投資や資産運用の用語として「キャピタルゲイン」「インカムゲイン」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。利益を得たときに使われる専門用語ですが投資商品によって税率は異なります。そこで本記事では「キャピタルゲイン」などの専門用語の意味とともに投資商品別のキャピタルゲインの税金について解説していきます。
「これから投資を検討している」「投資の税金について詳しく知りたい」といった人は、ぜひ最後までお読みください。
キャピタルゲインとは?
キャピタルゲインとは、不動産や株式、金など保有している資産を売却することによって得られる売買差益のことです。例えば当初10万円で購入した株式が13万円で売却できた場合、差益となる3万円がキャピタルゲインとなります。逆に当初10万円で購入した株式などを7万円で売却してしまった場合は、差損となりマイナス3万円です。このような場合は「キャピタルロス」と呼びます。
キャピタルゲインは、さまざまな呼ばれ方をすることがありますがどのような種類の用語があるのかを確認していきましょう。
そもそもキャピタルゲインとは、譲渡益のことです。税務上でいえば「譲渡所得」となります。税金が課されるため、キャピタルゲイン課税や譲渡益課税などとも呼ばれており異なる用語のように感じるかもしれません。しかし同じ内容を意味するため、覚えておきましょう。続いてキャピタルゲインと混同されやすいインカムゲインについて見ていきます。
インカムゲインとの違い
インカムゲインとは、不動産や株式、債券など資産を保有していることで得られる収益のことです。例えば不動産を保有し賃貸で毎月家賃を得られる場合は、その家賃収入がインカムゲインとなります。ほかにも身近なところでいえば預貯金や株式です。預貯金で得られた利息収入や株式で得られた配当金などはインカムゲインとなります。
キャピタルゲインとインカムゲインの違いは「資産を売却して得られた収益か」「資産を保有していることで得られる収益か」ということです。キャピタルゲインとインカムゲイン、双方に課税がありますが商品によって税率が異なるため、次の章ではどのような違いがあるのかを詳しく解説します。
投資商品によってキャピタルゲインの税率が違う
キャピタルゲインは、譲渡所得かつ申告分離課税です。課税方式は、住民税と所得税から成り立っています。サラリーマンの給与所得や不動産の家賃収入など、それぞれの所得金額を合算した所得金額を課税する総合課税とは異なり、株式や不動産を譲渡した際に生じた所得と他の所得金額と切り離して税額を計算し、確定申告を行う課税方式を導入しています。一方インカムゲインは、配当所得で総合課税か申告分離課税を選択することが必要です。所得税率が低い人が総合課税を選択すれば所得税や住民税を抑えることができます。投資商品によって「キャピタルゲイン、インカムゲイン両方が適用される」「キャピタルゲインしか適用されない」などさまざまです。
投資商品によってキャピタルゲイン、インカムゲインどちらが適用されるのか、税率について解説します。(※以下記載の税率は復興特別所得税を含んでいます)
株式投資の場合
株式投資は、景気や企業業績などの影響を受けるため、比較的価格変動が激しいのが特徴です。そのため大きく利益を得ることも期待できますが逆に大きく損をしてしまう可能性もあります。株式投資の場合は、株価が値上がりしたことによる利益を得られた場合がキャピタルゲインです。一方で配当金を得られたときはインカムゲインとなります。
申告分離課税は、一律で所得税15.315%、住民税5%の合計20.315%です。特定口座源泉徴収ありの場合は、自動的に源泉徴収されます。ただし、ストックオプション制度で得たキャピタルゲインの場合は、総合課税の対象になるケースもありますので、注意が必要です。
また「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「つみたてNISA」、「NISA」の口座を開設した際も税制面で優遇措置を受けることができ、iDeCoで拠出した際の掛金、老齢給付金を受け取る際やNISAで運用益が出た場合は非課税となります。
債券投資
債券とは、国や企業が投資家から資金を調達する目的で発行される有価証券の一つです。債券投資の場合は、株式同様に申告分離課税のため、所得税15.315%、住民税5%の合計20.315%となります。
不動産投資の場合
