マンションPERからみた不動産投資エリア選び【首都圏版】
(画像=Takamex/Shutterstock.com)

証券用語にはPER(Price Earnings Ratio)という用語があり、日本語では「株価収益率」と訳されています。投資する株式から得られる年間収益の何年分で投資価格を回収できるかを示しています。

民間調査機関の東京カンテイの新築マンションPERは、これをマンションにあてはめたもので、新築マンションを買って賃貸運用した場合、年間賃料の何年分で取得価格を回収できるかを示しています。

例えば5,000万円のマンションで、年間賃料収入が200万円であれば、5,000万円÷200万円でPERは25、年間賃料が250万円ならPERは20です。PERの数値が小さいほど割安で、大きいほど割高ということになります。

2018年の首都圏平均PERは24.96で0.5年長くなる

東京カンテイによると、2018年の首都圏新築マンションPERの平均は24.96でした。前年は24.49でしたから、0.47ポイントの上昇。取得価格を年間賃料で回収するのにほぼ25年かかり、その期間が前年より0.5年ほど長くなっています。

その要因は、首都圏新築マンションの価格上昇です。賃料も若干上がっていますが、価格の上昇率には追いつかないためPERの数値が上昇し、割高感が強まっているようです。

マンション投資を考える場合、このPERの数値が小さく、できるだけ早く投資資金を回収できるエリアを選ぶのが得策と思うかもしれませんが、必ずしもそうとも限りません。
PERの数値が小さく、割安感のあるエリアは郊外が中心で、長い目で見た資産価値の維持という点では不安が残ります。

例えば、2018年の首都圏新築マンションPERが最も小さかったのは京王相模原線の京王多摩センター駅の15.53でした。2位はJR埼京線の武蔵浦和駅の15.62、3位がつくばエクスプレスの三郷中央駅で16.16でした。たしかに都心と比べると価格が安くて投資しやすいエリアですが、値上がり益はほとんど期待できないかもしれません。

東京23区にもPER 20年以下のエリアがある

しかし、ある程度値上がり益が期待できそうな都心や、その周辺でも意外にPERの低いエリアが残っています。交通や生活利便性の面ではとても恵まれているにもかかわらず、これまであまり注目されなかったため、人気エリアに比べると価格はかなり安い水準に保たれています。

それでいて賃料水準は人気エリアとさほど変わらないので、結果的にPERが低く、お買い得感のあるエリアになっているわけです。

例えば、東京都江戸川区の東京メトロ東西線の葛西駅のPERは19.33です。70平方メートル換算の価格は4,546万円で、月額賃料は19万5,965円です。江戸川区は23区のなかでも最も公園面積が広く、子育て支援策が充実していることで知られています。
近年はIT系企業に勤めるインド系の外国人が増加し、区内でインドフェスが開かれるほどで、住民の英語教育熱も高く国際化が進んでいます。東西線で日本橋、大手町などの都心に直結しているのも魅力です。

人気の目黒駅も意外にPERの低いお買い得エリア

北区のJR山手線田端駅もPERが19.33とお買い得なエリアです。70平方メートル換算の価格は5,211万円と先ほどの葛西駅に比べると若干高いですが、月額賃料は22万4,462円と20万円を超えます。
JR山手線のほかJR京浜東北線も乗り入れており、交通アクセスに恵まれています。日暮里や王子、赤羽駅などに比べると駅周辺に商店街などが少なく、やや発展が遅れていましたが、2008年に駅ビルが完成してスーパーや各種専門店が出店し、生活利便性が向上しました。

ある程度の資金を用意できるのであれば、JR山手線目黒駅が狙い目です。70平方メートル換算価格は1億円を超えますが、その分月額賃料は高く43万1,354円で、PERは20.14と比較的低い水準にとどまっています。
目黒駅エリアでは、駅近マンションが増加して賃料水準が上昇しているため、PERを押し下げているようです。

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