晩婚化・未婚化による単身世帯、共働き世帯の増加が進む中で、料理や掃除、洗濯といった日々の家事を代行してくれる、「家事代行」のサービスが普及しています。特に経営者や会社役員などの収入が高く多忙な世帯は、家事に割く時間を仕事に充てるために、富裕層向けの高品質な家事代行サービスを利用する価値があるでしょう。
本記事では、「時間をお金で買う」という経済的合理性の観点から、富裕層世帯は年収いくらから家事代行の利用を考えるべきかについて解説します。
目次
一般的な家事代行サービスの利用状況は?
一般的な家事代行サービスの利用状況について、以下3つの観点からデータを解析します。
・家事代行サービスを利用している世帯の割合
・家事代行サービスの利用者の世帯年収
・家事代行サービスの利用者の中で最も多い世帯年収
なお、参照データが直近のデータではない(2018年のデータ)ため、数値はあくまで参考値として紹介します。
家事代行サービスを利用している世帯の割合
株式会社野村総合研究所が2018年に発表した調査「平成29年度商取引適正化・製品安全に係る事業
(家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究)調査報告書」(以下「本調査」)によると、一都三県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)、大阪府、兵庫県の3,091世帯の家事代行サービス利用状況は以下の通りです。
回答内容 | 割合 |
---|---|
現在、利用している | 1.8% |
過去に利用していたことがある (現在は利用していない) | 4.7% |
サービスは知っているが、利用したことがない | 77.7% |
サービスを知らなかった | 15.8% |
「現在、利用している」と回答したのはわずか1.8%、「過去に利用していたことがある(現在は利用していない)」と回答した割合を合わせても6.5%と、家事代行サービスの利用率は低いといえます。
過去の利用者が家事代行サービスを利用しなくなった理由として最も多かったのは、「サービス料金の家計への負担が大きかったため」という経済的な負担でした。
家事代行サービスの利用者の世帯年収
本調査によれば、家事代行サービスの利用者の平均年収(世帯)は570万円でした。
調査対象に45歳以上の世帯や共働きの世帯も入っていること加味すると、必ずしも高所得の世帯ばかりが家事代行サービスを利用しているとはいえないでしょう。
家事代行サービスの利用者の中で最も多い世帯年収
本調査によれば、家事代行サービスを最も多く利用しているのは、年収700万円以上から1,000万円未満の既婚・共働きの世帯です。
共働き世帯においては夫婦のどちらも多忙であることが多いため、家事代行サービスの利用率が相対的に高くなることは想像に難くないでしょう。
富裕層向け家事代行のサービス内容と料金体系は?
富裕層向け家事代行サービスでは、どのようなサービスをどのくらいの価格で受けることができるのか、実際の利用状況はどのようになっているかを以下3つの観点から解説します。
・富裕層向け家事代行のサービス内容
・富裕層向け家事代行の料金体系
・富裕層の利用状況
富裕層向け家事代行のサービス内容
富裕層向け家事代行の主なサービス内容は以下の通りです。
・掃除、片付け:水回りや居室の清掃、ゴミ出し
・洗濯:洗濯および乾燥、洗濯物畳み、アイロン、ベッドメイク
・買い物、料理:食材の買い物、料理、片付け、食器洗い
・その他:お子様やペットの世話、病院の付き添い、別荘の管理、長期出張中の留守宅管理等
別荘の管理や長期出張中の留守宅管理等のサービスは、別荘を所有していたり海外出張等で長期間不在にしたりすることの多い富裕層向けのサービスといえるでしょう。
サービス内容の幅広さに加えて、スタッフ採用基準の厳格化によってサービスの質の高さが担保されていることも大きな特徴の一つです。
会社によっては、以下のようにかなり厳格な採用活動を行なっているところもあります。
・採用において100以上の項目をチェックしている
・採用率が5%以下である
・派遣登録制ではなく自社雇用のスタッフで対応している
