ここ数年、首都圏を中心に不動産価格が急上昇したため高止まり感が強まっており、その波は近畿圏や東海圏、その他の地方都市に広がりつつあります。なかでも、このところ注目度が高いのが近畿圏です。今後不動産投資を考えるのであれば、近畿圏にも注目すべきでしょう。
首都圏の不動産価格は高くなり過ぎている?
まずは、国土交通省が毎年1月1日現在の地価を調査・公表する「公示地価」の2019年分の結果を見てみましょう。地価の先行指標と言われる商業地の対前年比上昇率を見ると、全国平均の2.8%に対して東京圏は4.7%、大阪圏は6.4%です。2018年分でも東京圏より大阪圏の上昇率が高くなっており、東京圏の上昇の波が大阪圏に移りつつあることがわかります。
2019年の公示地価(商業地)において、最も上昇率が高かった地点はニセコがある北海道の倶知安町でしたが、2位は大阪市中央区日本橋1丁目、3位は大阪市北区茶屋町、4位は京都市、5位は大阪市北区芝田1丁目でした。いずれも前年比40%台と極めて高い上昇率でした。なお、上昇率トップ10には東京圏の調査地点は入っていません。
マンション価格も東京圏は頭打ちか
民間調査機関の不動産経済研究所の調査結果から、新築分譲マンションの平均価格の推移を見ると、首都圏では2009年は4,535万円でしたが、2018年には5,871万円まで上昇しています。この9年間で29.5%も上がっているのです。東京都区部に限ると、2009年の5,190万円が2018年には7,142万円まで上昇しており、この間の上昇率は37.6%です。
一方、近畿圏は2009年の平均が3,411万円、2018年は3,844万円でした。上昇率は12.6%で、首都圏の半分以下の上昇率にとどまっています。大阪府に限ると2009年が3,472万円、2018年は3,742万円で、この間の上昇率は7.7%です。東京区部の37.6%に比べると5分の1程度の上昇率にとどまっています。
これらを踏まえると、首都圏に比べて割安感のある近畿圏のマンション価格が上昇する可能性が高まっていると言えるでしょう。区分所有マンションや1棟マンションの投資先として有望であり、資産価値の大幅な向上が期待できます。
訪日外国人観光客の訪問率トップは大阪府
近畿圏の将来を考える場合、最も大きな要素になりそうなのがインバウンド動向です。近畿圏には独特の文化が息づく大阪のほか、京都や奈良といった観光資源が豊富な地域が多くあります。
観光庁の調査によると、訪日外国人観光客の訪問率が最も高かったは大阪府の41.8%で、東京都の41.6%をわずかながら上回っています。2019年には、堺市を中心とする「百舌鳥・古市古墳群」がユネスコの世界文化遺産に登録され、さらに人気が高まることが予想されます。
さらに、2025年には55年ぶりに大阪で万国博覧会が開催されることが決まっています。国の試算によると大阪万博の経済効果は2兆円と見込まれており、世界から150ヵ国・地域が参加、およそ半年間で世界から2,800万人の来場を見込んでいます。
IR(統合型リゾート)やなにわ筋線の開業も
大阪市や大阪府は、大阪万博が開催される大阪湾の人口島である夢洲(ゆめしま)で、カジノの開設も可能なIR(統合型リゾート)の開業を目指しているとも言われています。実現すれば、近畿圏の経済活性化に大きく貢献するでしょう。
さらに、長らく懸案となっていた「なにわ筋線」の開業が認可され、2031年の開業に向けて動きが加速しています。同線は大阪の中心部である梅田や中之島、難波などを南北に縦貫する新線で、大阪の中心部と関西空港、新幹線の新大阪駅がダイレクトにつながり、近畿圏の交通アクセスが一段と向上します。不動産投資先として、今後近畿圏の魅力がいっそう高まりそうです。
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