元本割れしない投資先は?超堅実な資産運用向きの商品を紹介
(画像=Dilok/stock.adobe.com)

元本割れしない投資商品で「安定的な資産運用をしたい」と考える人はいませんか。元本割れリスクが限りなく低い代表的な投資先は「預金」「国債」「保険」です。

本稿では、上記3つに加え、安定性の高い投資先について紹介します。

目次

  1. 元本とは?元本割れしない投資の意味は?
  2. 元本割れしづらい投資先は「預金」「国債」「保険」 正しい選び方のポイント
  3. リスクを抑えつつも、ある程度のリターンを得られる投資商品を選ぶことも大事
  4. 不動産クラウドファンディングは、運営企業とファンドを精査するのが大事

元本とは?元本割れしない投資の意味は?

元本とは、リターンを生み出す元になるお金のことです。例えば、次のようなものが挙げられます。

・投資信託や株式を購入するための代金
・預貯金への預け入れるお金
・不動産投資ローンの頭金 など

いくら有望な投資商品であっても元本がないとリターンを得ることはできません。「十分な元本を用意すること」は、資産運用を成功させる絶対条件といえます。

元本割れとは、元本よりも少ない資金しか戻ってこないこと

元本割れとは、投資の結果、元本よりも少ない金額しか手元に戻ってこないことを指します。例えば、投資商品を100万円分購入して売却したら90万円しか戻ってこない場合、「元本割れ」ということになります。

元本割れしづらい投資先は「預金」「国債」「保険」 正しい選び方のポイント

「超堅実な資産運用したい」という人は、元本割れリスクが限りなく低い投資先を選ぶのが得策です。具体的には、次の3つが挙げられます。

・預金
・国債
・保険

以下では「預金」「国債」「保険」を選ぶ際のポイントについて解説します。。

国債のポイント

世界各国から国債が発行されていますが、「元本割れしづらい投資先」というテーマで選ぶなら、個人向けの日本国債がおすすめです。個人向け日本国債には、次の3通りの選択肢があります。

・変動10年
・固定5年
・固定3年

このうち狙い目は「変動10年」です。元本割れしない魅力だけでなく2023年7月の日本銀行の金融緩和修正の影響を受けて利率が上昇傾向となっています。変動10年の国債の2022年初旬の金利水準(税引前)は0.1%未満でしたが、直近の金利は0.39%(第161回/2023年9月15日発行分)に急上昇しています。今後さらなる金融緩和があれば、金利上昇がますます期待できるでしょう。

注意したいのは、国の財政悪化や破たんにより、債務不履行(=債券の利息や額面金額を支払われないこと)の可能性があることです。満期になる前に中途換金ができるため、債務不履行リスクが高まってきたら早めに現金化してリスクを回避することも可能です。

※個人向け日本国債は、発行後1年以上経過で中途換金ができます。また中途換金時は一定額が差し引かれます。

預金のポイント:日本円建ての預金を選ぶ

金融機関にお金を預け入れる預金も元本割れしづらい投資先の一つです。仮に金融機関が破たんしても預金保険制度によって一人あたり「元本1,000万円まで+破たん日までの利息」が預金保険機構によって保護されます。ただし同じ金融機関に複数の口座がある場合は、これらが合算されてしまうため注意しましょう。

例えば、同じ金融機関に普通預金1,000万円、定期預金1,000万円を預け入れている場合、両者が合算されて1,000万円+破たん日までの利息までしか保護されません。つまり預金額が1,000万円を超える部分は、別の金融機関に預け入れたほうが安全です。また米ドルなどの外貨預金は、預金保険制度の対象外となるため、注意しましょう。

国内の金融機関に預金をしても外貨預金は為替リスクがあるため、元本割れを避けたいのであれば日本円建ての預金を選ぶことが大切です。

保険のポイント:中途解約をしない

保険商品のなかには、満期まで契約し続ければ「元本以上の保険金」となるものもあります。安定性を重視している人なら、このタイプの保険を活用することも手です。例えば「明治安田生命 じぶんの積立」の場合、満期保険金の受取率は103%です。

ただし元本保証されていると思い込んでいたのに実際は違ったというケースもあります。例えば、外貨建て保険の場合、元本保証と打ち出していても満期時の為替相場が契約時よりも大幅に円高なら実質的に元本割れになるケースもあります。

