不動産賃貸経営の最終目標は、キャッシュフローの最大化です。それを実現するためには、まず家賃収入を上げることが重要と考える人が多いのですが、それ以上に重要なのがランニングコストの削減です。
特に1棟マンションの場合、マンションの共用部分の電気代や各設備の保守点検費用、その他諸費用で多額のランニングコストが毎月発生します。ランニングコストを1%でも削減できれば、それがそのままキャッシュフローの改善につながるので、1棟マンションを所有したら、まずはランニングコストを見直すことをおすすめします。
とはいえ、ランニングコストには削減しやすいものと削減しにくいものがあります。今回は、削減しやすいコストについてお伝えしたいと思います。
共用電気のLED化
コスト削減しやすいものとしては、まず共用電気のLED化が挙げられます。当然ながら、物件の規模が大きければ大きいほど効果が出やすいです。
実際の例がないと伝わりにくいと思いますので実例をもとに、1棟24戸の6階建単身向けRCマンションを例に挙げてお伝えしたいと思います。
このマンションの共用部分の電気料金は、毎月3万2,000円程度でした。
この電気料金を削減するために共用部分の電気のLED化を考え、複数の業者に見積もりを依頼したところ、各社の見積もり金額に大きな差がありました。
一番高い会社は80万円の見積もりを出してきましたが、ある著名な投資家から紹介された会社の見積もりは49万円だったので、迷わずこの会社にお願いをしました。
LEDに限りませんが、委託する業者によって品物はほとんど変わらないのに、価格が大きく異なることはよくあるので、必ず複数の業者に見積もりを依頼するようにしましょう。
また、最近はLEDをリースで利用することもできます。たとえば5年間毎月一定額を支払い、リース料の支払いが終わると所有権が譲渡され、自分のものになります。リース料よりもLED化による電気料金削減額のほうが大きければ、実質負担なしでLED化ができるので、検討することをお勧めします。
LED化の結果、毎月の共用部分の電気代が2万6,000円程度になったので、毎月6,000円、年間7万2,000円のコスト削減ができました。投資金額は49万円だったので、約7年で回収できる計算です。もっと大きな効果が出るマンションもあると思うので、まずは見積もりを依頼してみてください。
LED化と同時に電気会社を変更することも検討するといいでしょう。ある1棟マンションの場合は、東京電力からハルエネに変更した結果、1,000円程度電気料金が安くなりました。
LEDを扱う業者は新電力会社のネットワークを持っているところが多いので、LED化の見積もりを依頼する際、新電力会社への変更も考えている旨を伝えれば、紹介してくれることでしょう。
月々の建物管理手数料の見直し
その他、効果の出やすいコスト削減方法に建物管理手数料の見直しがあります。建物管理手数料には、定期清掃やエレベーター点検費用、貯水槽点検費用、消防点検費用などがあります。
所有しているマンションが提供を受けているサービスの内容や費用の明細が手元にあれば、その金額より安くすることできるかどうか、別の建物管理会社に見積もりを依頼をしてみましょう。意外と簡単に今の価格よりも安い見積もりが出てくることがあります。
賃貸管理会社が建物管理も行っている場合は、ランニングコストを下げるために建物管理会社を変更したい旨をしっかり伝え、お互いの認識を一致させたうえで、建物管理会社の変更を検討するようにしましょう。
賃貸管理会社は、建物管理を行うことでも収益を上げているので、建物管理会社の変更に難色を示すかもしれません。しかし、キャッシュフローの状況が厳しいことを話せば理解してもらえることが多いので、なぜ変更したいのかという目的はきちんと伝えるようにしましょう。
収益を改善するためには、家賃を上げるよりもランニングコストを削減するほうが難易度が低いので、できるものから早めに進めていきましょう。家賃を上げるのは、その後でも遅くはありません。
【あなたにオススメ】
・入居者募集のキモ。募集条件を見直そう!
・2019年以降の不動産投資は「コミュニティ」が欠かせない
・これから浸透が見込まれるスマートセキュリティとは
・一棟アパート・マンション経営を成功させる人気設備マーケティング術
・賃貸管理上でのトラブル対応術とは?