賃貸経営における立地の重要性。傾向を把握した上で判断を
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田中タスク
田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

「不動産投資において立地条件は非常に重要」といわれます。立地の良し悪しを見極めるには何に着目すればよいのか、多くの不動産投資家にとっての懸案事項ではないでしょうか。

ここでは「東京か地方か」という視点も含めて、賃貸経営に適した物件を見出すためのポイントを解説します。またすでに物件を所有しているが立地条件が悪いケースにおいて、それを克服するための施策も提案します。

目次

  1. 1.東京か地方か?不動産投資の立地、それぞれのメリット・デメリットとリスク
    1. 1-1.東京の物件のメリット・デメリットとリスク
    2. 1-2.地方の物件を選ぶ場合のメリット・デメリットとリスク
    3. 1-3.東京と地方の主な比較ポイント「入居率」
  2. 2.賃貸経営に適した立地かどうか?9つのチェックポイント
    1. 2-1.最寄駅までの距離が近い
    2. 2-2.最寄駅の利便性が良い
    3. 2-3.周辺エリアの人口が安定または増加傾向である
    4. 2-4.周辺エリアの世帯構成傾向が狙いに合っている
    5. 2-5.周辺エリアの環境が良い
    6. 2-6.周辺エリアの物件は空室が少なく、価格が安定または上昇傾向
    7. 2-7.周辺エリアの利便性が良い
    8. 2-8.都市計画で発展性が見込める
    9. 2-9.エリア内に競合物件が少ない
  3. 3.立地条件が悪い場合に賃貸需要を増やす5つの施策
    1. 3-1.ターゲットを絞り、それに見合った物件づくりをする
    2. 3-2.駐車場と駐輪場を充実させる
    3. 3-3.家賃を抑える
    4. 3-4.リフォームやリノベーションで物件の価値を上げる
    5. 3-5.こまやかに行き届いた管理をする
  4. 4.まとめ

1.東京か地方か?不動産投資の立地、それぞれのメリット・デメリットとリスク

立地
(画像=Blue Planet Studio/Shutterstock.com)

不動産投資の立地選定では、まずは「東京の物件か地方の物件か」という大きな選択があります。東京の物件と地方物件の違いやそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

1-1.東京の物件のメリット・デメリットとリスク

東京の物件には、以下のようなメリット・デメリットがあります。特に重要なのは、現在と将来の人口動向です。

(1)東京の物件を選ぶメリット
・東京の人口は2025年まで増加傾向が続く
・社会増加による不動産需要も見込める
・地価上昇ポイントが多く、売却益を得られる可能性が高い
・再開発エリアが多く、魅力のある街が新たに生まれている
・ワンルームマンションは規制によって今後供給が増えにくい(競合が増えにくい)

(2)東京の物件を選んだ場合のデメリットとリスク
・東京であっても将来は人口が減少する
・すでに不動産価格が高止まりしており、利回りが低くなりやすい
・物件価格が高いため、参入ハードルが高い
・地震多発地帯である
・回転率が高いために高コスト

1-2.地方の物件を選ぶ場合のメリット・デメリットとリスク

次に、不動産投資の候補地として地方を選ぶ場合のメリット・デメリット、リスクを見てみましょう。総じて言えば、東京の物件の裏返しとなります。

(1)地方物件を選ぶメリット
・地価が安いため、利回りが高くなる
・地価の安いため、都心部と比較すると少額からでも参入しやすい
・場所によっては土地付きの物件も購入しやすい
・人と人のつながりが強く、賃貸経営にプラスに働く場合も

(2)地方を選んだ場合のデメリットとリスク
・人口減少の影響を受けやすく、需要減のおそれがある
・需要減によって売却しにくい
・物件によって「当たり」「外れ」が大きい
・家賃相場が大幅に下落する可能性がある

1-3.東京と地方の主な比較ポイント「入居率」

利回りは地方物件のほうが高くなりますが、不動産投資では利回りだけで物件を選んでしまうのは危険です。

利回りは単純に高いほうが良いと考えてしまいがちですが、それよりも大切なのが「入居率」です。利回りの計算式は「年間の家賃収入÷不動産の購入価格」で求められますが、この式で求められるのは「表面利回り」です。
満室状態で受け取れる家賃収入を想定したもので、コストや税金などを考慮していないため、その名のとおりあくまでも表面上の数値にすぎません。入居率が下がれば、その分受け取れる家賃収入は少なくなり、実際の利回りは下がります。

入居率は、地方よりも東京のほうが圧倒的に有利です。また東京の物件は表面利回りは低いものの、入居率を維持しやすいのが特徴です。
地方物件は一般的に、表面利回りは高いものの、入居率を維持するのが難しいといえます。

2.賃貸経営に適した立地かどうか?9つのチェックポイント

立地
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立地条件は物件の優劣を決める最大の要素といえますが、単に便利な場所にあればいいというわけではありません。賃貸経営に適した立地条件であるかどうかをチェックするポイントを解説します。

2-1.最寄駅までの距離が近い

駅までの距離は、不動産の価値を決める重要な要素です。目安は最寄駅から徒歩10分以内。それ以上かかる物件は空室や家賃相場の下落といったリスクが高くなります。

2-2.最寄駅の利便性が良い

最寄駅がどんな駅なのかにも注目しましょう
・複数の鉄道が乗り入れている乗換駅
・特急や急行、快速などが止まる主要駅
・始発駅
これらに当てはまる場合、交通利便性が高いと判断されます。

