リートの利回りってどれくらい?現物不動産とどちらが有利か
(画像=BlueBeans/stock.adobe.com)
丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

リートは、株式投資のように手軽にできる不動産投資として人気を集めています。しかし具体的にリートはどのような仕組みで投資できるのかご存じでしょうか。本記事では、リートの概要と運用利回りを紹介したうえで現物不動産とどちらが有利なのかについて比較してみます。

J-REITは株式投資と似ている

リート(REIT)とは、Real Estate Investment Trustの略で不動産投資信託のことです。1960年に米国で誕生しましたが、日本では国内法に則って運用されるため、海外のものと区別しJAPANの頭文字を付けてJ-REIT(上場不動産投資信託)と呼ばれています。初めてJ-REITが上場したのは、2001年9月のことです。

J-REITは、不動産投資法人が投資証券を発行し投資家は東京証券取引所に上場している投資証券を購入する仕組みです。投資法人は、投資家から預かった資金を不動産などに投資し物件から得られた家賃収入や売却益などから経費を差し引いて投資家に分配金として支払います。J-REITは、株式投資と同じような仕組みで売買することが可能です。

単元株式のように証券会社ホームページの発注画面から手軽に買付または売却の発注ができます。取引時間も株式と同じです。非上場の株式投資信託は、1日1回しか基準価格が更新されません。しかしJ-REITは、取引時間中常に価格が変動しています。機動的に買付や売却ができるため、株式のようなデイトレードを行うことも可能です。

J-REITはなぜ利回りが高いのか

J-REITの魅力は、一般的な株式銘柄などと比較して利回りが高いことです。株式会社は、企業の業績によって利益剰余金からいくら配当金に回すかは異なります。例えば「利益の50%以上を配当金に回す」「利益の10%程度しか配当しない」「配当自体しない」など企業によってさまざまです。株式会社では、配当金を支払った残りの利益が内部留保となります。

そういった背景もあり東証1部全銘柄の2021年9月時点における加重平均利回りは1.84%という水準にとどまっているのです。一方でJ-REITの投資法人は、利益の90%超を分配金に回すと実質的に法人税がかからない優遇措置を受けることができます。内部留保にはならないため、利益のほとんどを分配金に回すことができるのです。

その結果、J-REITの平均利回りは3.44%(2021年10月15日時点)と東証1部株式銘柄の約1.9倍の高い水準にあります。

J-REIT利回りランキング

高利回りで定評のJ-REITですが各銘柄はどの程度の利回りがあるのでしょうか。ランキングで見てみましょう。2021年10月時点で東京証券取引所には、62銘柄のJ-REITが上場していますが利回り上位10銘柄は以下の通りです。全62銘柄が分配金を支給しており無配法人は一つもありません。このことからも不動産が安定した収益をもたらす投資先ということが分かるのではないでしょうか。

▽J-REIT利回りランキング

順位コード投資法人名利回り
13492タカラレーベン不動産投資法人5.25%
23470マリモ地方創生リート投資法人5.24%
33488ザイマックス・リート投資法人5.12%
43451トーセイ・リート投資法人5.08%
42971エスコンジャパンリート投資法人5.08%
63468スターアジア不動産投資法人5.04%
73453ケネディクス商業リート投資法人4.85%
82972サンケイリアルエステイト投資法人4.84%
93290Oneリート投資法人4.80%
103296日本リート投資法人4.72%

現物不動産とどちらが有利か

J-REITと現物不動産は、どちらが有利なのでしょうか。J-REITのメリットは、少額でも不動産投資ができることです。銘柄によって異なりますが数万円~数十万円で購入できるため、不動産投資の入門編として投資するのに適しています。しかしJ-REITは、リターンが分配金や売却益など株式投資と似通っているため、現物不動産に比べるとメリットは限定的です。

一方、現物不動産には、家賃収入のほかにもさまざまなメリットがあります。特に大きいのが物件購入費用を減価償却で費用にできることです。減価償却は、不動産購入費用のうち建物と建物付属設備(10万円未満の場合は消耗品費)について法定耐用年数で分割して毎年経費として計上することができます。実際に支出のない費用を経費にできることは、大きなメリットです。

