高速リニア開発,日本,中国
(画像=PIXTA)

2027年の「リニア中央新幹線」の開業を目指して、JR東海は高速リニアの技術開発を行っています。高速リニアが国内で問題なく開業できれば、最先端技術を海外に輸出し、新たな利益を得られるかもしれません。ところがそこに、「中国」という強力なライバルが登場しました。高速リニアのシェア獲得競争の軍配は、日本と中国のどちらに上がるのでしょうか。

1962年からスタートしていた日本のリニア開発

日本でリニアモーターカーの開発が始まったのは、1962年のことでした。新幹線を超える超高速鉄道として、リニアモーター推進浮上式鉄道の研究がスタートします。1972年には浮上走行に成功し、翌年には中央新幹線の基本計画が決定されます。

1979年、最初の実験車両が無人走行で世界最速の517キロを記録。その後、有人走行等の走行試験に新たな実験車両の開発などが行われ続け、2027年には品川・名古屋間で開業の予定で、大阪までの全線開業は2045年を目指しています。

リニア中央新幹線が開通すれば、東京・名古屋間は40分程度で結ばれることとなります。飛行機に乗る際のような手続きや面倒がなく、短時間で移動できるリニア中央新幹線には大きな期待が寄せられています。

中国のリニア事情

中国ではすでに乗客を乗せて通常の営業運転を行っているリニアがあります。2002年に開通式が行われ、2003年に開業した上海トランスピッドのリニアは、試験走行で500キロ、営業運転で430キロの最高速度を計測しました。ただし、これはドイツの技術を導入したもので、中国独自のリニアではありません。また、高速リニアの実用線は運用当初の数年で10億元以上の損失を出すなど、滑り出し好調とはいかなかったようです。

中国開発のリニアは2035年完了の予定

中国独自のリニアの開発は現在行われており、2035年に開業の予定とのことです。日本よりも早く開業し、次世代技術の輸出をいち早く行いたい考えなのかもしれません。

高速リニアの輸出はどちらが優勢?

新幹線を開発し、高速鉄道の輸出を長く行っていた日本ですが、近年ではより価格の安い中国の新幹線へのニーズが高まっている背景もあります。

リニアによる高速鉄道の市場は2兆ドル(約209兆円)を超える規模と試算されています。技術力においても中国の成長は目覚ましく、さらに日本よりも導入コストを抑えられるリニアが開発されれば、一気に市場を掌握されてしまう可能性もあります。

とはいえ、高速リニアに関しては「早く開発したほうが勝ち」という単純な勝負にはならなそうです。高速リニアは導入コストもランニングコストも高く、前述のように上海では大きな損失を出しています。高速リニアの必要性をより世界に訴えられるかどうかが、世界シェアを握る鍵となりそうです。

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