2-3.周辺エリアの人口が安定または増加傾向である

人口の増減は賃貸需要に直結するため、今後人口が安定もしくは増加傾向にあるかどうかを確認しましょう。以下のサービスなどが活用できます。

RESAS地域経済分析システム

2-4.周辺エリアの世帯構成傾向が狙いに合っている

それぞれのエリアには、世帯構成の特徴があります。
若者の1人暮らしが多いエリア、ファミリー世帯が多いエリア、高齢者が多いエリアなど、それぞれのエリアの特徴を事前に調べた上で、購入予定の物件がそれらのニーズにマッチするかどうかを確認しましょう。

近隣に大学や大企業の工場、企業集合地域などがある場合はこれらに由来する賃貸需要が見込まれるため、このような人たちをターゲットにした物件であるかどうかも確認しましょう。

2-5.周辺エリアの環境が良い

立地条件選びでは、周辺環境も重要です。例えば、
・近隣に繁華街があって治安に不安を感じる
・工場があって公害の懸念がある
・葬儀場や斎場などがあってイメージが悪い
・幹線道路があって交通事故のリスクが高い
・ハザードマップで危険地域に指定されている
これらの要素は、入居率を下げる要因になります。

2-6.周辺エリアの物件は空室が少なく、価格が安定または上昇傾向

多くの場合、近隣には購入予定の物件と類似する物件があります。それらの物件が満室もしくはそれに近い状態になっているか、また家賃相場の下落が起きていないかをチェックしましょう。今後の経営が不安定になる可能性がある物件を回避でき、空室リスク等を軽減できます。

2-7.周辺エリアの利便性が良い

人が生活をしていく上で必要なスーパーやコンビニエンスストア、銀行、病院、公共施設などが徒歩圏内にあると、立地条件の良いエリアでと判断されやすくなります。

2-8.都市計画で発展性が見込める

数年後に新駅ができる、特急や急行の停車駅になる、大規模な商業施設が進出するといった都市計画がある場合は、賃貸需要の増加が見込めます。

例えば2020年3月に開業したJR山手線の「高輪ゲートウェイ駅」は、山手線に49年ぶりに新設された駅として注目度が高く、周辺の再開発もすでに進んでいます。

2-9.エリア内に競合物件が少ない

十分な賃貸需要があったとしても、競合物件が多ければ買い手市場になってしまうため、空室リスクが高くなります。同じエリア内に類似物件が少ないことは経営の安定につながるので、近隣の類似物件がどれだけあるかもリサーチしましょう。

3.立地条件が悪い場合に賃貸需要を増やす5つの施策

立地
(画像=yoshi0511 / Shutterstock.com)

すでに所有している収益物件が上記の「あまり立地条件が良くない例」に当てはまる結果になっても、悲観する必要はありません。立地条件が悪くても賃貸需要を増やすことはできます。

3-1.ターゲットを絞り、それに見合った物件づくりをする

ターゲットを絞り、その人たちに支持される商品を開発することを、マーケティングといいます。物件の優劣を決める最大の要素である立地条件が悪い場合は、マーケティング手法を活用した魅力ある物件づくりを検討しましょう。

例えば、
・女性にターゲットを絞り、防犯カメラやオートロックなどのセキュリティ機能を高める
・テレワークにも役立つ設備として無料インターネットやWi-Fiを完備する
・宅配ボックスなどを設置する
など、近隣物件との差別化を図るのも有効です。

3-2.駐車場と駐輪場を充実させる

立地条件が悪い=交通アクセスが悪い可能性が高いため、入居者はそれを克服するために自家用車や自転車などを利用する前提で物件選びをするかもしれません。そのニーズに応えて、駐車場や駐輪場を整備することもエリアによっては物件の差別化につながります。

3-3.家賃を抑える

立地条件が悪い分、家賃を抑えることは満室経営に向けた重要な戦略になるでしょう。

とはいえ、オーナーにとって家賃は大切な収入源のため、安易に安くすることはできません。家賃を抑える代わりに駐車場を少し高めに設定するなど、「家賃が安く見える工夫」が必要になるでしょう。共益費を「込み」にする、入居者に還元する、初期費用を低くするなどの差別化も有効です。

3-4.リフォームやリノベーションで物件の価値を上げる

建物が古い場合は内外装や設備も古くなっている可能性が高く、そのことが物件の集客力低下につながっているかもしれません。これを改善するために有効なのが、リフォームやリノベーションです。

特に第一印象が大事なので「見た目」の部分を重点的に改善すると、内覧からの入居率を高める効果が期待できます。

3-5.こまやかに行き届いた管理をする

オーナーによる手厚く迅速な対応も付加価値になります。
例えば、こまめに清掃をする、花を植えて外観の印象を良くするなどの地道な努力は入居者にも伝わります。立地条件の悪さを克服するための、ひとつの方策となるでしょう。

4.まとめ

①不動産投資は、物件の立地条件が成否に大きく影響する
②東京と地方には、それぞれメリット・デメリットがある
③賃貸経営に適した立地条件は、「便利な場所」だけではない
④立地条件が悪くても、マーケティングや対応力などで差別化できる

立地条件の良し悪しによって不動産投資の成否が決まると言っても過言ではありません。これから物件を購入する人は「東京か地方か」の選択も含め、広い視野で集客力の高い物件を見つけ出してください。

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