収支シミュレーションは実質利回りで
(画像=Maxx-Studio/Shutterstock.com)

収益物件サイトでは、物件の表面利回りは必ず表示されますし、その利回りの高低をベースに物件の購入検討をする方も多いかもしれません。しかし、それが時には危険な選択をしてしまうきっかけになることもあります。物件の「表面利回り」というのは、満室経営かつ、管理にかかるコストがゼロだった場合に、投資した金額に対して返ってくるリターンの割合のことです。

しかし、実際は自主管理でやらない限りは管理委託のコストはかかりますし、永遠に満室経営をすることも難しいでしょう。また、物件によっては敷金や礼金を取れないケースもありますし、競合が激しいエリアでは空室期間が長引くこともあります。こういった実際の運営にかかる空室コストや、管理コストを含めた最終的に手元に残るキャッシュフローの投資額に占める割合が「実質利回り」です。

物件の収支シミュレーションは「実質利回り」で行うのがよいといわれていますが、今回はその理由について解説します。

表面利回りが高い物件が優良物件とは限らない

「高利回り物件!」という広告で売りに出されている物件を見かけますが、その高利回りを実現できるのであれば、その物件は優良物件です。しかし、表面利回りが高い物件というのは、その後の賃貸経営の難易度が高いケースが多く、必ずしも優良物件とはいえないことも少なくありません。例えば、表面利回り10%の物件は今の相場を考えると高い利回りの物件に分類されます。

しかし、常時20%程度の空室が発生しており、1回空室が発生すると半年程度は決まらないような物件だと、その利回りは絵にかいた餅になってしまうでしょう。それであれば、表面利回りが6%であっても、常に満室稼働が見込まれ、空室が出ても最長2ヵ月程度で埋められるような物件のほうが、最終的なキャッシュフローが良くなることもあります。

一番重要なのは、「最終的に手元にいくらキャッシュフローが残るのか?」という部分です。そのため、「利回りが高い=キャッシュフローが残りやすい」と単純に考えるのは危険だといえるでしょう。空室リスクを考慮し、収支シミュレーションは実質利回りで計算することをおすすめします。

収支シミュレーションには想定されるコストを全て織り込む

実質利回りを計算するためには、「どういったコストを見込むべきなのか?」という部分が重要です。ここでは、主要なコストについて見ていきましょう。織り込んだほうがよい主要コストは下記の通りです。

  • 空室コスト(1室あたり平均家賃×1年あたり平均空室回数×平均空室期間)
  • 1室あたり平均原状回復費用
  • 入居者募集費用(1年あたり平均空室回数×広告費)
  • 賃貸管理コスト
  • 建物管理コスト
  • 退去立ち会い費用(発生するのであれば)

加えて、収入側では更新料、礼金、敷金も織り込むことも必要です。ここまで織り込んで算定できる予想キャッシュフローの投資額に対する割合が実質利回りになります。1年あたり空室回数や平均空室期間を厳密に織り込むのは難しいですが、空室回数に関しては1年の平均解約率を20%として計算するなど、ある程度想定することは可能です。

また、空室期間も地場の業者へのヒアリングをすれば、ある程度は予想することはできるでしょう。このように計算すると、「表面利回りだけで物件を判断すべきでない」という理由を実感することができます。

競合が激しいエリアでは広告費を多く積む想定を

競合が激しい物件は、できる限り避けたほうが良いというのは一般論ですが、実質利回りを計算すると明確にその意味が分かります。競合が激しいエリアでは、広告費が家賃の2~3ヵ月分必要になり、かつ、敷金も礼金ももらえないという部屋が多い傾向にあります。

また、1部屋だけであれば大きな金額にならないかもしれませんが、1年で5部屋、10部屋と空室が発生する物件だと、広告費や敷金・礼金の違いも大きくなります。不動産投資のゴールは、キャッシュフローの最大化です。利回りを追い求めることは、キャッシュフローの最大化に影響はしていますが、それが最終ゴールではないことを理解しておきましょう。

最初は、あらゆるコストを見込むのに時間がかかるかもしれません。しかし、物件分析を繰り返していく中で慣れていく部分もありますので、収支シミュレーションは絵にかいた餅にならないよう実質利回りで計算をしてみましょう。