新型コロナウイルスによる景気悪化への対策として、国が様々な補助金制度や給付金制度、融資制度を創設していますが、賃貸経営をされている方でも活用できる制度は多くあります。しかし、これらの情報に疎く、申請していれば経営が楽になるのに、知らずに募集期間が終わってしまうということも多いようです。
今回は、新型コロナウイルスによってできた補助金制度や給付金制度にスポットが当たり、ニュースで報道されたものも多かったため活用できた方は多かったと思います。しかし、新型コロナウイルスの影響が落ち着いて平常に戻ると、このような制度に関する情報はアンテナを張っていないと入ってこないでしょう。
これらの制度をうまく活用できることは、賃貸経営の安全性を高めることにもつながります。今回は、毎年公募されている小規模事業者持続化補助金について、筆者が実際に申請をした経験も交えながら共有させていただきたいと思います。
小規模事業者持続化補助金の概要について
小規模事業者持続化補助金は、日本商工会議所による小規模事業者を援助するというコンセプトの補助金制度です。
この補助金制度では経費の2/3が補助されますが、補助限度額が定められています。
毎年公募されている一般型の限度額は50万円ですが、「災害型」と呼ばれる大きな災害が発生した後に公募される補助金の限度額は100万円や150万円のものもあります。今回は、この災害型についてお伝えします。
今回、筆者が申請したのは被災小規模事業者再建事業持続化補助金(台風19号、台風20号および21号型)です。
この補助金は、台風19号、台風20号および台風21号で被災した小規模事業者が、逆境を乗り越えて行う再建事業経費を補助するものです。
したがって、上記の台風で被災したことや再建事業を行うことが主な募集条件であり、首都圏の事業者であれば最大で100万円が補助されます。(補助率は経費の2/3)
補助金制度と給付金制度を同じものと考えている方がいらっしゃいますが、この2つは明確に異なりますので注意ください。
補助金は使った経費について一定割合を補助するものなので、自己負担が発生します。一方給付金の資金使途は自由なので、将来に備えて貯蓄しておくこともできます。
「補助金の申請や手続きは面倒」と考えている方が多いようですが、申請や手続きの流れは大体同じですし、商工会議所が求める内容の書類もスムーズに作成できるようになっていくと思いますので、まずは申請してみることをおすすめします。
次の章では、主な注意点についてお伝えしたいと思います。
小規模事業者持続化補助金申請の際の注意点
私が申請した被災小規模事業者再建事業持続化補助金(台風19号、台風20号および21号型)の公募要領については、以下URLをご参照下さい。
https://r1.jizokukahojokin.info/taifu/
公募要領はページ数が多いですが、申請する際に注意すべきことは以下のとおりです。
・り災証明書を取得する
・台風で被害を受けたことと再建事業をできる限り紐付ける
・補助費を申請する事業はあくまで再建事業ということを忘れずに
この補助金の申請では、被害を証明するために「り災証明書」の提出が求められます。り災証明書は物件所在地の市役所や区役所で取得できますが、取得基準は全国的に統一されていないので、まずは物件所在地の市役所や区役所に問い合わせをしてみましょう。意外と簡単に取得できることも多いようです。
申請書に記載する内容は、「申請する再建事業と台風被害をできる限り関連付けるほうが良い」と商工会議所のスタッフに言われました。
たとえば、「台風被害により玄関ドアが破損したため、これを機に前々から入居者より要望があったオートロックを設置する」といった具合です。具体的な内容に関するアドバイスは、最寄りの商工会議所などでも受けることができるので、商工会議所に出向いてアドバイスを受けることをおすすめします。
小規模事業者持続化補助金は、あくまで「再建」事業に対して補助するという目的で定められている制度です。したがって、維持修繕や設備更新などの費用を申請すると審査に通らず、補助金をもらえない可能性が高くなるので、「再建」というキーワードは必ず入れるようにしましょう。
ちなみに、被災小規模事業者再建事業持続化補助金(台風19号、台風20号及び21号型)の公募は今年2回行われており、1回目は締め切りが過ぎてしまいましたが、2回目は7/10が締め切りなので、台風被害に遭った方はぜひ申請してみてください。
費用対効果を考える重要性
再建事業が採択されて補助金が出ることが決まったとしても、費用対効果を考えることは重要です。
経費の2/3が補助されるとなると、150万円支払っても自己負担は50万円で済むため、あまり費用対効果を考えずに事業内容を決めてしまいがちです。しかし、補助金が出ることになっても、自己負担が発生することには変わりありません。
また、新型コロナウイルスによる先行き不安に備えるためにも、現預金は厚めに保有しておくべきです。
「全額自己負担でも本当にその事業を行うのか?」「ただの自己満足になっていないか?」といったことを深く考えて、事業内容を決めるようにしましょう。
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