投資物件購入時にかかる費用を把握しておこう
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不動産投資で物件を購入すると、さまざまな費用と税金がかかります。投資物件の購入時にかかる費用と税金を把握しておくことで、事前に十分な資金を準備しておくことが可能です。本稿では、投資物件購入時にかかる費用と税金の種類や意味について、具体例を交えてわかりやすく解説します。

<目次>

1.投資物件購入時にかかる費用
1-1.ローン事務取扱手数料
・主な銀行の手数料
1-2.ローン保証料
1-3.火災保険料(地震保険料)
1-4.仲介手数料

2.投資物件購入時にかかる税金
2-1.不動産登記費用
・登録免許税
・司法書士報酬
2-2.各種税金
・不動産取得税
・印紙税
2-3.清算金
・固定資産税
・都市計画税

3. 工夫して初期費用を抑えよう!

1.投資物件購入時にかかる費用

投資物件購入
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投資物件を購入するときは、物件の購入代金の他にもさまざまな費用が発生します。金額が大きいことから、つい投資物件の購入代金に気を取られてしまいがちですが、ランニングコストも決して少なくはありません。不動産投資を成功させ早く軌道に乗せるためにも、投資物件を購入する際の費用について知っておくことが大切です。

1-1.ローン事務取扱手数料

住宅ローンなどを申し込むときに、金融機関に対して報酬として支払うのが「融資事務手数料」です。手数料には「定額型」と「定率型」があります。定額型は、借入額に関係なく一定の金額を支払う方法です。一方の定率型は、借入金額に対して一定の割合で支払う方法ですので、融資総額が多いと手数料も比例して多くなります。

・主な銀行の手数料

主な銀行の融資事務手数料(税込、特記以外は定額型)は次の通りです。

都市銀行ネット銀行
三菱UFJ銀行3万3,000円イオン銀行11万円
みずほ銀行3万3,000円ソニー銀行4万4,000円
三井住友銀行3万3,000円住信SBIネット銀行融資総額の2.2%
りそな銀行3万3,000円楽天銀行フラット35融資総額の1.1%

(2020年4月)

都市銀行は横並びなので、どこで借りても差はありません。問題はネット銀行です。融資総額の何パーセントという銀行もあるため、差がかなり大きくなります。1,000万円を住信SBIネット銀行で借りた場合で22万円、楽天銀行で借りた場合で11万円の事務手数料です。その他の融資条件が異なるため、一概に両行が高いとは限りませんが、定額型のほうが安心であることは確かでしょう。

1-2.ローン保証料

金融機関から借り入れをする際には、保証人を立てる必要があります。不動産投資ローンは金額が多いため、保証会社が保証人になるのが通例です。ローンが返済できなくなった場合を想定して、契約者が負担するのがローン保証料です。

保証料は融資総額に応じて発生するため、数十万円、数百万円になることもあります。保証料の相場ですが、全額を一括で支払うのであれば融資総額の2%程度、あるいは金利に上乗せして支払うのであれば年0.2~0.3%程度といわれています。ローン保証料が不要の会社もあるので、比較する際に検討するとよいでしょう。

1-3.火災保険料(地震保険料)

火災保険料は、不動産のオーナーが負担します。投資物件を購入するときは、ローンを組む時点で火災保険に加入するのが一般的です。火災保険料は鉄筋コンクリートか木造かなど、建物の構造によっても金額が変わります。

1-4.仲介手数料

中古投資物件を購入するときにかかる費用として代表的なのが、不動産仲介会社に支払う仲介手数料です。仲介手数料は、投資物件の購入代金によって宅地建物取引業法で上限が決められています。

売買価格(税込)仲介手数料
200万円以下仲介手数料上限5%
200万円を超える部分~400万円仲介手数料上限4%
400万円を超える部分仲介手数料上限3%

多くの不動産仲介会社は法令で定められた手数料を採用しています。しかし、最近では上限よりも安い手数料の不動産仲介会社も増えてきました。投資物件の購入金額によって手数料は大きな金額になるので、早めに試算して資金を準備しておきましょう。なお、新築マンションや、不動産会社が売り主になっている物件は仲介ではなく販売のため、手数料はかかりません。

【仲介手数料計算例】

上表の手数料基準によって計算した物件価格別の手数料(税抜)は次の通りです。

物件価格計算式手数料
200万円200万円×5%10万円
400万円(200万円×5%)+(200万円×4%)18万円
500万円(200万円×5%)+(200万円×4%)+(100万円×3%)21万円
1,000万円(200万円×5%)+(200万円×4%)+(600万円×3%)36万円
3,000万円(200万円×5%)+(200万円×4%)+(2,600万円×3%)92万円

ほかに400万円を超える物件価格の簡易計算方法として、「物件価格×3%+6万円」という計算式もあります。500万円の場合は、500万円×3%+6万円=21万円で、上表内の計算結果と同じになります。

2.投資物件購入時にかかる税金

投資物件購入
(画像=enciktepstudio/Shutterstock.com)

投資物件の購入時には、次のような費用や税金がかかります。

2-1.不動産登記費用

・登録免許税

不動産を登記するときには、登録免許税がかかります。登録免許税は、土地建物の評価額に2%をかけて計算します。司法書士に登記を依頼する場合は、司法書士報酬などの金額に含まれていることがほとんどです。

内容課税標準税率軽減税率(措法72)
売買不動産の価額1,000分の20令和3年3月31日までの間に登記を受ける場合1,000分の15
相続、法人の合併又は共有物の分割不動産の価額1,000分の4
その他(贈与・交換・収用・競売等)不動産の価額1,000分の20

