家賃支払いを「QRコード決済対応」へ 不動産オーナーの注意点
(画像=Zapp2Photo/Shutterstock.com)
木崎涼
木崎涼
大手税理士法人で多数の資産家の財務コンサルティングを経験。ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパートの資格を持ちながら、執筆業を中心に幅広く活動している。

最近では、家賃の支払いにQRコード決済を導入する不動産オーナーも現れています。今回は、QRコード決済の仕組みや不動産オーナーにとってのメリット・デメリットをまとめました。QRコード決済の導入を検討しているオーナーはぜひ参考にしてみてください。

QRコード決済の導入とキャッシュレス化の波

QRコード決済とは、QRコードをスマホで読み取ることで現金やクレジットカードを使わずとも手軽に決済ができる方法です。代表的なものは、スマホ決済アプリ「PayPay(ペイペイ)」で、2018年に100億円キャンペーンを実施したことで一気に知れ渡りました。もともと世界的には、現金による取引は減少傾向にあります。

中国では露店でもQRコード決済が導入されており、日本にもようやくキャッシュレス化の波が到来したといえるでしょう。一時期は、メガバンクのATM縮小がメディアをにぎわせました。日本では、現金主義の人が多く現金決済ができない商品・サービスは2019年5月現在ほぼ存在していません。しかし、今後は現金決済ができないところも出てくる可能性があるといわれています。

不動産業界でも家賃や礼金の支払いにQRコード決済が導入されつつあるので、しっかりと情報収集をして時代の波に乗り遅れないようにすることが大切です。

不動産オーナーがQRコード決済を導入するメリット

家賃の支払いにQRコード決済を導入する不動産オーナーも出てきました。家賃をQRコード決済するメリットは、現金やクレジットカードを持ち歩く必要がなく、管理の手間や紛失リスクも少ないことです。クレジットカードのようにポイントが還元されるため、家賃を支払うだけで毎月ポイントを貯めることもできます。

支払い内容がアプリにデータとして記録されるのもメリットです。何にどのくらいのお金を使ったのか、わざわざ家計簿をつけなくてもある程度は把握することができます。このように、QRコード決済は入居者にとってさまざまなメリットがあるといえるでしょう。

続いて、家賃の支払いでQRコード決済を導入することによる不動産オーナー側のメリットについて解説します。QRコード決済を導入することで入居者の満足度が上がる可能性があります。ポイントを重視している人の場合、QRコード決済に対応していることが入居の決め手になることもあるでしょう。QRコード決済各社ではお得なキャンペーンも実施しており、QRコード決済によってクーポンやキャッシュバックが受け取れるものもあります。

こういったキャンペーンの影響で、入居者の満足度が上がるのもオーナーにとってのメリットです。入居者確保、入居率の維持どちらにもいい影響を及ぼすでしょう。また、クレジットカード決済と比較すると低コストで導入できるのもうれしい点です。さらには、お釣りの準備がいらないなど細かな点でもメリットがあります。

現在は、付加価値として打ち出せる家賃のQRコード決済ですが、いずれはQRコード決済のほうが主流となる時代がくるかもしれません。そんな時代に備え、早めの準備を心がけておきましょう。

QRコード決済を導入するデメリットや注意点

続いて、家賃のQRコード決済を導入するデメリットについても解説します。日本ではQRコード決済があまり導入されていないため事例は少ない傾向ですが、詐欺も存在します。QRコードをすり替えられると、家賃が別の口座に入金されてしまうのです。サービス自体が新しいだけに、今後も新たな詐欺の手口が出てくる可能性は十分あります。

QRコード決済を導入するならQRコードの管理に気を配ったり、QRコードに関する犯罪手口について情報収集を怠らないようにしたりすることが大切です。欧米では、クレジットカードの支払いに一定のニーズがあります。そのため、欧米人をターゲットとして考える場合は、クレジットカード決済を導入したほうがQRコード決済よりメリットがあるかもしれません。

どのような不動産を所有し、どういった層をターゲットにしたいのかを明確にして決済方法の導入を検討していきましょう。

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