不動産投資家のみなさんは、「路線価」という言葉をニュースで聞いたことがあるかと思います。路線価は、土地に関する税金に大きな影響を与えます。今回は、路線価についてわかりやすく解説します。
不動産投資をするなら路線価を知るべし
不動産投資をするなら、路線価は意識しておいたほうがいいでしょう。土地に関する税金に大きく関係する要素だからです。
土地の売買は売り手と買い手双方が合意した価格で行われますが、課税の場面では路線価が指標となります。土地の売買価格が路線価で評価した金額よりもあまりに低い場合には、みなし贈与として贈与税が課されることになります(目安としては80%前後の乖離)。
路線価が重要なのは、売買の場面だけではありません。土地を購入すると、毎年固定資産税がかかります。土地の相続税額のシミュレーションや対策を考えるなら、その土地の相続税評価額を知る必要があります。そして、固定資産税・相続税・贈与税の計算には路線価が用いられるのです。
「路線価とは何か」がわかっていれば、どのタイミングでどの程度の税金が発生するかを把握したり、無駄な税金を省いたり、事前に節税(納税)対策を講じたりすることができます。
路線価とは何か
路線価は土地の価格の指標の一つで、道路(路線)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額のことです。これは、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公示する「公示地価」が基準となっています。
路線価が用いられるのは、固定資産税・相続税・贈与税など、土地をはじめとする資産に担税力を求める税目です。なぜこれらの税目では路線価が基準になるのでしょうか。それは、課税の場面では客観性が重視されるからです。
前述の通り、実際の土地の売買では当事者双方の合意価格が売買価格の目安となります。つまり、主観的な価格で取引されるということです。一般的に親子など親族間での土地の取引価格は、他人同士の取引価格よりも低くなる傾向があります。
一方で、課税では公平性が求められます。同じエリアにある土地で、売買当事者同士で決めた価格という主観的要素をもとに課税を行ってしまうと、同程度の価値がある2つの土地の税額が異なるという不公平が生じてしまいます。よって、課税においてはこのような主観的要素を排除しなくてはなりません。
このように、課税の公平性を保つ意味で路線価は非常に重要なのです。
路線価図の見方
路線価は路線価図で知ることができます。ここではざっくりとした見方をご紹介します。
路線価の表示は「千円単位」
路線価は千円単位で表示されます。路線価図を見ると、道路に一つづつ数字とアルファベットがついています。たとえば、「180D」と書いてあったら「この道路に面している土地の1平方メートルあたりの価額は18万円」という意味です。
アルファベットは借地権割合を示す
各路線価の右隣に書かれているA~Gまでのアルファベットは、借地権割合を示します。それぞれの借地権割合は以下の通りです。
A:90%
B:80%
C:70%
D:60%
E:50%
F:40%
G:30%
先ほどの「180D」借地権割合は60%です。
税金との関係
一口に路線価といっても、税目によって内容が異なります。不動産投資家が知っておくべきこととしては、固定資産税の算出に用いられる路線価と、相続税・贈与税のそれとの違いです。
固定資産税
固定資産税は土地や建物、償却資産など有形の固定資産に課される地方税です。固定資産税の課税標準となる金額計算の指標の一つとして路線価が用いられます。前述の公示地価の7割程度を目安として算出され、市町村長(東京23区については東京都知事)が決定します。なお、固定資産税での路線価の見直しは3年に1度となっています。これは、行政機関の固定資産税の計算の負担を軽減するためです。
固定資産税路線価は、市区町村や東京都の資産税課のほか、資産評価システム研究センターのウェブサイト「全国地価マップ」でも確認できます。
相続税・贈与税
相続税は亡くなった人から承継した資産に、贈与税は生きている人から無償で受け取った資産に課される国税です。相続税・贈与税では、市街地など道路に面している土地については、路線価方式で評価する必要があります。
相続税・贈与税での路線価は、前述の公示地価の8割程度を目安として国税局・税務署が算出します。毎年7月1日に国税庁が発表する路線価は、その年の1月1日時点のものです。
相続税・贈与税での路線価の見直しは、毎年行われます。その背景には、土地の財産価値が流動的であることと、適正な申告納税を国民に行ってほしいという税務当局の意図があります。
相続税・贈与税の課税対象となる財産の評価額は、時価を基準としています。土地の財産価値は毎年変わるので、納税者に適正な評価額・課税額で申告をしてもらうためには、毎年適正な路線価を算出する必要があるのです。
なお、相続税・贈与税の路線価は、各税務署のほか、国税庁のウェブサイトでも閲覧できます。
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