住宅ローン控除額が大幅に減少!?【税理士解説】

【はじめに】

住宅ローン控除といえばサラリーマンでもできる身近な節税方法として幅広く活用されています。その節税効果は凄まじく、現在では1年当たり最大40万円(認定長期優良住宅の場合は50万円)の税額控除を受けることができ、確定申告時、または、年末調整時に大きな還付を受けたことがある人も多いかと思います。
住宅ローン控除は現行法では、最大で13年間分控除を受けることができ、13年間フルに活用することができれば、480万円(認定長期優良住宅の場合は600万円)もの税額控除を受けることができます。
 以前まで、住宅ローン控除の期間は10年でしたが、期間限定として、注文住宅の場合は令和3年9月までに、分譲住宅などの場合は令和3年11月までに契約し、その他の要件をクリアすれば13年間の住宅ローン控除を受けることができます。
そのため、住宅ローン控除の特集記事に関しては、「9月あるいは11月までに契約をしましょう」という記事が多く出回っています。しかし、昨年12月に発表された税制改正大綱では、13年間の住宅ローン控除の終了よりも、もっと強烈なことが書かれていましたので、そちらをご紹介していきます。

【税制改正大綱の内容】

結論からいうと「住宅ローン控除の限度額は借入金の利息額を上限にしよう。」と読みとることができます。以下、令和3年度税制改正大綱の内容は下記のとおりです。

「平成 30 年度決算検査報告において、住宅ローン控除の控除率(1%)を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れているケースが多く、その場合、毎年の住宅ローン控除額が住宅ローン支払利息額を上回っていること、適用実態等からみて国民の納得できる必要最小限のものになっているかなどの検討が望まれること等の指摘がなされている。消費税率8%への引上げ時に反動減対策として拡充した措置の適用期限後の取扱いの検討に当たっては、こうした会計検査院の指摘を踏まえ、住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度税制改正において見直すものとする。」

 いかがでしたでしょうか?国税庁がはっきりと令和4年に住宅ローン控除額を改正しようと謳っています。次に、もし住宅ローン控除の限度額が支払利息額になった場合の影響を見ていきましょう。

【住宅ローン控除の限度額が支払利息額になった場合】

例えば、下記の条件で自宅を取得した場合を見ていきます。

住宅取得価額:6,000万円
銀行借入期間:35年
金利    :0.6%
住宅の種類 :一般住宅(認定長期優良住宅ではない)

この場合の13年間の支払利息の合計額は約380万円になります。税制改正がされない場合、住宅ローン控除は13年間で最大480万円の税額控除を受けることができますので、約100万円得をすることになります。
また、現在住宅ローンの金利はどんどん下がってきていますので、仮に0.4%の金利で借り入れることができた場合は、13年間の支払利息額の合計は約257万円になり、約223万円得をすることになります。 住宅ローン控除の限度額が、借入利息の合計額となった場合、多大な影響があることが分かるかと思います。

【終わりに】

令和4年度の税制改正で実際にどのような改正内容になるかはわかりません。また、令和3年の12月頃に発表される税制改正大綱にて、このコロナ禍で景気が悪くなるような増税政策を行うことも得策だとは思えません。ただし、税制改正大綱にもでてきた「会計検査院」という組織に税制を指摘された場合、高確率で増税の方向に改正されています。
なお、不動産営業マンが住宅ローン控除という甘い誘惑を使って営業トークを展開します。住宅ローン控除の限度額が借入金利息額になるかもしれないことも考慮した上で、住宅を取得されるのが、良い将来設計に繋がると考えます。

執筆
田中会計事務所
東京都墨田区両国3-23-10 田中会計ビル
TEL 03-6659-4848 FAX 03-6659-4858
Mail yoshimit@mti.biglobe.ne.jp
所属税理士(執筆者)村上 覚
代表税理士 田中 美光

【当事務所の強み】
不動産・相続に精通した税理士として徹底した節税対策を行い、税務調査では納税者の立場にたち「闘う税理士」を実践していることから全国に評判が広がり、たくさんの不動産オーナーが顧問先に。不動産所得がある方がお客様の90%以上を占めており、資産運用によってゆとりある将来への適切なアドバイスなど、お客様が抱えるあらゆるお悩みにも豊富な経験から解決へと導いている。所長自身も収益不動産10棟・太陽光発電22基を保有しており、不動産オーナーの悩みを数多く解決。

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