毎年ニュースに上がる「都道府県魅力度ランキング(地域ブランド調査)」。調査開始から2021年で15年が経過しましたが、上位と下位の都道府県はほぼ固定状態にあります。調査を行っているのは、民間シンクタンク「ブランド総合研究所」です。2020年の都道府県魅力度ランキングを振り返り、今年のランキングを予想してみましょう。
最下位は栃木県。ランキングに変動も実はさほど変化なし?
都道府県魅力度ランキングにて毎年ワーストとなりニュースを騒がせていた茨木県が42位になり、2020年のワーストは栃木県となりました。
茨木、群馬、栃木は関東にありながら毎年ランキングの下位に位置し、各県の知事は評価手法を疑問視している状況です。
反して、ランキングの上位は不動の北海道、次いで京都、東京と「観光で人気の地域」が占めています。
都道府県の魅力度を調査し、毎年その結果を公表している株式会社ブランド総合研究所では、各都道府県の魅力度やイメージを「観光・居住・産品購入の意欲」の3つの観点から調査しています。そのため、観光に強い都道府県がランキングの上位を占めているものと考えられます。
魅力度ランキング、下位だけれど魅力はたくさん
毎年同ランキングの下位にある茨木、栃木、群馬の各知事がこの調査結果を不服としているのも無理はありません。この3県には、魅力度ランキングの下位にはそぐわないほど魅力的なスポットが数多くあります。
2020年は順位を上げた茨城には、世界的にも有名な絶景スポット「国営ひたち海浜公園」や「偕楽園」があります。
栃木には世界遺産にもなっている日光東照宮が、群馬は磯部温泉、草津温泉、伊香保温泉などを有する、いわずと知れた温泉王国です。
いずれの県も、観光の観点から見ても魅力度は高いはずです。暮らしやすさの点では、東京都が近いこともあり、便利な土地といえるでしょう。
関東なのに魅力が低いと評価されてしまう理由は
数多くの観光スポットを有し、東京に近いことから暮らしやすさも満点の関東の3県、それなのになぜ魅力度は低いと評価されてしまうのでしょうか。
理由の一つに、「東京に近いからこそ魅力が薄まっている」という点が挙げられます。東京に近い場所よりも、東京で暮らしたい、観光したいと考える人が多くいるのでしょう。
地域ブランド調査の調査対象者は、全国の消費者3万人です。消費者自らが評価を行っているため、いくら地域に魅力があっても他の地域のほうが魅力的ととらえてしまえば、その陰に隠れてしまいます。
魅力度ランキングの下位にある地域は、自分たちの地域の魅力をより多くの消費者に伝える必要があるのです。しかし、この3県に暮らす住民は、自分たちの地域のPRに積極的ではないといいます。なぜなら、住民たちは現状の暮らしで満足しているからです。
首長は不満、しかし住民たちは結果を気にしていない?
人口減少に少子高齢化が進む現在、多くの地方は「自分たちの地域に人を呼び込みたい」気持ちから地道にPRを重ねています。この3県にはそうした気持ちを持つ住民がいないため、このような結果につながっていると考えられます。
県外に魅力を伝える努力をするよりも、住民の幸福度をさらに高める取り組みを行うほうが、「住民にとってよい地域」として魅力度を高められるのかもしれません。
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