コロナショック,REIT
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田中タスク
田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

REITとは、不動産投資信託のことです。REITの中で東証に上場されている銘柄群のことをJ-REITといいますが、2020年3月に起きたコロナショックでは、株の暴落に伴ってJ-REITも軒並み暴落しました。

コロナショックで経済の先行き不透明感が増したからといって、不動産の需要が直ちになくなるわけではありません。しかしJ-REITは上場されている金融商品であることもあって、株につられる形で売りが殺到したのです。

J-REIT全体の値動きを示す指数である東証REIT指数を見ると、2月21日には2,275の高値をつけていましたが、3月19日は1,138まで急落、ほぼ半値になってしまいました。

しかし個々の銘柄を見てみると、J-REITのすべてが暴落したままになっているわけではなく、一部には回復する強さが見られる銘柄もあります。このような二極化が起きた理由と、それを踏まえた2020年6月以降のJ-REIT投資戦略を考察してみたいと思います。

目次

  1. コロナショックで明暗が分かれたJ-REIT
  2. 二極化が起きた理由
  3. アフターコロナのJ-REIT投資戦略で留意したい3点
  4. まとめ

コロナショックで明暗が分かれたJ-REIT

J-REITには、NAV倍率という指標があります。これは株のPBR(株価純資産倍率)に似たもので、J-REIT価格の割高、割安感を判断するために用いられています。

1.0を超えていると割高、下回っていると割安と見ることができるのですが、それを踏まえて2020年6月時点のNAV倍率を見ると、上位は物流施設特化型やそれを含むものや住宅特化型、オフィスビル特化型が大半を占めています。一方でNAV倍率の下位で目立つのが、ホテル特化型や商業施設特化型です。

二極化が起きた理由

これらの傾向から読み取れるのは、典型的なコロナショックの影響です。外出自粛や店舗の営業自粛が求められたことによる消費の低迷、さらに外国人の入国拒否が続いていることによるインバウンド需要の減少によってダメージを受ける小売りやホテル、観光などの業種に関連するJ-REITの価格が下落したままになっています。

物流施設特化型が好調な理由として考えられるのは、外出自粛の長期化に伴う巣ごもり需要の増加です。また、住宅特化型として上位にランクインしている日本アコモデーションファンド投資法人(3226)やコンフォリア・レジデンシャル投資法人(3282)はいずれも東京圏に重点を置く都心型J-REITであり、優良物件の底堅さが改めて評価されたと言えるでしょう。

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    REIT(Real Estate Investment Trust)はアメリカで生まれ、日本ではJAPANの「J」をつけ「J-REIT」と呼ばれています。REITは不動産投資信託で、投資家から集めた資金で不動産に投資し、得た賃料収入等を投資家に分配する金融商品です。2001年、日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人が上場し、J-REITが誕生、以来市場規模を拡大し続けてきました。

アフターコロナのJ-REIT投資戦略で留意したい3点

このような二極化の流れを見ると、東証REIT指数が暴落したからといってJ-REIT全体の投資妙味が薄れてしまったわけではなく、個別銘柄に注目をすると投資価値の高い銘柄があることがおわかりいただけると思います。東証REIT指数が半値戻しと呼べる水準まで回復したのも、このような優良銘柄によるところが大きいと言えます。

二極化の傾向を踏まえて、2020年6月以降のJ-REIT投資戦略を3つのポイントで解説します。

①:物流系は堅調だがすでに高い
巣ごもり需要の増加によって勝ち組と目されている物流施設特化型のJ-REITは優良銘柄と言えますが、すでに投資家から注目されており、それを反映する価格水準になっています。価格が高くなることで分配金利回りが低下しているため、物流系の銘柄を保有する場合は長期保有によって分配金の蓄積を目指すスタンスが有効です。もしくは、価格が下落した際の押し目買い一考の余地があります。

②:ホテル系はハイリスク・ハイリターン
インバウンド需要や国内の観光需要が大きく減少したことで、J-REITの中で最も大きなダメージを受けているのがホテル特化型です。2020年6月現在、ホテル特化型の中で最もNAV倍率が高い星野リゾート・リート投資法人(3287)でも1.0を超えておらず、割安感があるのは事実です。

ただしコロナショックによる影響がいつまで続くかはわからないため、J-REITの中ではハイリスク・ハイリターンと言えるでしょう。ただし、将来の収益回復期待でポートフォリオの一部に組み込むスタンスであれば、面白いかもしれません。

③:都心住居系に伸びしろあり
住居特化型の中でも、東京の都心などに重点を置いている銘柄には底堅さがあると述べました。コロナウイルス感染防止の観点からテレワークの普及や移動の自粛が求められており、その流れは都心住居物件の追い風となります。

住居特化型の中でも、大都市圏の都心に重点を置いている銘柄はすでに高いものが多いですが、長期保有のスタンスであれば、比較的リスクを抑えながら安定的な利回りを確保できる可能性が高いでしょう。

まとめ

全体平均を見ても分配金利回りは4%を超えており、コロナショックにおいても依然としてJ-REITは根強い人気を保っています。不動産という現物資産を運用していることから比較的リスクが低いため、関心をお持ちの方も多いでしょう。ただしJ-REITであれば何でも良いわけではないので、明暗が分かれているカテゴリーの特性を知り、目的に応じたポートフォリオを組むようにしてください。

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