資産運用のリスク軽減に有効な「ドル・コスト平均法」
(画像=toeytoey/Shutterstock.com)

資産運用と聞いて心配するのは、値下がりによって資産が減ってしまうことでしょう。初めて資産運用する人に向く投資手法に、「ドル・コスト平均法」があります。投資リスク軽減の古典的手法として知られるドル・コスト平均法とは何か、そのメリット・デメリットは?

「ドル・コスト平均法」とは何か

ドル・コスト平均法とは、株式や投資信託などを購入する際、毎回一定金額分を買っていく投資手法のことです。高値の時は少なく買い、安値の時は多く買うことになるので、買いコストを平均化することができます。

投資信託や純金積み立てなど、毎月定額で購入できる商品に向いています。「るいとう(株式累積投資)」という商品を利用すれば、個別株も積み立てで購入できます。

では、ドル・コスト平均法の具体的運用例を見てみましょう。

「ドル・コスト平均法」の具体的運用例

Aという株を、毎月一定の株数購入した場合と、ドル・コスト平均法で毎月一定金額分購入した場合の平均コストを計算してみましょう。例として、最初の月に100円だった株を毎月4ヵ月間連続で購入した場合で比較します。

  • 毎月100株ずつ購入した場合
    1ヵ月目 100円×100株=1万円
    2ヵ月目 125円×100株=1万2,500円
    3ヵ月目 95円×100株=9,500円
    4ヵ月目 80円×100株=8,000円
    合計4万円÷400株=平均買いコスト100円

  • 毎月1万円ずつ定額購入した場合(株数の端数は四捨五入)
    1ヵ月目 1万円÷100円=100株
    2ヵ月目 1万円÷125円=80株
    3ヵ月目 1万円÷95円=105株
    4ヵ月目 1万円÷80円=125株
    合計4万円÷410株=平均買いコスト98円

ご覧のように毎月100株ずつ購入する場合より、毎月定額で購入したほうが10株多く、平均コストは2円安く買えたことがわかります。

次に、ドル・コスト平均法のメリット・デメリットを整理します。

「ドル・コスト平均法」のメリット

1つ目のメリットは、高値掴みのリスクが少ないことです。上記の例で、もし125円の時にまとめて400株投資してしまったら、その後株価は80円まで下がり、多くの評価損を抱えることになります。定額購入の場合、125円に上がった時は80株しか買わず、急落した時はその分多くの株数を買えるので、常に一定範囲の買いコストを保てるのです。

2つ目のメリットは、目先の株価に一喜一憂せず、落ち着いて投資できることです。一般的に株価の下落は精神的な負担になりますが、ドル・コスト平均法では下落すればその分株数を多く購入できるため、どちらに転んでもいいと割り切ることができます。

また、積立投資は原則として自動引き落とし設定ができるので、一度銘柄や投資額を決めれば毎回買い注文を出さずに済むので、会社員など忙しい人に向く投資法と言えます。

「ドル・コスト平均法」のデメリット

ドル・コスト平均法のデメリットは、一方的な相場展開に弱いことです。株価が上下動することで買いコストが平均化するわけですが、右肩上がりで上昇する株を一定金額分買い続けると、どんどん買いコストが高くなっていきます。逆に下落が続く株を買うと、評価損を積み立てる結果になるのです。

大きな利益を上げにくいこともデメリットと言えるでしょう。一括購入の場合、うまく安い時にまとめて買えれば、その後上昇した時に大きな利益を得られますが、ドル・コスト平均法の場合は、まとめて安く買えるということはありません。大きな損失を被るリスクが少ない分、大きな利益を上げる可能性も低いのです。

ドル・コスト平均法は有利ではありますが、リスクがないわけではありません。チャートを確認して一方的に上昇・下落している株を避け、ドル・コスト平均法に適した投資先を見つけられれば、低リスクで利益を上げるチャンスは十分あります。投資初心者にとっては、検討の価値ある投資法と言えるでしょう。

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