また不動産投資ローンを組む際に団体信用生命保険へ加入すれば万一契約者が死亡または高度障害になった場合、残ったローンの返済は保険金と相殺されます。つまり現物不動産は、生命保険代わりになるのです。さらに下落リスクの点でも現物不動産に優位性があります。J-REITは、証券化されているため簡単に換金できる流動性の高さはメリットです。

しかしそれは裏返せば売りが集中したときに価格が急激に下がるリスクを抱えていることにもなります。例えば2020年2~3月に起きたコロナショック時には、株式と同じ売買の仕組みのJ-REITも未曽有の大暴落を記録しました。東証REIT指数で見ると2020年2月21日の2255.72ポイントから2020年3月19日には1138.04ポイントと約50.5%の下落を記録しています。

ところがその間首都圏のマンション賃料は、ほとんど影響を受けなかったのです。株式市場でコロナ暴落が起こる前の2020年1月の首都圏マンション賃料(東京カンテイ調べ)が1平方メートルあたり2,874円だったのに対しコロナ暴落後の2020年4月の賃料は、1平方メートルあたり3,053円とむしろ上昇しています。

証券市場の影響を大きく受けるJ-REITに比べて生活の基本となる住居を扱う現物不動産のほうが下落リスクとしては低いことがうかがえる結果といえるでしょう。

▽J-REITと現物不動産投資の比較

J-REIT不動産投資
投資額少額高額
定期収入分配金家賃
優待制度投資主優待
(企業による)
なし
レバレッジ可能可能
ローンなし不動産投資ローン
保険なし団体信用生命保険
減価償却なしあり

レバレッジ投資なら現物不動産がおすすめ

金融では、レバレッジをかけた投資を行える商品がいくつかあります。特にFX(外国為替証拠金取引)のレバレッジは有名です。株式投資も信用取引口座を開設し利用することで証券会社に預けた資金を担保にして約3.3倍(委託保証金率30%以上)までの取引を行うことができます。J-REITも信用取引の貸借銘柄に入っているため、レバレッジ取引が可能です。

現物不動産も金融機関からの借り入れを活用することでレバレッジをかけることができます。不動産は、好立地物件を取得すれば空室リスクが少なく安定して家賃収入が期待できるでしょう。しかし好立地物件は、価格が高く自己資金だけでは買えない場合もあります。そのようなときに自己資金に加えて金融機関からの借り入れを併用することで表面利回り以上に高い利回りが期待できるのです。

以下の具体例で確認してみましょう。

【自己資金1,500万円でレバレッジを効かせない場合=A】

自己資金1,500万円
借入金0円
年間家賃収入120万円
(毎月10万円×12ヵ月)

→家賃収入利回り:120万円÷1,500万円×=8%

【自己資金1,500万円でレバレッジを効かせた場合=B】

自己資金1,500万円
借入金3,000万円
借入利息約90万円
(30年返済、元利均等、年利3%固定金利で初年度の返済額)
年間家賃収入360万円
(毎月30万円×12ヵ月)

→家賃収入利回り:360万円÷4,500万円×100=8%(表面利回り)
→実質収益:(360万円-約90万円)÷1,500万円×100=18%(自己資金利回り)

AもBも家賃収入の利回りは、8%で同じです。しかし3,000万円を借りて4,500万円の物件を購入したBのケースでは、1,500万円の自己資金で360万円の家賃収入を得たことになるため、借入金の返済を差し引いても18%の自己資金利回りをあげたことになります。この場合のレバレッジは、270万円÷120万円で2.25倍です。

約90万円の利息を払ったとしてもレバレッジをかけない場合より150万円多く利益を得ることができます。J-REITは、投資口価格の変動が大きくレバレッジをかけるのは非常にリスクが高い傾向です。その点現物不動産は、家賃の変動がほとんどなく空室さえ出なければレバレッジ効果を十分に得ることが期待できます。

老後資金を投資で形成するには、長いスパンで考えなければなりません。マンションなどの不動産は、家賃でローンを完済した後、まとまった金額が老後資金として手元に残ります。J-REITもさまざまなメリットがありますが不動産投資の主力にしたいのであれば現物不動産が最適です。現物不動産で安定した家賃収入を得ながら余裕資金でJ-REITを運用するのがベストな形といえるでしょう。

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