不動産投資の時代はもう終わり? 東京五輪後のマーケットとの向き合い方
(画像=lazyllama / Shutterstock.com)
本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

東京五輪後の「不動産価格値下がりリスク」も取り沙汰されていますが、物件価格の調整があることは多くの不動産投資家にとってプラス材料ではないでしょうか。投資エリアを東京または大阪にフォーカスすれば、まだまだ可能性は広がります。

なぜ、東京五輪後はむしろ投資チャンスと考えられるのか

「東京五輪後の不動産マーケットとどう向き合うか」というテーマでいえば、2020年以降はむしろ「投資家にとってチャンスが広がる時期」と見ることもできます。

理由は、東京五輪の開幕直前・閉幕後に、高止まりしていた不動産価格が落ち着いてくる可能性もあるからです。もし、物件が手頃な価格になってきて、現在の超低金利が続いているとしたら、高利回りを狙いやすい状況になります。

しかし、これはあくまでも「超低金利が続いていること」が絶対条件になります。近いうちに金利が高くなるリスクはないのでしょうか。

金利の先行きについては、日銀の金利政策が鍵を握ります。日銀の黒田総裁は2019年4月の会見で「20年春ごろまでは金利を引き上げる検討は全くない」と明確に言及。続けて、「それより先でもかなり長い期間にわたって継続する」と強い口調で述べています。このことから、しばらくの間は低金利で融資が受けられるという、不動産投資家にとって望ましい状況が続くと見込まれます。

東京五輪後も続く、都内では大型再開発が相次ぐ

一方で東京五輪後は、投資するエリア選択に関してはこれまで以上に慎重になるべきでしょう。2015年に1億2,709万人だった日本の人口は、2053年に1億人を割り込むペースで急減していきます(国立社会保障・人口問題研究所の推計)。その人口減少が顕著になってくるのが2020年代と言えます。

人口減少が進めば、当然ながら賃貸物件の空室リスクが高まってきますが、東京と大阪の中心部に投資エリアを絞れば、リスクは限定的と考えられます。

その理由ですが、まず東京では五輪後も都内各所で大型再開発ラッシュが続きます。都市の機能性が高まることで、国内はもとより、海外の方の流入増加が期待できます。主な再開発エリアは、東京駅や品川駅周辺、日本橋、虎ノ門、渋谷などですが、波及効果は東京の全域に広がることが期待できます。

長期的な人口推移で見ると東京23区の人口は今後、約10年間増え続け、2030年の979万人をピークに減少に転じると予測されます。とはいっても、約20年後の2040年で見ても952万人と、2020年の時の人口とほとんど変わりません。人口が安定しているため安定した賃貸ニーズが見込めます。(人口推移は東京都政策企画局レポート参照)

万博、IR、世界遺産認定……大阪は空前の外貨獲得チャンス

大阪は、東京以上に「不動産投資に理想的な環境が整っている」と見ることもできます。

今、全国的に訪日旅行客数は増えていますが、中でも大阪の好調ぶりが際立ちます。大阪の訪日旅行客は2014年の376万人から2018年の1,142万人に急増。約3倍もの伸びを示しています。合わせて、訪日旅行客の大阪での消費額も、2013年の1,598億円から2017年の1兆1,852億円まで膨張しています。

このインバウンドマーケットが好調なことに加えて、2025年の大阪・関西万博の開催、その前後のカジノを含む統合リゾート開業(予定)、関西空港近くに世界遺産誕生(2019年7月決定予定)とビッグイベントが目白押しです。

それぞれの経済波及効果は、万博が2兆円(推計:日本国際博覧会協会)、統合リゾートが建設関連で7,600億円、運営で年間6,900億円(推計:大阪府・大阪市IR推進局)と試算されています。これだけ莫大な資金が流入してくるため、当然ながら労働人口の流入も期待できます。

リニア中央新幹線の開業もプラス材料

長期スパンで考えれば、リニア中央新幹線の開業も見逃せません。東京−大阪間の開業は最短で2037年とまだ先ですが、その間、東京と大阪には莫大な投資が行われます。これは両都市中心部の地価・不動産にとって追い風となることでしょう。

こういったプラス材料もしっかり見ながら冷静に投資判断をしていくことが重要ではないでしょうか。

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