不動産投資家の中には、法人化を検討している人もいるかもしれません。また、ある程度の不動産収入がある人で個人事業主から法人化するタイミングについて気になっている人もいるでしょう。不動産投資家にとって法人化することはどのようなメリットがあるのでしょうか。不動産投資家が法人化するタイミングや法人化のメリットについて解説します。
法人化のメリットは?
不動産投資家が法人化するとどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは「経費算入の幅が広い」「収支管理が容易」という2点について説明します。
経費算入の幅が広い
役員報酬や法人保険など、法人では経費算入できる項目が個人事業主に比べて多く、節税ができる可能性があります。したがって売上規模がある程度拡大し、利益もそれなりに挙がってきた人にとっては、法人化が効果的です。また不動産管理に関して家族に業務を手伝ってもらっている場合、家族へ法人から給与を支払うことによって経費扱いにすることができます。収支管理が容易
個人事業主の場合は、家賃収入を始めとして、あらゆる収入や経費を同じ財布で管理する人も多い傾向です。家賃収入が入金される通帳から、電気代や携帯代などプライベートな支払いを行っているケースも少なくありません。しかし法人化をすることによって、個人の財布と法人の財布は明確に区分されます。つまり不動産投資の事業収入や経費について明確になるのです。そのため収支管理が容易になるというメリットもあります。
法人化のデメリットは?
法人化には上述したメリット以外にも多くのメリットがありますが、反対にデメリットもあります。
会社設立費用がかかる
法人の設立を行う場合には、登録免許税や定款認証手数料、司法書士への登記報酬など、30万円前後の費用が必要になります。また通常は諸手続きに1ヵ月程度はかかるため「早く法人化したい」などのニーズがある場合には注意が必要です。法人税住民税が毎年かかる
法人化後は、さまざまな経費を算入することで所得を下げることができるようになりますが、どんなに赤字であったとしても一定の法人税住民税支払いは発生します。所有権移管の際の諸費用がかかる
個人所有の投資物件を法人に引き継ぐ場合、不動産取得税や登録免許税、登記費用などが発生します。
メリットがあれば早めに判断を
法人化のメリット・デメリットについて解説してきましたが、どのようなタイミングで法人化に踏み切るのが最適なのでしょうか。それは、支払う費用や税金などを勘案して法人化したほうがプラスと判断したときです。
不動産投資を始めるとき
不動産所得だけで生活していく水準まで事業を拡大しようとするならば、最初から法人化しておくのも賢い選択肢の一つです。登記費用や法人税など、法人化による各種費用はかかってしまいますが、個人から法人への所有権移管などの費用や手間は大幅に軽減できます。売却を意識した不動産投資を行う場合
不動産投資においては、一定の家賃収入を長期間にわたって得ることによって利益を確保します。また最終的には物件を売却してキャピタルゲインを得るという「出口戦略」も見据えた動きをとることが求められるでしょう。物件売却の時期については、ケースバイケースで考え方も異なるために一概には言えません。
しかし、たとえ購入してから短期間であっても利益が得られると判断すれば、売却に踏み切るケースも考えられます。このとき個人で不動産を保有している場合、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と見なされ、5年超の場合と比較すると譲渡所得の税額が高くなることがデメリットです。なお、法人の場合このデメリットついては、短期も長期も関係なく税率が決定されるため、売却時期についてはある程度流動的に考えることが可能になります。
柔軟な「出口」を用意しておきたいと考えるならば、法人化によるメリットは受けやすいといえるかもしれません。
まとめ
不動産投資家にとって法人化のタイミングとは、「法人化によってメリットを最大化できるかどうか」を主眼に置くとよいでしょう。しかし、ある程度の事業規模を目指すのであれば、早めに法人化しておいたほうが、後々の費用を抑えることが可能になります。
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