初めての不動産投資の確定申告はどのように行う?気をつけておきたい注意点とは
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新井智美
新井智美
新井智美/トータルマネーコンサルタント CFP(R)認定者・一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)・DC(確定拠出年金)プランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員 個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。 公式サイト:https://marron-financial.com/

不動産投資を始めた場合は、確定申告が必要となります。確定申告の種類は「青色申告」「白色申告」の2つありますが不動産投資を行う場合は、できれば青色申告がおすすめです。初めて青色申告を行う場合は「どのように作成するのか分からない」「税理士に全部任せる必要があるのではないか」などと思っている人も多いかもしれません。

しかし初年度であれば自分で申告書を作成して提出することは十分可能です。そこで今回は、不動産投資を始めた場合の確定申告方法や注意点について解説します。

目次

  1. 不動産投資開始後初めての確定申告
    1. 白色申告と青色申告の違い
  2. 青色申告承認申請書の提出
  3. どのようなものが費用として計上できる?
    1. 費用にならないケースに注意!
    2. 減価償却費の考え方
  4. 確定申告の流れ
    1. 1.必要書類をそろえる
    2. 2.確定申告書の作成
    3. 3.税務署に提出する
  5. あわせて知っておきたい節税対策
  6. 不動産投資の確定申告に関するよくある質問
    1. Q.白色申告と青色申告の違いは?
    2. Q. 費用として計上できるものは?

不動産投資開始後初めての確定申告

確定申告を行う場合、「給与所得者なのか」「不動産投資をメインに行っている個人事業主なのか」によって考え方が異なります。給与所得者であれば不動産投資で得た所得は、不動産所得です。しかし個人事業主の場合は、事業所得となります。 どちらの所得になる場合でも青色申告特別控除を受けられるメリットがあるため、できれば青色申告で行うほうが良いでしょう。

また事業所得として申告時に当該年度が赤字で損益通算の規定を適用しても引き切れない損失額がある場合は、その額を翌年以降3年間繰り越すことができます。ただしこれは事業所得の場合のみ認められている制度です。そのため不動産所得として申告する場合は、適用を受けられません。

白色申告と青色申告の違い

一般的に確定申告を行う際に利用するのは「確定申告書A」です。主に給与所得のみの場合で医療費控除や住宅ローン控除(初年度のみ)の適用を受ける際に用います。A表を使用できるのは、その年の所得が「給与所得」「公的年金等・その他の雑所得」「配当所得」「一時所得」のみで主に所得税の還付を受ける人が対象です。

一方で確定申告書B表は、誰でも使用することができます。「不動産所得」「事業所得」「山林所得」といった繰越損失を差し引く必要がある人は「確定申告書B表」を使用することが必要です。上述したように申告方法は「白色申告」「青色申告」の2つあります。白色申告と青色申告の主な違いは、以下の通りです。

【白色申告と青色申告の違い】

申告方法メリットデメリット
白色申告・事前の届け出が不要
・単式簿記での帳簿が可能
・特別控除の適用なし
・赤字の繰越不可
青色申告・特別控除の適用がある
・赤字の繰越が可能
・事前の届け出が必要
・複式簿記での帳簿が必要

青色申告を行う際には、事前に管轄の税務署へ届け出が必要です。また複式簿記での帳簿付けも求められるため、ある程度の簿記の知識が必要となります。しかし近年は、サポートしてくれる会計ソフトがたくさんあるため、そこまで簿記の知識が高くなくても利用できるでしょう。また青色申告では、申告方法によって「10万円」「55万円」「65万円」と青色申告特別控除額が異なることも特徴の一つです。

青色申告特別控除が受けられることは、青色申告の一番のメリットといえるでしょう。さらに事業所得の場合、赤字を3年間繰り越すことが可能です。

青色申告承認申請書の提出

青色申告で確定申告を行う場合、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出することが必要です。基本的に青色申告を受けようとする年の3月15日までに提出する必要があります。しかしその年の1月16日以降に事業の開始や不動産の貸付などを開始した場合は、その日から2ヵ月以内に提出すれば問題ありません。

そのため給与所得者であれば不動産投資を開始してから2ヵ月以内に提出するようにしましょう。また事業として行う場合は、開業届も必要です。開業届は、開業から1ヵ月以内に提出が必要です。そのため提出忘れがないように開業届と青色申告承認申請書は一緒に提出するとよいでしょう。

どのようなものが費用として計上できる?