・採用にあたり公的な身分証明書に基づいて100%身元確認をしている
・家計を別にする身元保証人を立てることを義務付けている
富裕層向け家事代行の料金体系
サービスの料金は基本的に、利用時間・対応スタッフの人数・サービス内容・利用頻度の組み合わせによって決まります。
サービス内容は、掃除や洗濯のみの軽いプランから、プロによるハイクオリティな掃除サービスまで、幅広いプランが用意されています。
例えば、利用プランの1時間あたりの料金×1回あたりの利用時間×月間利用回数=月額料金(交通費は別途)というように料金体系が決まるということです。
富裕層の利用状況
富裕層に特化して家事代行サービスを提供する株式会社ロビーの独自調査をもとに、利用状況を以下3つの観点から分析してみよう。
・年齢および性別
・職業
・利用する理由
男女比は、首都圏・関西圏ともに女性が半数以上という状況で、首都圏では56%、関西圏では58%が女性の利用者です。
年齢は、首都圏・関西圏ともに30代から50代の割合が半数以上を占めており、首都圏では40代、関西圏では50代がいずれも30%台前半で、最多の割合を占めています。
利用者の職業は、首都圏・関西圏ともに経営者・会社役員が最多で、首都圏では48%、関西圏では42%の割合を占めています。
経営者・会社役員に次いで多いのは、首都圏・関西圏ともに医師で、首都圏では11%%、関西圏では20%という結果でした。
利用する理由は、首都圏・関西圏ともに「忙しい」が最も多く、首都圏では30%超、関西圏では約20%の割合を占めています。
富裕層向け家事代行サービスの料金相場
富裕層向け家事代行サービスの料金(スタッフ1人、1時間あたり)は、利用するプランによって異なりますが、概ね3,000~5,000円/時間が相場です(交通費も含む)。
料金については、どの程度のサービスを依頼するか、どの会社を利用するかによって異なるため、事前に相見積もりを取るなどして確認するといいでしょう。
家事代行サービスの利用は年収いくらから考えるべき?
「時間をお金で買う」という観点から、家事代行サービスの利用は年収いくら以上の世帯であれば経済的な合理性があるかを考えてみましょう。
経済的な合理性を判断するにあたっては、「その世帯の時給と家事代行サービスの料金(1時間あたり)を比較してコストパフォーマンスが合うか」を基準とします。
富裕層向け家事代行サービスの料金(スタッフ1人、1時間あたり)は、概ね3,000~5,000円/時間が相場であるため、その世帯の時給が3,000~5,000円以上であれば家事代行サービスを利用する経済的な合理性があるといえます。
時給が3,000~5,000円とは、年収に換算するといくらくらいになるか試算してみましょう。
以下の条件を前提として、時給から年収を算出します。
・1日の労働時間:8時間
・1ヵ月の出勤日数:20日
・手当を含まない額面年収で試算
・賞与は含まない
時給3,000円の場合、年収は以下のように576万円と試算されます。
8時間×20日×12ヵ月×3,000円/時間=576万円/年
時給5,000円の場合、年収は以下のように960万円と試算されます。
8時間×20日×12ヵ月×5,000円/時間=960万円/年
上記の試算から、世帯年収がおおよそ600〜1,000万円以上の世帯であれば、家事代行サービスの利用を検討する価値(経済的合理性)があると評価できるでしょう。
1時間あたりのコストパフォーマンスを比較して利用すべきか否かを考えよう
1時間あたりの生産性が高い富裕層にとって、「時間をお金で買う」ということは非常に合理的な選択でしょう。家事に割いている時間を仕事に充てることで、家事代行サービスにかける金額よりも多くのお金を稼ぐことができるのであれば、家事代行サービスを利用する経済的な合理性は大いにあるといえます。
家事代行サービスの利用を検討する際は、自分の時給と家事代行サービスにかける1時間あたりの金額を比較して、コストパフォーマンスが高い方を選択するのが賢明といえそうです。
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