不動産投資
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

テレワークが本格的に普及すると、マンションは単に住む場所ではなく、自宅=職場という認識が強くなるでしょう。したがって、これから一棟マンションの開発を目指すなら、共用ワーキングスペースを装備した「職住一体型」の物件が有望です。入居者が、職住一体型マンションに住むメリットを考えてみましょう。

テレワークの普及で増える自宅勤務

2020年に起きた新型コロナウイルスの感染拡大は、テレワークの普及を加速させました。

業種によってはテレワークができない会社もありますが、テレワーク可能な会社では自宅勤務を基本として、必要なときだけオフィスに出社するスタイルが定着しつつあります。出社したとしても、固定席ではなくフリーアドレスと呼ばれる自由席で業務を行う会社もあります。このような新しいオフィスの体制に、自分自身を適応させる必要があります。

テレワークは、企業にとってオフィススペースの縮小や、人件費、交通費の削減などメリットも多く、今後コロナが落ち着いたとしても、元の勤務体制に戻る可能性は小さいと考えたほうがいいでしょう。

自宅=職場という新しいマンションの形

テレワークの普及は、マンションのあり方にも大きな影響を与えています。これまで会社員にとって自宅と職場は別の場所でしたが、テレワーク勤務が中心になれば「自宅=職場」という認識に変わっていくでしょう。仕事の内容によっては、仕事専用の部屋が必要になるかもしれません。そうなると、例えば2DKのマンションから3DKに引っ越すという選択肢も出てくるでしょう。

テレワーカーの意向は、リクルート住まいカンパニーが実施した「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査にも表れています。仕事をする場所に関しては、「仕事専用スペースがない」(33%)、「仕事用のデスク・椅子がない」(27%)と、約6割が仕事場所に不満を持っていることが明らかになっています。

間取りに関しては、約半数が何らかの変更を加えたいと回答し、40%が「今よりも部屋数の多い家に住み替えたい」と考えています。調査結果を鑑みると、不動産業界にとっては「何らかの形で発生する住み替え需要を取り込むチャンス」ととらえることができます。

ワーキングスペースは仕事に集中できる

では、住み替え需要をどのように取り込めばいいのでしょうか。テレワーク時代のマンションに必要な設備の筆頭は、ワーキングスペースでしょう。ワーキングスペースとは、マンションの共用部分に仕事をするためのテーブルや個室、談話スペース、複合印刷機などを備えたスペースのことです。

自宅勤務で困ることの一つに、小さな子どもに仕事の邪魔をされることがあります。例えば、重要な書類を急いで作成しなければならない場合、ワーキングスペースに移動して作業をすればはかどるでしょう。

また、自宅で仕事しているとテレビなどの音や家族の会話が耳に入り、集中できないという人もいるでしょう。そのようなときも、ワーキングスペースで集中して業務を行うのが得策です。ワーキングスペースがあれば、自宅に仕事部屋を作らなくても済むかもしれません。

また、ファミレスの席のような談話スペースがあれば、近くの喫茶店に行ってお金を使うことなく仕事の打ち合わせができるので、コストを削減できるでしょう。

これから開発するなら「職住一体型」が有望

以上のような理由から、テレワーク時代のマンション選びは職住一体型がトレンドになる可能性が高いです。ワーキングスペースがあることで競合物件との差別化になるだけでなく、相場より数千円程度高い家賃を設定できるかもしれません。

共用部分にワーキングスペースがあり、半個室の作業スペースがある物件が、すでに人気を集めています。これから所有地にマンションの建設を計画しているオーナーは、職住一体型にすることで大きなビジネスチャンスにつなげられるかもしれません。

立地に関しても、これまでよりはユーザーの選択の幅が広くなるでしょう。オフィス勤務全盛の頃は都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)が人気でしたが、自宅勤務が基本になれば必ずしも都心部に住む必要はなくなります。他の23区や多摩地区、埼玉県、千葉県、神奈川県に住んで、家賃負担を減らすほうが賢明と考える人も一定数は増えるかもしれません。首都圏の駅歩10分以内の土地を持つオーナーは、チャンスです。

ワーキングスペースの設置費用や設置場所など、気になることはデベロッパーを兼ねた不動産会社に気軽に相談してみるといいでしょう。

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