確定申告で申告する所得は「収入から経費を引きさらに青色申告控除を引いた金額」が最終的な所得額です。費用は、帳簿上経費として計上しなければなりません。主に以下のようなものが経費となります。

  • 投資物件を購入するにあたり融資を受けた際のローン金利(元本部分は費用とはなりません)
  • 投資物件購入の際の仲介手数料
  • 各種保険料(火災保険や地震保険など)
  • 管理会社に管理を委託した際の委託費
  • 物件の修繕費用
  • 物件にかかる固定資産税
  • 物件の減価償却費
  • 客付けにかかる広告宣伝費
  • 事業を遂行するうえで必要となる交通費や交際費など

費用にならないケースに注意!

不動産投資を行っている個人投資家だけに適用される非常に不利な税金の制度があります。それは「土地負債利子」といわれるものです。正確には「土地等を取得するために要した負債の利子の額」という名称で不動産所得用の確定申告書(損益計算書)における所得金額の下に書かれています。これは「銀行から借り入れを行っている」というのが前提です。

個人が所有している不動産所得が年間を通して赤字になっている場合、その赤字に達するまでの土地の借入金利子の金額は経費として認められません。例えば不動産所得が-70万円、土地負債利子が30万円だった場合、結果として不動産所得のマイナス金額は、本来の-70万円から土地負債利子の30万円を差し引いた-40万円となります。

マイナス金額が減ることで給与所得との損益通算額も減るため、本来であれば給与所得から還付を受けることができる金額が大きく減ってしまうのです。このように不動産投資を行う際には、借り入れの際の利子にも注意する必要があります。

減価償却費の考え方

新築物件を購入する場合、建物と建物付属設備については、売買資料の中で区分されていることが多いため、問題ないでしょう。しかし中古物件を購入した場合は、注意が必要です。一般的に建物と建物付属設備は、分けられていないため、物件全部を建物としてしまうと1年で計上できる減価償却費が少なくなります。

これらを踏まえると中古物件を取得した場合は、一般的に建物と建物付属設備を区分けして減価償却費の計上を行うほうがお得でしょう。なぜなら、建物よりも建物付属設備の耐用年数が短いからです。さらに建物付属設備は「通常建物と一体となっている」という考え方から原則固定資産税がかかりません。しかしなかには例外的に対象となるものもあるため、この点にも注意する必要があります。

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確定申告の流れ

青色申告で確定申告を行う場合は、以下の流れで申告を行います。

1.必要書類をそろえる

まずは、確定申告に必要な書類をそろえます。具体的には、土地を取得した際の書類や不動産収入に関する書類、必要経費に関する書類などが必要です。

2.確定申告書の作成

確定申告書B表への記載以外に決算書(損益計算書や減価償却費の詳細、貸借対照表)を作成することが必要です。しかしこの決算書は、会計ソフトを利用することで簡単に作成することができます。会計ソフトによっては、そのまま確定申告書まで作成できるものもあるため、上手に活用しましょう。

3.税務署に提出する

提出方法は「管轄の税務署へ持参」「管轄の税務署へ郵送」「電子申告」の3つです。電子申告を行うことで青色申告特別控除が最大の65万円が適用されるため、あらかじめ電子申告ができる環境を整えておくとよいでしょう。

あわせて知っておきたい節税対策

投資を行っている人であれば節税に関しても興味のある人が多いのではないでしょうか。例えば「iDeCo」「ふるさと納税」といった非課税制度を活用して節税することも選択肢の一つです。掛金や寄付金の上限額に個人差はありますが誰でも気軽に行える節税対策といえるでしょう。例えばiDeCoの場合は、掛金全額が所得控除の対象となるため、毎年の節税対策として有効です。

またふるさと納税を利用する場合は、今後発生する必然的な支出に備えた使い方を検討するとよいでしょう。例えばお世話になっている管理会社に対してのお礼品などにふるさと納税の返礼品を利用することも方法の一つです。それぞれの制度の内容を理解しながら節税効果を最大限活かせるような使い方を考慮し日常生活に取り込むことを心がけるようにしてください。

不動産投資の確定申告に関するよくある質問

Q.白色申告と青色申告の違いは?

白色申告は事前の税務署への届け出が不要で単式簿記での帳簿ができますが、特別控除の適用はなく、赤字を繰り越すことができません。一方、青色申告は逆で特別控除の適用があり、赤字を繰り越すことができますが、事前に管轄の税務署へ届け出が必要で、あわせて複式簿記での帳簿付けも求められるため、ある程度の簿記の知識が必要となります。

Q. 費用として計上できるものは?

投資物件を購入するにあたり融資を受けた際のローン金利や投資物件購入の際の仲介手数料、火災保険や地震保険といった各種保険料などが費用として計上できます。