらかじめ定められた範囲内で損失を負担する方式

  • マスターリース契約
    空室保証によってあらかじめ契約した家賃収入を確保できる契約

どちらも安全性が高いですが、両者の最も大きな違いは利回り水準です。債券の利回りが物足りないと感じた人は、不動産クラウドファンディングの比較サイトにアクセスして、高利回りファンドの内容を確認してみてはいかがでしょうか。

不動産クラウドファンディングの比較サイトはこちら

※本記事は2023年11月24日現在の情報を基に構成しています。記事中で紹介したファンドや利回りは一例ですので、参考程度にお考えください。

丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

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