赤字の東横インと黒字のアパホテル 明暗を分けた投資法とは
(画像=yu_photo/stock.adobe.com)

新型コロナウイルス感染拡大による影響を大きく受けたホテル業ですが、苦境の中でも黒字をキープしたホテルがありました。そのホテルはアパグループ(本社:東京都)が開発・運営する「アパホテル」です。多くのホテル同様、多額の赤字を計上した東横イン(本社:東京都)と、黒字を守るアパホテル。同じ業界にありながら、なぜこのような差が生まれてしまったのでしょうか。

コロナ禍で減益も黒字のアパグループ

アパグループは、2021年2月に2020年11月期連結決算を発表しました。これによると、グループ連結売上高は前期比34.1%減の904億円、経常利益は前期比97.0%の10億円と大幅に収益を落としています。

このような状況下でも、アパグループは業務の見直しやコスト削減の徹底によって9億4,900万円の黒字を確保しています。コロナ禍による外国人観光客の減少や、緊急事態宣言に伴う移動制限など、やむことのない逆風の中でもアパグループは着実に歩みを進めています。

営業を集約中の東横イン

一方の東横インは、2021年3月期の中間決算にて、売上高は約63%マイナスの187億7,600万円、当期純利益で57億3,200万円の赤字を計上しています。

東横インでは、会社側が不動産を所有せず、オーナーが別に存在しています。これはホテル投資ではよくとられている手法で、ホテル会社側はオーナーに一定の賃料を支払う代わりに不動産所有する必要がありません。

通常であれば、この方が不動産を購入するための費用や所有するリスクを低減できる点でホテル側にもメリットがあります。しかし、稼働率が大幅に減ってしまった場合、賃料の負担が大きくのしかかります。

いくらコストをカットしても、一定の支払を求められる賃料によって東横インは赤字に転落してしまったのでしょう。

アパグループも楽観視はできない

現段階では黒字のアパホテルも、新型コロナウイルスの猛威が長期に渡れば赤字に転じる可能性があります。

アパホテルは、前述の東横インとは異なり、不動産を自社で所有しホテルを運営しています。家賃による固定支出は発生しませんが、新型コロナウイルスの影響によって稼働率が低下した状態が続けば黒字を維持するのは難しいかもしれません。

短期的な数字で一喜一憂はできない

ホテル業界はGoToキャンペーンによる観光への需要喚起も思うようにいかず、依然として先行きが不透明なままです。この状況が数年単位で続けば、現在は持ちこたえているホテルの多くが廃業に追い込まれる可能性があります。経営を上向かせるためには、これまでにないアイデアが必要になるでしょう。

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