この記事では、不動産クラウドファンディングを始める人が、ゼロから実際に投資を行うまでの手順(業者選び、登録、口座開設など)をわかりやすく解説します。
*不動産クラウドファンディングの始め方は、プラットフォームによって細かい点が異なります。ここでは、業界大手を例に一般的な流れをご紹介します。
目次
不動産クラウドファンディングの業者を選ぶ
不動産クラウドファンディングの手順1は、「業者の比較と選択」です。「プラットフォーム(公式サイト)の傾向」や「運営業者の信頼度」を確認した上で、安心して運用できそうだと感じる不動産クラウドファンディングを選ぶことが大切です。
「プラットフォーム」のチェックポイント
プラットフォームの選定では、「利回りの傾向」と「ファンド新規募集のペース」に注目しましょう。
・利回りの傾向 不動産クラウドファンディングの利回りは、プラットフォームやファンド(案件)ごとに3〜10%以上とかなりの幅があります。一般的に、投資商品は「高利回りだとリスクも高い」といわれています。特に高利回りのファンドが多いプラットフォームは、高利回りを実現できる理由や、後述する「運営業者」のチェックをしっかり行いましょう。
・ファンドの新規募集のペース ファンドの新規募集のペースは、プラットフォームによって異なります。なるべく早く不動産クラウドファンディングを始めたいなら、ファンドを高頻度で組成しているプラットフォームを選ぶとよいでしょう。
「運営業者の信頼度」のチェックポイント
不動産クラウドファンディングを始めるということは、大切なお金を運営業者に預けるということです。このことを考えると、プラットフォームを運営する業者の信頼度も重要な比較要素といえます。
具体的な信頼度の確認では、運営業者の公式サイトを見て、以下をチェックしましょう。
・本業の内容
・会社の設立年
・事業の規模 など
例えば、社歴が長くて上場している不動産会社が運営しているプラットフォームなら、「信頼性が高い」と判断するといった具合です。
*ただし、上記のような企業が運営する不動産クラウドファンディングでも「元本割れリスク」はあります。
会員登録を行う
不動産クラウドファンディングの始め方の手順2は、「会員登録」です。会員登録をすることで、プラットフォーム上に掲載されているファンドの詳細情報を閲覧できたり、最新情報が配信されたりします。
会員登録はメールアドレスの入力やパスワード設定など、簡単な手続きによって行えます。登録する場所は、プラットフォーム上で「会員登録はこちら」のように案内されているケースが多いです。
投資家登録を行う(投資口座の開設)
不動産クラウドファンディングの始め方の手順3は、「投資家登録」です。投資家登録をすることで、ファンドに投資するための投資口座を開設できます。投資口座は、株式投資でいえば証券口座です。必要に応じて、証券口座に保管しているお金を出し入れして投資を行います。
プラットフォーム上で必要な情報を登録し(下記参照)、審査に通過すると投資口座を使えるようになります。
▽投資家登録に必要な情報の例 ・氏名、住所、電話番号 ・職業、年収、金融資産の状況 ・投資の経験、投資資金の性格(例:余裕資金)など
通常、投資家登録の審査結果は登録したメールアドレスに送られます(審査期間の所要期間:登録後1〜5日程度など)。投資家登録の審査は、投資家の元本を守るための重要な手続きなので、基本情報や投資の経験などの情報を正しく入力しましょう。
また、口座開設費用・維持手数料は無料のところが多いようです。ただし、自身の口座から投資口座へ入金する際の振り込み手数料、逆に投資口座から自身の口座へ払い戻す際の費用は負担するケースが多いので覚えておきましょう。
投資家登録では本人確認書類が必須
投資家登録をする際は、本人確認書類を提示する必要があります。本人確認の方法は、以下の2つです。
・スマートフォンで確認する ・郵便を受け取って確認する
手続きは「スマートフォンで確認する」のほうが簡単で、提示する本人確認書類の数が少なくて済みます。例えば、以下のうちの1つを提示するといった具合です。
▽スマートフォンで本人確認をする場合の書類の例 ・運転免許証 ・個人番号カード ・在留カード
投資口座へ資金を入金する
不動産クラウドファンディングの始め方の手順3は、「投資口座への資金の入金」です。あらかじめ投資口座に資金を入れておくと、その後のファンドへの投資をスムーズに行えます。具体的には、プラットフォームが指定する銀行口座にお金を振り込むと投資口座に反映されます
なお、投資口座への振込手数料は負担するケースがほとんどですので、頭に入れておきましょう。