・司法書士報酬

投資物件を購入したあとの登記を司法書士に依頼する場合、司法書士報酬が発生します。報酬額は2002年の「司法書士法改正」により現在は自由化されていますので、司法書士によって異なります。ただし、「日本司法書士会連合会」の会則では、「司法書士の報酬は、その額や算定方法・諸費用を明示し、依頼者との合意によって決定すること」と定められていますので、話し合いの上納得して合意することが大事です。

司法書士報酬の相場は、登記手続き、取引立会、抵当権設定などを依頼した場合で概ね10万円前後といわれています。

2-2.各種税金

・不動産取得税

税金の中でも金額が大きいのが不動産取得税です。不動産取得税の税額は、

取得した不動産の価格(課税標準)*1×税率*2

という計算式で算出します。

*1 令和3年3月31日までに宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合、当該土地の課税標準額は価格の1/2となります。

*税率は下表の通りです。

取得日土地および家屋(住宅)家屋(非住宅)
平成20年4月1日~令和3年3月31日3/1004/100

不動産取得税は、投資物件の金額に応じて発生するため、数十万円から数百万円になることもあります。
土地が宅地であれば、税金が半額になるなど優遇措置もありますが、早めに試算して資金を準備しておくことが大切です。

建物については、評価額から下表のように一定額が控除されます。

新築日控除額
1997年4月1日以降1,200万円
1989年4月1日~1997年3月31日1,000万円
1985年7月1日~1989年3月31日
1981年7月1日~1985年6月30日
450万円
420万円
1976年1月1日~1981年6月30日350万円
1973年1月1日~1975年12月31日230万円
1964年1月1日~1972年12月31日150万円
1954年7月1日~1963年12月31日100万円

一方、土地は以下のいずれか多い額が控除されます。

A 4万5,000円
B 土地1㎡あたりの価格×1/2×住宅の床面積の2倍(200㎡が限度)×3%

【不動産取得税計算例】

・モデルケース
土地……面積100㎡、評価額1,260万円
建物……延べ床面積90㎡、評価額1,500万円

(1)軽減前の税額を出すために、土地の評価額を1/2にした金額と、建物評価額の両方に3%を掛けます。
土地……1,260万円×1/2×3%=18万円9,000円
建物……1,500万円×3%=45万円
土地と建物を合計すると63万9,000円になります。

(2)土地について、次のうちの多い金額を税額から控除します。
C 4万5,000円
D 1,260万円÷100㎡×1/2×90㎡×2×3%=34万200円(上記B部分の計算式による)

(3)計算の結果、CよりもDの方が多いので、土地の税額18万9,000円-34万200円=税額ゼロとなります。

(4)軽減後の建物は、新築のため1,200万円が控除されますので、(1,500万円-1,200万円)×3%=9万円となります。

計算の結果、控除前の税額63万9,000円が9万円へと、大幅に減額されます。

・印紙税

不動産の売買契約書を作成するときには、印紙税がかかります。印紙の金額は、投資物件の購入金額に応じて定められています。200円の印紙はコンビニでも購入できますが、400円以上の一般的ではない額面はコンビニ等の取り扱い店舗では置いていない場合があります。郵便局では31種類すべての印紙を販売していますので、200円以外の額面を買いたい場合は直接郵便局へ行った方が早いでしょう。

1万円未満非課税5千万円を超え1億円以下6万円
1万円以上10万円以下200円1億円を超え5億円以下10万円
10万円を超え50万円以下400円5億円を超え10億円以下20万円
50万円を超え100万円以下1千円10億円を超え50億円以下40万円
100万円を超え500万円以下2,000円50億円を超えるもの60万円
500万円を超え1千万円以下1万円契約金額の記載のないもの200円
1,000万円を超え5千万円以下2万円

2-3.清算金

・固定資産税

不動産をその年度の1月1日時点で保有している人が支払う税金です。投資物件の購入時には、売買契約を結んだ日を基準として売り手と買い手の間でその年の固定資産税を按分して精算するのが不動産業界の慣例となっています。固定資産税の金額は、事前に確認することもできるので、気になる場合は不動産仲介会社に尋ねてみましょう。

計算式は、固定資産税評価額(土地・建物)×税率1.4%(標準税率)です。

・都市計画税

市街化区域内に土地・建物を所有している人が支払う税金です。都市計画事業・土地区間整理事業の費用に充てられます。固定資産税と同じく、毎年1月1日時点の保有者が課税の対象になります。

計算式は、固定資産税評価額(土地・建物)×税率0.3%(標準税率)です。

3.工夫して初期費用を抑えよう!

ここまで投資物件購入時にかかる諸費用を見てきました。不動産は購入金額が大きいだけに、諸費用の工夫次第で初期費用を抑えることは可能です。チェックする項目をまとめておきましょう。

  • 住宅ローン融資事務手数料は定額型なら都市銀行が安い。ただし、金利はおおむねネット銀行が低い傾向があるので、金利と手数料は総合的に比較する必要がある。金利が低い商品は定率型2.2%に設定されている例が多い。
  • ローン保証料は無料の会社もあるので、比較の際に確認するとよい。
  • 不動産仲介手数料は上限が決っているが、上限より低く設定している会社もある。
  • 司法書士報酬は一律ではない。業務内容は大体同じなので、なるべく安い事務所を探したほうが得。
  • 不動産取得税は計算方法が複雑なので、司法書士または不動産会社に計算を依頼したほうが無難。

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