賃貸経営における4Pとは?大きく差が付く入居者募集の考え方
(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
中林準
中林準
サラリーマンとして経理・財務の仕事をこなしがら、社会人2年目(2011年の時に区分マンション購入から不動産投資を始め、2018年に1棟マンションを購入する。現在は都内に4区分マンション、1棟マンションを所有し、年間グロス家賃収入は約2000万円。過去に中国駐在経験もあり。所有資格は、米国公認会計士、日商簿記1級、CFP、1級FP、宅地建物取引士、管理業務主任者。若手のサラリーマン・OLを中心にした不動産コンサルティングも行っている。

賃貸経営をしている限り必ず発生するのが空室であり、その度に入居者を募集する必要があります。入居者募集はオーナーの腕の見せ所であり、大きな差が出るポイントの一つです。

入居者募集を行うにあたって考えるべきことは多いですが、大きく分けると4つの「P」に分類できます。4Pはマーケティングで用いられる考え方ですが、賃貸経営にも応用できます。

今回は、4P戦略を賃貸経営に当てはめて考えていきます。

Place(立地)

まず入居者募集で考えるべきは、Place(物件の立地)です。

本来立地は、物件購入前に検討しておくべき要素です。立地は物件購入後に変えることができないからです。入居者募集での観点としては、自分の物件の立地が競合物件と比べて優位性があるか否かです。

立地に優位性があれば他の要素が弱くても空室は埋まるでしょうし、優位性がなければ他の要素を強くしないと埋まりにくくなります。

重要なのは、客観的に分析を行うことです。自分の物件だと甘く見てしまいがちですが、第三者目線で冷静に分析し、効果的な募集につなげていきましょう。

Promotion(広告)

次に、Promotion(広告)です。ここでいう広告とは、主に物件を紹介してもらう業者数と業者へ支払う広告料を指します。

物件を紹介してもらう業者数や広告料を増やせば、空室が埋まる可能性は高くなります。

広告料で注意すべきことは、一度ある広告料で募集すると、その後広告料を下げると空室が埋まりにくくなってしまうことです。

例えば、今まで家賃2ヵ月分を広告料として募集していた物件を、ある時から家賃1ヵ月分に減額した場合、仲介業者のやる気がなくなることは目に見えています。一時的でも広告料を上げる際には注意して下さい。

また、オーナー自ら仲介業者へ募集依頼するのも一定の効果があります。地場の仲介業者と良好な関係を維持することも広告力を上げるポイントです。

その他にも、物件募集の写真を一眼レフで撮影したり、ホームステージングをして内見者のイメージを膨らませたりすることも入居率向上に寄与します。

Product(設備)

Product(設備)も、入居者募集において考慮しなければなりません。例えば、オートロックがある物件とない物件では、競争力に大きな差があることは明らかです。

自分の物件と競合物件を比較して、設備が劣っているのであれば、費用対効果を考えた上で設備投資を検討すべきでしょう。

例えば、他の物件と比べてセキュリティ面で劣っているのであれば、その差を埋めるためにオートロックを設置したり、玄関のドアをディンプルキーに変更するなどの対策が考えられます。その中でできる限り低いコストで、大きな効果を生む設備投資を選別することが重要です。

TV付きモニターフォンは2~3万円で設置することができ、セキュリティ効果も高いので、いきなり数百万円もするオートロックを設置するより費用対効果は高いと言えるでしょう。

Price(家賃)

最後は、Price(家賃)です。家賃については、それ以外の魅力を上げても内見すら来ないという場合に、はじめて下げることを検討するスタンスが健全と思われます。

家賃を下げることは、キャッシュフローを悪化させるだけでなく、物件売却時の売却価格下落につながります。部屋数が多ければ、1部屋あたりの家賃減額が少額であっても、総額にすると大きな金額になります。

したがって、広告や設備の部分で入居者募集力を上げて、それでも入居者が決まらない場合に家賃を下げるようにしましょう。このような努力をせずに、安易に家賃を下げることは避けるべきです。

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