国際送金に特化するリップル(WRP)  その特徴や将来性についてわかりやすく解説!
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

XRP(リップル)は、主要な暗号資産(仮想通貨)の一つです。暗号資産としてメジャーなものとしては、ビットコインがあります。しかしXRPは、ビットコインとは仕組みが異なり国際送金の課題解決に特化しているのが大きな特徴です。今回は、XRPの基本情報やメリット・デメリット、将来性について解説します。

XRPとは

XRPとは、2004年にリップル社(米国)が開発した国際送金のプラットフォーム「RippleNet」上で使用される仮想通貨のことです。プラットフォームの名称が「リップル」で、そのプラットフォーム上で使われる通貨が「XRP(エックスアールピー)」ですが一般的にはどちらもリップルと呼ばれます。XRPの基本情報は、以下の通りです。

仮想通貨名エックスアールピー(XRP)
開発者リップル社
コンセンサスアルゴリズムXRP LCP
発行上限1,000億XRP
時価総額
(2021年6月18日12時30分時点)
約4兆2,712億円(第7位)
1XRP当たりの価格
(2021年6月18日12時30分時点)
約92.44円

XRPは「XRP LCP(XRP Ledger Consensus Protocol)」という独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しておりビットコインとは取引承認の仕組みが異なります。発行上限枚数は1,000億XRPですべての通貨が発行済です。XRPの時価総額は、2020年6月ごろまでは、ビットコインやイーサリアムに次ぐ第3位を堅持していました。しかし2021年6月18日時点では第7位まで下がっています。

XRPの価格は、2020年9月ごろ25円前後で推移していましたが2021年に入ってから上昇し、同年5月には200円に迫る場面もありました。その後は下落し2021年6月18日時点では約92.44円で取引されています。

XRPの特徴

ここでは、XRPの特徴について確認していきましょう。

国際送金に特化している(ブリッジ通貨)

XRPは、国際送金の課題を解決するために開発された仮想通貨です。従来の国際送金は、複数の銀行を経由するため手数料が高く送金完了までに時間がかかるのが課題でした。XRPでは、3~5秒に1回のペースで取引の承認が行われます。XRPを法定通貨間のブリッジ通貨として活用することで従来よりもコストを下げながら高速での国際送金が可能となります。

リップル社により管理されている

ビットコインをはじめとする仮想通貨の多くは、中央管理者が存在しません。意思決定や仕様変更などが必要な場合は、不特定多数の参加者同士で決めていくのが特徴です。一方、XRPはリップル社によって管理されており発行済通貨の半分以上をリップル社が保有していることから中央集権的な仮想通貨といえます。

XRPは、中央管理者がいない他の仮想通貨に比べると意思決定のスピードが早くなる点がメリットです。しかし一部の仮想通貨支持者は、中央集権的な仕組みを問題視しており「XRPは仮想通貨ではない」という意見もあります。

「XRP Leader」という独自システムが使われている

ビットコインは、ブロックチェーンによって取引履歴が分散管理されており、ブロックチェーンの場合、取引を承認するためにマイニング(仮想通貨の採掘)が行われます。一方XRPでは、ブロックチェーンではなく「XRP Leader」という独自システムが使われていることが特徴です。XRPは、すべての通貨がすでに発行されておりマイニング作業は必要ありません。

取引の承認は、バリデーターと呼ばれる承認者が行っておりビットコインのように誰でも参加できるわけではないことも特徴の一つです。マイニングのような複雑な計算が必要ないため、取引の高速処理が可能でコストも抑えられます。

マイニングや半減期がない

ビットコインのように発行上限枚数が決まっている仮想通貨は、半減期が設定されています。半減期とは、マイニング時の報酬が半分になる時期のことです。半減期を迎えて通貨の供給量が減ると、価格が不安定になる可能性があります。XRPは、発行上限枚数がすべて発行済のため、マイニングも半減期もありません。

ロックアップにより通貨供給量が管理されている

リップル社では、大量のXRPを保有していますが一度に大量のXRPを売却すると価格が不安定になる恐れがあります。そのため2017年にリップル社が保有する550億枚のXRPがロックアップされました。ロックアップとは、XRPの供給量を管理する仕組みのことでロックアップされている間リップル社はXRPを自由に動かすことができません。

ロックアップによって毎月市場に供給されるXRPに制限を設けることで市場の安定化を図っています。

XRPのメリット

XRPのメリットは、主に以下の2つです。

国際送金の課題を解決できる

XRPは、国際送金の「送金スピードが遅い」「コストが高い」という課題を解決できるのが最大のメリットです。リップル社の国際送金プラットフォーム「RippleNet」では、約4秒の速さで国際送金が行えるといわれています。また従来よりも大幅に手数料を抑えられる点もメリットです。例えば「日本円をXRPに変換して送付し宛先側でXRPを米ドルに戻して受取人に転送する」ということもできます。

XRPが異なる通貨を橋渡しするブリッジの役割を果たすことで高速・低コストでの国際送金が可能になるのです。

世界中の金融機関と提携している

リップル社の国際送金プラットフォーム「RippleNet」には、世界中の金融機関が参加しています。日本では、「三菱UFJ銀行」「SBIホールディングス」といった大手金融機関がリップル社と提携。XRPは、国際送金の課題を解決できることに加えてリップル社という中央管理者が存在していることが参加企業に安心感を与えていると考えられます。

今後もリップル社と提携する金融機関が増加すればXRPの国際送金への実用化が期待できるでしょう。

XRPのデメリット・課題

XRPは、リップル社が管理・運営を行っているため、当然リップル社が倒産するリスクもあります。リップル社の業績が悪化し倒産するようなことがあればXRPの価値は下落(またはゼロ)になり大きな損失が生じかねません。XRPでは、バリデーターが取引の承認を行いますが悪意のあるバリデーターが結託した場合、台帳やデータが改ざんされるリスクがある点はデメリットです。

またソフトウェアに不具合が生じれば取引の承認に遅延が生じて価格が不安定になる可能性も考えられます。

XRPの将来性について

国際送金は、世界で1万を超える金融機関が加盟している「SWIFT(国際銀行間通信協会)」が主流で大きなシェアを占めています。国際送金でXRPが使われるには、SWIFTとのシェア争いに勝たなくてはなりません。XRPは、ブリッジ通貨として国際送金の課題を解決する役割が期待されています。世界中の金融機関がRippleNetに参加しXRPの普及が進めばXRPの価値は向上するかもしれません。

ただし今後もSWIFTによる国際送金が主流の状態が続きXRPの実用化が進まなければXRPの価格が大きく下落する可能性もあります。

XRPに投資する方法

XRPに投資するには、XRPを取り扱っている仮想通貨取引所で口座開設が必要です。国内の主要な取引所では、XRPの取引ができますが取引形式(販売所または取引所)や手数料などは、取引所によって異なります。一般的には、取引所を相手に取引する「販売所」よりも投資家同士で取引を行う「取引所」のほうが安い値段で購入可能です。

XRPを安く購入したい場合は、取引所形式で売買できる取引所を選びましょう。また入出金手数料や売買手数料は、投資成果に影響を与えるため、なるべく手数料が安い取引所を選ぶことも大切です。

まとめ

XRPは、国際送金の課題解決に特化した仮想通貨です。法定通貨間のブリッジ通貨として活用することで従来よりも高速・低コストでの国際送金が可能となります。またリップル社という中央管理者が存在しブロックチェーンが使われているビットコインとは仕組みが異なることも大きな特徴です。将来性を感じるならXRPへの投資を検討してみてはいかがでしょうか。

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