不動産から得られるキャッシュフローを増やす方法にはコスト削減や家賃アップなどがありますが、保有物件を最大限に活用しても、今までのキャッシュフローを2倍、3倍にすることは難しいでしょう。
そこで、新たな不動産を購入することによって規模の拡大を図ることを考えるわけですが、融資の受け方によって、規模を拡大しやすい方法としにくい方法があります。
融資の受け方はできるだけ早い段階で知っておきたい知識です。なぜなら、規模を拡大しにくい方法で融資を積み上げてしまうと、規模を拡大しやすい方法に切り替えるのが難しくなってしまうからです。
ここでは、規模の拡大を考えるうえで重要となる、法人融資と個人融資の違いを中心にお伝えします。
法人融資のメリット・デメリット
まずは、法人融資のメリット・デメリットについて整理します。デメリットは以下のとおりです。
- 法人設立費用がかかる
- 法人維持費用がかかる(法人住民税など)
- 新設法人の場合、個人融資と比べてハードルが高くなる
- 個人の所得によっては、税率が高くなる可能性がある
- 確定申告の代行費用が個人と比較して高い
新設法人は法人としての実績がないため、審査においては個人年収と物件の担保力のみが判断基準になります。
金融機関側からすると、個人融資であれば、返済が滞った場合直接その個人に請求できますが、法人融資の場合は法人に請求することになります。合同会社の場合は代表社員が連帯保証人となっているケースがほとんどなので、法人への請求=個人への請求となりますが、代表社員を入れ替えるなどの逃げ道があるため、金融機関としては法人融資のほうがリスクは高いと言えます。
したがって、個人融資のケースと比べて求める個人年収や、求める物件の担保力は高くなるケースが多いのです。
一方、法人融資のメリットには以下のようなものがあります。
- 個人の所得によっては、税率が下がることもある
- 法人としての事業性が認められる限り、融資の上限額が明確に設定されていない
- 連帯保証人を外すことができれば、リスクフリーになる
上記が、法人融資の主なメリットとデメリットです。
個人融資のメリット・デメリット
個人融資のメリット・デメリットは、基本的には法人融資のメリットとデメリットの逆になります。
個人融資のメリット
- 法人融資と比べてハードルが低い傾向
- 法人の設立費用や法人住民税、各種登記費用などのコストがかからない
- 所得によっては、法人と比べて税率が低くなる
個人融資のデメリット
- 高所得者は法人と比べて税率が高くなる
- 融資の限度額が決まっている(年収×○○倍)
- 債務を完済しない限りリスクフリーにならない
これらの内容を踏まえて、次の章ではメガ大家と呼ばれる10億円以上の規模まで拡大するための融資戦略について見ていきます。
メガ大家を目指すなら法人融資
すでにお気づきかもしれませんが、メガ大家と呼ばれる規模にするためには、法人融資で不動産を購入していく必要があります。
ただし、個人融資でも10億円以上の規模まで拡大できないことはありません。例えば「年収×15倍」まで融資をする金融機関に融資を申し込む場合、年収が7,000万円あれば融資可能額が10億円を超えます。また現金が潤沢にあれば、そもそも融資を受ける必要がないため、10億円規模まで拡大することはできるでしょう。
しかし、そのような人はほんの一握りなので、規模を拡大したいのであれば、やはり法人融資を考えるべきでしょう。
確かに法人を設立すると維持費がかかりますが、法人としてコツコツと実績を積み上げていけば事業性が認められ、その信用力で借入ができるようになります。
そうなれば脱サラをしても融資が受けやすくなりますし、事業性が認められる限り融資の上限はないので、規模を拡大しやすくなります。
自分の年収の10~20倍ぐらいの規模で目標とするキャッシュフローを得られるなら、あえて法人設立をする必要はないでしょう。一方、個人融資の限度額では目標とするキャッシュフローが到底達成できない場合は、早い段階で法人融資を検討したいところです。
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