*入金が反映されるまでの期間の目安は、プラットフォームごとに違います。 *ファンドに投資する前であれば、投資口座に入っている資金は自由に出金できます。
ファンドを精査する
不動産クラウドファンディングの始め方の手順4は、「ファンドの精査」です。投資するファンドの概要ページ(詳細情報)を読み込むことは、リスク回避のために欠かせません。ファンドの内容を精査して投資するのが、リスク軽減の鉄則です。ファンドのチェックポイントは以下のとおりです。
利回りと運用期間の関係
利回りは数値(パーセント)だけでなく、運用期間とも照らし合わせて確認しましょう。通常、ファンドの概要ページで示されている利回りは年利なので、期間が短くなると(例:3ヵ月など)その分受け取れるリターンが減ります。
また、概要ページで示されている利回りは、あくまでも想定利回りです。確約された利回りでない点にも注意が必要です。
【関連記事】
不動産クラウドファンディングを「運用期間」で選ぶ際に知っておくべきこと
物件情報
ファンドの概要ページでは、物件の立地・種類・特徴などの情報の他、運用時のリスクやそれを回避する考え方も示されています。これらの内容を理解して、「リスクが小さい」と思われる場合のみ投資を行いましょう。
概要ページの情報量は、不動産クラウドファンディングごとに違います。初心者は概要ページの情報量が多く、説明がわかりやすいプラットフォームを選ぶこともポイントです。
優先劣後方式の割合
優先劣後方式を採用しているファンドでは、不動産クラウドファンディングで損失が発生しても、一定の割合まで投資家の元本が守られます。事業者側の出資(劣後出資)の割合が高いほど、投資家側の元本割れリスクが下がります。
【関連記事】
不動産クラウドファンディング選びで「優先劣後方式」を重視すべき理由
リターンの原資
不動産クラウドファンディングのリターンの原資は、以下の3通りです。
パターン | リターンの原資 |
---|---|
1.インカムゲイン型 | 家賃収入が原資になる |
2.キャピタルゲイン型 | 売却益が原資にする |
3.上記を組み合わせたパターン | 一般的にインカムゲインの割合が高いほうがリスクは低い |
一般的に、安定運用を重視するならインカムゲイン型のファンドが向いています。
【関連記事】
キャピタル型とインカム型の違いとは?不動産クラウドファンディングの事例を紹介
投資申込みを行う
不動産クラウドファンディングの始め方の手順5は、「投資申込み」です。
ファンドの内容を精査した結果、投資すると判断した場合は、おおむね以下の手順を踏むことになります。
1.インターネット上で「重要事項説明書(契約成立前書面)」に目を通して問題なければ了承する 2.希望口数を入力する 3.その後ボタンをタップ(クリック)して「投資申込み」の意思を示す
以上で申込みは完了です。
「先着順方式」のファンドでは、手続きなどに問題がなければ投資が成立し、「抽選方式」のファンドでは当選連絡を受けた場合のみ投資が成立します。その場合は、インターネット上で「契約書(契約成立時書面)」を取り交わします。 *これらの書面の呼び方は、プラットフォームによって異なります。
不動産クラウドファンディングを始めた後の補足
Q.不動産クラウドファンディングは解約できる? A.ファンドに投資した後は、原則的に中途解約はできません。中途解約が認められるのは、契約者の死亡や破産手続きの開始決定などのケースに限られるため、注意しましょう。
Q.分配金はいつ振り込まれる? A.不動産クラウドファンディングを始めた後、投資口座に分配金がいつ振り込まれるかはファンドごとに違います。例えば、インカムゲイン型であれば毎月月末、キャピタルゲイン型であれば売却後に振り込まれることがあります。
まとめ:まずは少額で複数のプラットフォームを試してみよう
不動産クラウドファンディングの始め方についてお伝えしましたが、「意外と大変そうだな……」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際に不動産クラウドファンディングを始めてみると、それほど時間はかかりません。ネット上での手続きに慣れている人であれば、会員登録や投資家登録は10分程度で済みますし、不動産投資の基本知識がある人なら、ファンドのチェックも数十分程度で終わるのではないでしょうか。
1万円など手軽な投資金額を設定できるのが、不動産クラウドファンディングの利点です。まずは少額投資で複数のプラットフォームを試して、相性の良いものを選ぶのが効率的かもしれません。
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