安全性こだわるなら円建ての保険がおすすめです。とはいえ円建ての保険でも中途解約してしまうと元本割れする商品もあります。中途解約をしたときの条件は各保険商品で異なるため、商品説明や契約書をしっかりと読み込みましょう。

リスクを抑えつつも、ある程度のリターンを得られる投資商品を選ぶことも大事

資産運用をしていくうえでは、ある程度のリターンを得られる商品を織り交ぜていくことも重要です。その理由は次の通りです。

運用効率が下がってしまう

ここまで元本割れしづらい投資先として「国債」「預金」「保険」を紹介してきました。ただし元本割れしづらい投資商品だけで資産運用をすると全体的に利回りが低くなり、物価上昇率を下回る可能性もあります。そうなってしまうと所有している資産の金額や価値は変わらない、または増えていても実際には資産が目減りしているため、要注意です。

資産の安全性を確保しながら物価上昇率を上回る利回りを確保するには、元本割れリスクが低いけれど一定の利回りが期待できる投資商品を選んでいく必要があるでしょう。例えば、以下のような投資商品があります。

投資信託:標準偏差の少ない銘柄を選ぶのがポイント

投資信託のなかでも「標準偏差」の少ない銘柄は、安定性が高いと考えられます。金融商品における「標準偏差」とは、リターンのばらつきを統計的に表した数値です。一般的に株式や投資信託は、リターンのバラつきが大きくなるほどハイリスクとなります。標準偏差(バラつき)の少ない銘柄はローリスクのため、元本割れリスクが低いといえるでしょう。

例えば、三菱UFJ銀行では標準偏差の少ないローリスクローリターン銘柄として 「ノルディック社債ファンド 為替ヘッジあり」「eMAXIS最適化バランス(マイゴールキーパー)」などの銘柄を紹介しています(2023年8月14日時点)。
参考:三菱UFJ銀行「検索アシスト ローリスクローリターン

不動産クラウドファンディング:ファンドごとの優先劣後に注目

不動産クラウドファンディングのなかでも「優先劣後方式」を採用しているファンドは、元本割れリスクが低いと考えられます。不動産クラウドファンディングとは、以下の流れで得た利益を元手に個人投資家に分配金を支払う投資商品です。

1. 個人投資家から集めた資金を元手に事業者が不動産を購入
2. 不動産を運用することで事業者が家賃収入を得る
3. 不動産を売却して事業者が売却益を得る
4. 家賃収入や売却益を元手に事業者が個人投資家へ分配金を支払う
※あわせてあらかじめ決まった償還日に元本が返却される

近年は、数々の不動産クラウドファンディングのプラットフォームが立ち上げられ、ファンドが組成されています。安定性の高い投資を目指すなら、「優先劣後方式」を採用しているファンドを選択するのがよいでしょう。

優先劣後方式とは、空室や売却損などによって損失が出ても、一定の比率まで投資家の元本が守られる仕組みです。例えば、優先出資(投資家側)80%、劣後出資(事業者側)20%なら発生した損失が全体の20%までの範囲内なら投資家の元本が守られます。

つまり以下の比較のように劣後出資の比率が高いファンドほど元本割れリスクが低いということです。

・ファンドA:優先出資80%:劣後出資20%
・ファンドB:優先出資70%:劣後出資30%
→(同じ条件であれば)ファンドBのほうが元本割れリスクが低い

不動産クラウドファンディングは、運営企業とファンドを精査するのが大事

最後に不動産クラウドファンディングについて補足します。ファンドを選ぶときの注意点としては、利回りの高さや劣後出資比率の高さだけでなく、プラットフォームの運営企業やファンドの中身を精査することが大切です。運営企業のチェック項目の例には、以下のようなものがあります。

・不動産に関する業務を長年しているか
・上場企業か
・直近の業績はどうか
・非上場企業なら社員数や資本金が多いか など

またファンドのチェック項目の例は、以下の通りです。

・賃貸ニーズのある立地や物件の種類か
・空室が発生しても家賃収入が得られるマスターリース契約か など

筆者が把握している不動産クラウドファンディングの範囲内では、これまで元本割れしたことがありません(2023年8月15日時点)。資産の保護を重視する個人投資家にとっては、これもプラス材料といえるのではないでしょうか。とはいえ元本割れしていないのは、あくまでも過去の話です。運営する企業やファンドの中身をしっかりとチェックして慎重に投資することが求められます。

本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

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