超低金利時代においては、一般的な資産運用では大きな利益は期待できません。そこで検討したいのが、住宅関連企業の株主優待です。リフォームの金額によって商品券が支給されたり、ハウスクリーニングが大幅に割引されたりと、家主にとってはメリットが大きいと言えますが、どの程度お得になるのでしょうか。
株主優待銘柄は「総合利回り」が高い
個人投資家の間で人気の株主優待は、株主になった企業から自社商品や自社施設招待券、ギフトカードなどが贈呈されるお得な制度です。株主優待投資においては、配当と優待を合わせた「総合利回り」という独自の指標があります。
例えば、15万円で購入した外食株の配当収入が年間2,000円であれば、配当利回りは1.3%です。これでは高配当とは言えませんが、そのほかに優待食事券が年間3,000円分支給されれば、総合利回りは3.3%に跳ね上がります。株主優待銘柄への投資を考える場合は、総合利回りで判断する必要があります。
株主優待銘柄は総じて総合利回りが高い傾向にあるため、長期保有を前提とすればかなり有利な資産運用ができるでしょう。
リフォームに対する優待内容
ここでは、賃貸住宅のオーナーにメリットがある株主優待をいくつか紹介します。
住宅設備最大手のLIXILグループ(東証1部・証券コード5938)の株主には、100株以上の保有でリフォームの工事代金(LIXILグループ製品関連部位のみ)に応じて、以下のようにギフトカードが贈呈されます。
- 工事代金20万円以上100万円未満 ギフトカード3万円
- 同100万円以上200万円未満 同5万円
- 同200万円以上、かつ対象商品2つ以上採用 同10万円
ギフトカードは現金と同等の価値があるため、実質的にはリフォーム工事の代金に補助金が出ると考えることもできます。
ハウスクリーニングに対する優待内容
同じくLIXILグループの株主優待では、ハウスクリーニング(レンジフード、キッチン、浴室、エアコンなど)、保管付き衣類クリーニング、保管付き布団丸洗いクリーニングを以下の割引価格で利用できます。
- 1万5,000円以上(税抜)で、税込価格から5,000円割引
- 1万5,000円未満(税抜)で、税込価格から3,000円割引
国土交通省のガイドラインによると、原状回復において次の入居者を確保するためのハウスクリーニングは、賃貸人(オーナー)の負担が妥当とされています。3,000~5,000円割引になれば、その分のコスト削減につながります。
ほかにもある住宅系の優待内容
そのほかにも、住宅関連の株主優待はいくつかあります。
金属屋根製品トップの元旦ビューティー工業(ジャスダック・証券コード5935)の株主優待は、100株以上の保有で屋根の無料診断と、屋根工事(金属屋根、シート防水、建材一体型太陽光発電)代金の20%割引を受けることができます。
このところ大きな台風が毎年のように発生しているため、屋根の状態が気になるオーナーは無料診断を受けるだけでも価値があるかもしれません。
家具やリビング用品の購入を考えるなら、家具製造小売最大手のニトリ(東証1部・証券コード9843)の割引優待もお得です。100株以上の保有で10%割引券が5枚贈呈されます(1年以上保有は10枚)。
共有ラウンジスペースに設置するソファセットをまとめて購入する場合などに適しており、1枚の優待券で10万円(税込)まで有効なので、5枚使えば50万円の購入額に対して5万円の割引を受けることができます。
清掃用品レンタルサービス大手のダスキン(東証1部・証券コード4665)では、100株以上保有している株主に年間2,000円分(3年以上の保有は3,000円分)の優待券が贈呈され、ピンポイントの修繕に利用できる「ホームリペア」や、害虫の駆除や予防に利用できる「ターミニックス」など清掃に関するさまざまなサービスに使うことができます。
株主優待を賃貸経営に上手に活かそう
資産運用をしながら物件のメンテナンスにも使える住宅関連企業の株主優待投資は、賃貸オーナーにとって有益な選択肢の一つと言えそうです。銘柄選びに迷った際には、賃貸経営にメリットのある銘柄から選ぶのも一つの手かもしれません。
※本記事は当該銘柄への投資を推奨するものではありません。参考程度にお考えください。
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