「現代的×素朴感」欧米で人気のネオラスティックとは?
(画像=onzon/Shutterstock.com)
アレン琴子
アレン琴子
国際コンサル企業などの翻訳業務を経て、ファイナンシャルライターに転身。現在は欧州を基盤に、複数の大手金融メディアで執筆活動中。国際経済から投資、資産運用、FinTech、ビジネス、行動経済学まで、広範囲に渡る「お金の情報」にアンテナを張っている。

新しい素材(Neo)と素朴な素材(Rustic)を融合させたスタイル、ネオラスティックが、インテリアやファッション、アートの世界で注目されています。ネオラスティックを住まいに取り入れる際の最大のポイント は、素朴な住まいの魅力と温かさを現代の家の便利さとスタイルとバランス良く組み合わせ、スタイリッシュに仕上げることです。

スタイリッシュ×自然のぬくもり=ネオラスティック

ラスティック(Rustic)は本来、「素朴な・飾り気のない・田舎風の・丸太作り」などを意味します。ポジティブに表現すると「質素でどこか懐かしい」、ネガティブに表現すると「地味で時代遅れ」の印象をあたえる言葉です。しかし、インテリアやファッションの世界で人気に火がついたことにより、近年はむしろ、モダン(現代的)なスタイルにカテゴライズされています。

ヴィンテージやアンティークが、「スタイリッシュなモノ」として受け入れられるようになった潮流と共通するものがあります。このラスティック・スタイルをさらに進化させたものが、ネオラスティックです。ギリシャ語では「新しい」、英語では「復活」という意味をもつネオ(Neo)と組み合わせる、「現代的×素朴感」「洗練さ×カントリー風」といった、意外性から新鮮なコントラストを生みだすという発想です。

装飾的趣向を最低限に抑えることで、スタイリッシュ感を追究するミニマリズムが人工的な冷たさを感じさせます。一方ネオラスティックはスタイリッシュなデザインの中に、自然のぬくもりをふんだんに残しているのが特徴です。そのため「ネオモダン(Neo Modern)」と表現される場合もあります。

「ロウ(生)」の素材を活かす

ネオラスティックで最も使われている素材は、自然の象徴である原木(加工していない木材)と石でしょう。人工的な加工を施さない「ロウ(生)」の素材を活かし、そこから自然光を室内に取り入れるための大きな窓や、自然の空間を感じさせる吹き抜けのデザインが人気です。これらを現代的な素材やデザインと絶妙に組み合わせることで、洗練されたネオラスティックな空間が完成します。

欧米では、古いカントリーハウス(農家)をネオラスティック・スタイルにリフォームする人が増加傾向です。農家の風合いを残しつつ、アンティークのテーブルやランプ、タンスなどを、現代的なソファーやイス、オブジェと組み合わせる……そんな意外なコントラストが、斬新でスタイリッシュな空間を生みだします。

日本の住まいでも実現できるネオラスティック

日本の生活スタイルや住宅事情を考慮すると、欧米のように暖炉やカントリーハウスを手に入れるのは、少々非現実的でしょう。しかし日本のインテリアにもネオラスティックを取り入れることは可能です。例えば日本を代表する「畳」と、現代的なデザインの皮のソファーや木製の家具を組み合わせてみるのも良いでしょう。

また室内装飾品の装飾品をシンプルなデザインに、リネンやカーテンなどを洗いざらしのコットン素材で統一するだけでも素朴感を演出できます。「キッチンやバスルームは現代的なデザインにする」といった抜け感を家のどこに作ることも重要です。

ネオラスティックの基本ルール

ネオラスティックに絶対的なルールはありませんが、基本となるポイントを抑えることで、イメージしやすくなるでしょう。

  • 自然の素材を建物に取り入れる
  • 現代的なデザインで「抜け感」を作る
  • 新しいモノ、古いモノの境界線を取りはらう
  • 住まい全体を、落ち着いた自然のトーンで統一する
  • 大き目の窓や天窓を利用して、自然光と新鮮な空気をふんだんに取り入れる
  • 手入れの行き届いた、良質のアンティークの家具を効果的に配置する

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