知っておきたい不動産投資のメリット・デメリット!大切なのはデメリットへの対策方法
(画像=takasu/Shutterstock.com)
山下和之
山下和之
1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などの著書がある

不動産投資には、以下のようなさまざまなメリットがあります。

  • 投資した物件から賃料収入が得られる
  • 老後の私的年金代わりになる
  • 所得税や住民税の節税効果がある
  • 現金などに比べて評価額が下がるので相続税対策になる

しかし残念ながらメリットだけという投資はありません。表裏一体となるデメリットもあるため、「いかにデメリットを極小化できるか」「克服できるか」が投資先選びの重要な要素になってきます。

メリットの裏側には必ずデメリットが潜んでいる

投資にメリットしかないのであれば誰もが投資を迷いなく選択するでしょう。そもそも絶対に儲かると分かっていれば分譲するのではなく自分で所有していればいい話しです。しかしメリットの裏側には必ずデメリットが潜んでいるため、「それを克服できるかどうか」「極小化できるかどうか」「メリットを最大限に享受できるようになっているか」などが大切になります。

例えば区分所有マンションを取得して投資したり、1棟のアパートやマンションなどを丸ごと取得したりする不動産投資も同様です。不動産投資は比較的安定した賃料収入(インカムゲイン)を得られるのが最大の魅力といえるでしょう。多くの場合、現金ではなく不動産投資用のローンを利用して取得することが一般的です。

そのためローンの返済額を賃料収入でまかなうことができれば、ローン完済後には税金や維持管理費などを除いて賃料収入の大半を年金代わりにすることができます。

比較的安くても安定した賃料収入を得られるエリア

賃料収入は入居者があってはじめて確保できるものです。新築時には満室に近い状態だったとしても年数が経過することで老朽化が進み、退去者が増えて空室率が高まることがあります。そうならないために欠かせないのが物件を見極める視点です。特に賃貸マンションの場合は、立地がすべてといっていいほどで安定した賃料収入を得られるかどうかは立地にかかっています。

例えば東京の都心近くの利便性が高く人気も高いエリアで徒歩時間が短い物件であれば、竣工から10年が経過してもあまり家賃は下がりません。場所によっては、むしろ高くなるところもあるほどです。そんな人気エリアの人気物件を取得できればいいのですが、それには高額の投資資金が必要になります。しかし都心に近いエリアでもまだ注目されず、物件価格も低い場所もあるのです。

また賃料相場は近くの人気エリアと比べてそう極端に安くなるわけではありません。そのため利回りは人気エリアより高いといった現象が起こっている場所もあります。投資するなら、そういった物件を見つけたいものです。

家賃保証(サブリース)を利用して収入をフィックス

それでも不安がある場合には、家賃保証(サブリース)を利用する方法もあります。これは不動産会社がオーナーからマンションなどを一括して借り上げる仕組みです。万一入居者が退去した場合でも家賃が保証されるので空室リスクを回避できます。ただしその分、不動産会社に支払う手数料が高くなるのでコストがかかることがデメリットです。

また経過年数が長くなると老朽化が進むことから賃料を維持しテナントを安定的に確保するためには、物件の維持管理が重要になってきます。そのため入居者の退去時には定期的に設備の更新を行って最新のマンションなどに負けないようにする工夫が必要です。また1棟丸ごとの投資であれば、外壁、エントランスや廊下、エレベーター周りなどの共用部に関しても定期的に大規模なリフォームなどを検討する必要があります。

これらの対策は費用負担が大きくなるため、当面の利回りの低下につながります。しかし長い目でみた収益確保のためには不可欠な問題です。さらに不動産投資用のローンを利用する場合、金利上昇リスクも考慮しておく必要があります。2019年10月現在、各種ローンの金利は過去最低水準に近いレベルにあります。

今後5年、10年といった長期的タームでみれば金利が上がってローン返済額が増加する可能性も否めません。多少返済額が増えても資金繰りに影響が出ないような資金計画にしておくのが原則です。しかし金利上昇時には、いち早く固定期間の長いローンに借り換えるなど金利動向に常に目配りしておくことが重要になります。

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