2021年3月、愛知県にて起きた山火事は放火が原因であることが分かりました。山林に放火した疑いで逮捕されたのは45歳の会社員の男性です。放火の罪は重く、建物に放火し中に人がいて焼死してしまった場合には死刑に処されてしまうこともあります。では、建物がない山林放火の場合、その損失額や刑罰、損害賠償額はどの程度になるのでしょうか。
森林に放火した際の罪について
3月に発生した愛知県の山火事は、一人の男性が故意に山林に放火したことが原因で起こったものとみられています。故意に山火事を起こした場合、放火した者は刑事罰に処されます。山林・森林に関する罪については森林法に明記されており、森林に放火した場合、6ヵ月以上10年以下の懲役が罰則として定められています。
過去にあった山林放火の例を見てみましょう。
2001年岐阜で起こった山林放火の刑罰は
2001年4月16日、岐阜県の山林にて枯草にライターで点火し火を放ち、2ヵ所計8,000平方メートルを焼損させた例では、被告人に懲役2年6ヵ月の刑罰が科されています。
2006年に広島で起こった山林放火の刑罰は
2006年に広島で起こった山林放火の例では、2ヵ所計8,500平方メートルを焼損させた被告人に対し、懲役3年6ヵ月の刑罰が科されています。
放火じゃなくても賠償責任を負う可能性がある
放火によって他人の財産に損失を与えた場合、損害賠償請求が行われる可能性もあります。また放火だけでなく、失火でも損害賠償請求が行われる可能性があり、「アウトドアでの火の取り扱い」には十分に注意しなければなりません。また、思わぬ事故で山林火災を起こして損害賠償を請求された例もあります。
小型機墜落で山火事が起こった例
高知県の山林に小型機が墜落し、山火事が起こった事故では、小型機に搭乗し死亡した男性の遺族に対して、国が4,500万円の損害賠償を請求した事例があります。
山火事は年間1,000件以上発生している
林野庁が公表しているデータによると、2015年から2020年までに発生している山火事は年間平均で1,234件、平均焼損面積は661ヘクタール、平均損害額は3億5,700万円とのことです。
もし、50ヘクタールの面積を焼損させた場合の損害額は単純計算で約2,700万円。アウトドア中のうっかりで山火事を起こし、高額な損害賠償を請求されないよう注意しましょう。
正しい火の取り扱いと保険の確認を
夏に向けてアウトドアシーズンが本格化する前に、アウトドアでの火の取り扱い方について再度学んでおくことをおすすめします。
また、アウトドアを趣味としている方は、賠償責任に対して補償される保険に加入しているかチェックしましょう。賠償責任を負った際の損害を補償する「個人賠償責任保険」は、火災保険や自動車保険、傷害保険の特約として加入できるため、気づかぬうちに加入しているケースが多々あります。
これらの保険を確認しても当該の特約を見つけられなかった場合は、あらためて個人賠償責任保険への加入を検討してみましょう。
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