今回は、国土交通省が発表した2019年の地価公示をもとに土地価格上昇率のトップ10・ワースト10の地域をそれぞれランキング形式で紹介します。また土地価格が上昇した要因について地域別に詳しく分析するのでぜひ参考にしてみてください。
2019年土地価格上昇率ランキングトップ10
地価公示とは、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表する土地の評価額です。地価公示法にもとづいて2名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価をもとに評価されることから一般の土地取引においても価格の指標とされることが多々あります。
まず2018~2019年にかけての土地価格上昇率ランキングトップ10を発表します。
順位 | 住所 | 2018年(1平方メートルあたり) | 2019年(1平方メートルあたり) | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | 北海道虻田郡倶知安町南1条西1丁目40番1外(三井生命) | 4万円 | 6万3,500円 | 58.8% |
2 | 北海道虻田郡倶知安町字山田83番29 | 5万円 | 7万5,000円 | 50.0% |
3 | 大阪府大阪市中央区日本橋1丁目16番4外 | 83万1,000円 | 120万円 | 44.4% |
4 | 大阪府大阪市北区茶屋町20番17(エスパシオン梅田ビル) | 403万円 | 581万円 | 44.2% |
5 | 京都府京都市東山区四条通大和大路東入祇園町北側277番(豊田愛山堂) | 195万円 | 280万円 | 43.6% |
6 | 大阪府大阪市北区芝田1丁目47番1外(芝田町ビル) | 315万円 | 450万円 | 42.9% |
7 | 沖縄県那覇市前島3丁目1番15 | 32万3,000円 | 46万円 | 42.4% |
8 | 京都府京都市下京区七条通間之町東入材木町481番(プルミエール生島) | 59万円 | 82万3,000円 | 39.5% |
9 | 京都府京都市東山区三条通大橋東入三町目35番7外(GOZAN HOTEL) | 69万円 | 95万9,000円 | 39.0% |
10 | 沖縄県那覇市久茂地3丁目1番1(日本生命那覇ビル) | 101万円 | 140万円 | 38.6% |
インバウンド増加による観光産業が地価上昇を下支え
続いては、土地価格が上昇した要因について詳しく分析していきます。1位・2位を独占する北海道虻田郡(あぶたぐん)倶知安町(くっちゃんちょう)は、観光地として有名なニセコエリアの一部で札幌から車で約2時間の距離です。
ニセコエリアは外国からの移住者が多い地域で外国人観光客のリゾート需要も高く近年地価の上昇が続いています。ニセコにはスキー場があり長期滞在をしてスキーを楽しむ外国人観光客が多くいます。こういった背景から外国人向けの別荘やコンドミニアムが近年増加傾向です。
また外国人観光客の需要増によって日本人の投資家でニセコエリアの不動産に目をつける人が出てくるなど今後も地価の上昇が見込める地域といえるでしょう。
大阪府は3位、4位、6位に食い込んでおり北の中心街梅田と南の中心街である難波周辺の地価の上昇率が高くなっています。2025年に万博の開催が決定したことなどを踏まえ「外国人投資家による資金流入が拡大していることが上昇の要因ではないか」とみる専門家もいます。
京都府は、インバウンド増加の影響で観光産業が好調なことから5位、8位、9位ランクインです。外国人観光客を対象とした宿泊施設用地や駅徒歩圏の利便性の高い地域で特に地価が上昇している傾向がみられます。京都府全体では商業地の地価が5年連続で上昇しており京都市は11区すべての商業地で地価が上昇するなど好調です。
沖縄県は、那覇市が7位、10位にランクイン。沖縄経済の中心ともいえる国際通りや国道58号線沿いでは、ホテルや店舗建設が進み不動産ニーズが高まっています。観光産業が好調である限り沖縄県では今後も地価の上昇傾向が続くと見込まれるでしょう。
全体として観光産業の伸びが地価上昇の大きな要因となっていることがわかります。外国人観光客は年々増改傾向にあることから地域の魅力を発信して外国人観光客をうまく呼び込めるかどうかが今後も地価に大きく影響するでしょう。
2019年土地価格上昇率ランキングワースト10
土地価格が上昇する地域ばかりではありません。最後に土地価格が下落した地域を発表します。
順位 | 住所 | 2018年(1平方メートルあたり) | 2019年(1平方メートルあたり) | 前年比 |
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1 | 岡山県倉敷市真備町岡田字内沼288番12 | 3万円 | 2万4,700円 | ▲17.7% |
2 | 岡山県倉敷市真備町有井字折敷田77番52外 | 4万700円 | 3万3,600円 | ▲17.4% |
3 | 岡山県倉敷市真備町箭田字後田4158番2 | 3万2,700円 | 2万7,000円 | ▲17.4% |
4 | 広島県安芸郡坂町小屋浦3丁目10527番14外 | 6万7,900円 | 5万8,400円 | ▲14.0% |
5 | 広島県呉市天応西条3丁目827番5 | 5万3,700円 | 4万6,200円 | ▲14.0% |
6 | 岡山県総社市下原字東市場923番 | 1万7,600円 | 1万5,200円 | ▲13.6% |
7 | 広島県呉市安浦町中央5丁目1番83(ビューティサロンまちこ) | 5万3,400円 | 4万7,500円 | ▲11.0% |
8 | 北海道夕張市本町2丁目217番(西野回陽堂) | 5,400円 | 4,900円 | ▲9.3% |
9 | 神奈川県三浦市三崎町小網代字鷺野1325番4 | 5万3,500円 | 4万9,000円 | ▲8.4% |
10 | 北海道古平郡古平町大字浜町71番1内(ポイントショップ梅野) | 8,500円 | 7,800円 | ▲8.2% |
岡山県や広島県など西日本豪雨によって浸水被害を受けた地域では、地価の下落が目立つ結果となりました。被災範囲が広かったことから地区外に転出した住民も多くなかなか再建が進んでいない現状もあります。
また高齢化や人口減少も地価の下落に大きく影響を及ぼしている可能性が高いです。人口減少率が高く高齢化率も高い北海道夕張市では、地価も下落傾向が続いています。
地価の上昇・下落の背景を知り、自分なりに世の中の動きにもとづいた判断をするくせをつければ今後の地価の変動をある程度予測できるようになるでしょう。情報感度を高く保ち投資判断に活かしていくことが大切です。
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