不動産投資は、不動産を売却することで得られるキャピタルゲインと家賃で収入を得られるインカムゲインの両方があります。不動産投資で物件を売却してキャピタルゲインが得られたときの税率は、不動産を所有していた期間によって税率が異なるのが特徴です。所有して5年過ぎていたら長期譲渡所得となり20.315%(所得税15.315%、住民税5%)となります。
ただし5年未満の場合は、短期譲渡所得となり39.63%(所得税30.63%、住民税9%)と大きく税率が上がってしまうため注意しましょう。
FX取引の場合
FX取引は、外国為替証拠金取引のことで為替レートの変動差を利用して利益を得る投資の一つです。原則24時間取引ができるため、昼夜を問わず取引ができます。FX取引で得た利益は、キャピタルゲインとなり申告分離課税20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。
金やプラチナなどの場合
金やプラチナは、株式などと同様に日々相場が変動しており売却したときの利益がキャピタルゲインとなります。金やプラチナは、株式や不動産のようなインカムゲインがありません。金やプラチナを購入した当初の金額が分からない人は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。給与所得者が個人で金を購入した場合、キャピタルゲインとなるため譲渡所得です。
しかし給与所得とほかの所得を合算する必要があり総合課税の対象となるため、注意しましょう。
貯金を増やすには投資をすべき
2021年9月に国税庁が発表した「令和2年分民間給与実態統計調査」によると2020年における日本人の平均給与は433万円でした。つまり1年間を働いても500万円に届かないのが実態です。2019年に公になった2,000万円問題の内容を踏まえると老後は年金だけで賄えず自分でお金を用意する必要があります。しかし給与だけではなかなか貯金ができない人も少なくありません。
なぜなら日本の所得税は累進課税制度で所得が増えれば増えるほど税金も増えるからです。そのためお金を増やすには、資産運用を取り入れることが必須といえるでしょう。
所得税は累進課税のため税金が高くなる
所得税は、課税される所得金額によって税率が異なり、2021年時点では以下の7つの区分に分けられます。
課税される所得金額とは、収入から控除(給与所得控除や社会保険控除、基本控除など)を差し引いた金額のことを指します。例えば所得が1,000万円の人は税率33%になるため「1,000万円×33%-控除153万6,000円=176万4,000円」が所得税の金額です。また住民税は原則一律10%のため、合計すると約43%も税金に取られる計算になります。
所得が4,000万円を超えた場合は、税率は45%となりほぼ半分が税金です。しかし上記で紹介した投資商品の場合は、分離課税としてキャピタルゲインで得られた金額に関係なく税率が決まっているケースが多いため、たくさん利益を出すことができればその分収入を増やすことができます。
必ず確定申告をする
一般的に給与所得者で年収が2,000万円以下かつ給与以外の収入が20万円以下であれば確定申告は不要です。基本的に会社の年末調整で手続きが完了になります。しかし投資を行っている場合は、状況に応じて確定申告を行い税金の調整が必要です。例えば還付申告を受けられる場合は、自分で確定申告をしないと払いすぎている所得税は還付されません。
確定申告について分からない場合は、税務署に相談することが賢明です。また投資商品が多く確定申告の準備が煩雑な場合は、税理士に依頼するのもいいでしょう。
まとめ
投資と一口にいっても一括りにすることはできず投資の種類によって税率が異なります。投資は、金融資産を増やすことが期待できる半面減らしてしまうリスクもあるため、自分にあっている投資方法を見つけることが大切です。
また投資方法を確立できた後は、投資の利益を出すためにも勉強し続けることも重要になります。収益を得た分、確定申告を行った後に継続して投資で利益を出せるようになると将来に向けて安定した資産形成が期待できます。
たとえ年収1,000万円を稼いだとしても、投資した場合と給与所得のみを得た場合とでは手元に残る金額は異なりますので、まずは勉強をしつつ株式や債権、不動産などの投資で得た所得を増やすことから始めましょう。
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