不動産投資を検討する際、イニシャルコストに目が行きがちですが、賃貸物件を運営した後のランニングコストも無視できません。大きなランニングコストの一つとなるのが「固定資産税」です。賃貸用の土地や建物を購入した場合、自宅を購入したときと同じく、毎年固定資産税を払うことになります。今回は不動産投資で知っておきたい固定資産税の基礎知識について解説します。
固定資産税とは
固定資産税とは、一戸建てやマンションなどの建物や土地、事業用の機械や備品などといった償却資産などについて課される税金です。マンションについては、その持ち分に応じて、建物・土地の両方の固定資産税を払う必要があります。
納税義務者は所有者
固定資産税の納税義務者は建物や土地の所有者であり、使用者ではありません。毎年1月1日(課税の基準日)、各自治体の固定資産台帳にその固定資産の所有者として登録されている人に納付書が送られます。年の途中に引っ越しなどで固定資産を譲渡したとしても、その年の1月1日にその固定資産を保有していた人に納税義務があるのです。
そのため、年の途中で一戸建てやマンションの売買が行われた場合には、買い手が日割り計算で固定資産税を売り主に支払うことが不動産業界の慣習となっています。
年に4回の支払い
固定資産税の納付期限は原則として「4月・7月・12月・2月」となっていますが、自治体ごとに納付期限を定めることもできます。また、全期全納として一括で支払うことも可能です。たとえば、東京都23区(※)における2019年度の固定資産税の納期・納期限は次のようになっています。
第1期 納期は2019年6月1日~7月1日(納付期限は7月1日)
第2期 納期は2019年9月1日~9月30日(納付期限は9月30日)
第3期 納期は2019年12月1日~12月27日(納付期限は12月27日)
第4期 納期は2020年2月1日~3月2日(納付期限は3月2日)
※通常、固定資産税の納付先は市区町村ですが、東京都23区内については特例で東京都に納付することとなっています。
固定資産税は、所得税などと異なり各自治体が固定資産の価格や納税額を計算し、納税者に通知する「賦課課税方式」となっています。そのため、毎年固定資産税の納付書が送られてきます。こちらに納期限が記載されているので確認してみるとよいでしょう。
対象は土地・建物・償却資産
不動産投資における固定資産税の課税対象はおおよそ次のようになります。
- 土地:賃貸物件が建っている土地
- 建物:賃貸物件である家屋やマンションの部屋
- 償却資産:土地・建物以外で、事業の用に供することができるものを含み、20万円未満の一括償却資産や少額減価償却資産を除きます。
なお、不動産賃貸物件については、マンションや一戸建てという「建物」とそれらが建っている「土地」などに分け、それぞれに固定資産税が課されます。
固定資産税は必要経費になる
賃貸物件である建物や土地についての固定資産税は、賃貸事業の必要経費になります。ただし、賃貸物件の一部を自身の居住用など事業目的以外で使用している場合には、事業用部分に対応するもののみが必要経費となります。なお、必要経費する際の勘定科目は「租税公課」です。
固定資産税の計算方法
ここからは、固定資産税の計算方法についてみていきます。
計算式
固定資産税の計算式は、「固定資産税評価額×1.4%(税率)」です。なお、1.4%という税率は標準税率であり、市町村によっては異なることがあります。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは、固定資産税の課税基準となる評価額です。なお、固定資産税評価額は登録免許税や不動産取得税の課税標準ともなっています。
土地の固定資産税評価額
土地の固定資産税評価額は、「公示価格の70%程度」とされています。具体的には、土地の用途や状況に応じて主要な街路に路線価を付し、土地が狭いか広すぎるかなどを考慮して土地の価値を算出する「路線価方式」を採用しているのが一般的です。なお、マンションなどの区分所有の建物が建っている土地については、持ち主の専有部分に応じた税額が土地の固定資産税として課されることとなります。
建物の固定資産税評価額
建物の場合は、「同じ建物をもう一度、建てた場合にかかる費用」をベースに決定されますが、経年劣化を考慮して算出すべきものとされています。建物の固定資産税評価額は大体建築費の50~70%に落ち着くのが一般的です。具体的な計算式は次のようになっています。
「評価額=再建築価格(※1)×経年減点補正率(※2)×床面積×評点1点あたりの価額(※3)」
※1同じ建物を建てた場合にかかる建築費
※2使用年数に応じた家屋の価値の減少率
※3「1円×物価水準による補正率×設計管理等による補正率」
なお、区分所有のマンションについてはその専有部分について固定資産税が課税されます。ただし、同じ間取りで同じ面積であれば、階数に関係なく評価額も同じになります。
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