Cop25がスペイン・マドリードで開催され、日本から小泉環境大臣が参加しました。日本は環境問題に活発に取り組んでいない国として、開催中2回も化石賞という不名誉な賞を受賞しました。
スウェーデンの高校生 グレタ・トゥーンベリさん(16)が始めた「Fridays for the Future」は世界中に波及、トゥーンベリさん自身も国連において、環境問題に真剣に向き合わない政治家や官僚、企業を痛烈に非難しました。
このような状況下で、再生可能エネルギーの有効活用が必須であることは間違いありません。
その中で、投資としての太陽光発電は本当にオワコンなのでしょうか。太陽光発電の現状を探ってみましょう。
日本の電源構成比率
2019年6月に資源エネルギー庁から発表された2017年の日本の電源構成比率は、上のグラフのとおりです。
天然ガスや石炭、石油資源などの化石燃料が占める割合は81%と依然として大部分を占めています。原子力が3%、地熱および新エネルギーはわずか8%です。その8%の中で太陽光発電が占める割合は約6.4%。このように、日本の電力はその大部分を化石燃料に頼っているのです。
買取価格の下落
自宅の屋根に設置した発電装置ではなく、売電を目的とした太陽光発電のFIT(固定価格買い取り制度 10KW以上500KW未満)を見ていきます。電力会社による買取価格の推移は、以下のとおりです。
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
---|---|---|---|---|
32円 | 29円 | 21円 | 18円 | 14円 |
(出典:資源エネルギー庁HPより筆者作成)
FIT(固定価格買取制度)をおさらいしておきましょう。
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用の一部を、利用者から賦課金というかたちで集め、今はまだコストが高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます。この制度によって、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、普及しやすくなります。
(経済産業省 資源エネルギー庁HPより)
FITが始まったのは2012年で、そこから20年間は買取価格が保証されています。「その後は発電業者と電力会社間の協議に任せる」というのが現在の政府側のです。
投資利回り
投資対象として太陽光発電を捉えた場合、その想定利回りが10%を超える案件は珍しくありません。さらに様々な金融機関が融資制度を用意しています。その中心となるのが、銀行や政策金融公庫、信販会社などです。
土地付き発電設備に投資する場合、不動産投資と同様にある程度の頭金を拠出し、融資を使ってレバレッジをかけます。日当たりの良い土地を自力で探すのは難しいので、利回りが事前に設定され、パッケージ化された投資商品を購入するケースがほとんどです。
太陽光発電設備に融資をする各金融機関の方針は、不動産投資に対する融資方針に似ています。
融資を受けるのが個人か法人かで、方針は大きく変わります。融資をする可能性がある金融機関は、地方銀行や信用金庫、政策投資銀行のほか、発電業者や投資商品をパッケージ化する信販会社などがあります。
貸出金利は、法人の財務状況や個人の属性などによって大きく異なります。これは、通常の事業用投資に対する貸付条件と同様と考えていいでしょう
設備と減価償却
太陽光発電設備は技術革新によってパネルの低価格化が進んでいるため、FITが低下しているにも関わらず比較的高利回りです。
2012年にFITが開始された当初、パネル価格はキロワットあたり35万円前後でしたが、2019年には25万円前後と7年間で約28%低下しています。海外メーカーの進出が、低価格化をさらに進めています。
減価償却が利用できることもポイントです。太陽光発電のパネルは「自家発電設備」として扱われ、耐用年数は17年です。特に償却方法として「定率法」を選択した場合は、開始当初から多くの減価償却費を計上できるため、節税対策としても有効です。
太陽光発電のデメリット
太陽光発電にもデメリットがあります。2019年10月に大型台風が上陸した際、太陽光発電のパネルから出火した事故がありました。しかし、このような天災リスクに対しては賠償責任保険をかけることで、万が一周辺に損害を与えた場合でも保険金でカバーできます。
天候に左右されるので、発電量が安定しないこともデメリットと言えるでしょう。日照時間や最適なパネルの向きなどを比較検討した上で、慎重に投資物件を選ぶことが重要です。
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