税金
2019.4.4

物件売却は5年経ってから!譲渡所得税について理解しよう

(写真=Billion Photos/Shutterstock.com)
(写真=Billion Photos/Shutterstock.com)
不動産を売却した際に出る利益のことを「譲渡所得」といい、これに対して所得税・住民税が課税されます。譲渡所得は、物件を所有していた期間に応じて短期と長期に区分され、税率が大きく異なります。譲渡所得を理解することは、売却のタイミングを考えるうえで非常に重要です。ここでは、譲渡所得や、短期・長期の売却における譲渡所得税率などについて解説します。

不動産を売ったときの「譲渡所得」とは?

土地や建物などの不動産を売却して利益が出たら、その売却益に対して税金がかかります。売却益のことを「譲渡所得」といい、譲渡所得に対して所得税・住民税がかかるのです。総称として「譲渡所得税」と言うこともありますが、正確には所得税と住民税のことを指します。譲渡所得の計算は以下の通りです。

・収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額

収入金額は、売却の際に買い主から受け取った金額です。取得費、譲渡費用とは主に以下のものを指します。

取得費

・不動産の購入代金、建築代金
・仲介手数料
・購入時に納めた登録免許税・登記費用、不動産取得税、印紙税
・購入に際して支払った測量費、建物解体費
・設備費、改良費
・立ち退き費用、訴訟費 など
 

譲渡費用

・仲介手数料
・印紙税(売主負担分)
・借家人に退去してもらった場合の立ち退き費用
・建物を取り壊して売却した場合の解体費用
・売買契約を解除して別の有利な契約をしたときに違約金
・借地権の名義書換料 など

なお、建物の購入代金からは減価償却費相当額を差し引く必要があります。計算式のうち特別控除額とは、収用により土地建物を譲渡した場合やマイホームを譲渡した場合に適用される控除額です。収入金額から取得費と譲渡費用、特別控除額を差し引いて、最後に残った金額が課税対象となる譲渡所得金額です。

税率は「短期」と「長期」で異なる

算出された課税譲渡所得金額に税率を掛けて最終的な税額が決まります。税率は、不動産を所有していた期間によって「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分けられるため注意しましょう。
 

短期譲渡所得39.63%(内訳:所得税30.63%、住民税9%)

長期譲渡所得20.315%(内訳:所得税15.315%、住民税5%)

※所得税には復興特別所得税2.1%を含む

短期と長期では税率が倍も変わってきてしまいます。短期と長期を判断する基準は5年です。売却した年の1月1日現在で、所有期間が5年を超える不動産を売却した場合には長期譲渡所得になり、5年以下なら短期譲渡所得になります。「その年の1月1日現在で何年持っていたか」が基準なので、実際の保有期間の長さとは異なることに注意してください。

たとえば、2015年1月2日に購入して、2020年2月2日に売却した場合、実際の保有期間は5年1ヵ月となります。しかし、税法上の所有期間は売却した2016年1月1日から2020年1月1日までの所有期間がカウントされるのです。そのため、5年以下なので「短期譲渡所得」となります。一方、たとえば2014年12月31日に購入して、同じく2020年2月2日に売却した場合、実際の保有期間は先ほどより2日長いだけです。しかし、税法上の所有期間は5年超となり「長期譲渡所得」に当てはまります。

したがって、年の後半で不動産を買いたいと考えているならば、年を越す前に購入を済ませてしまった方が、長期譲渡所得になる時期が早く来るので有利になると考えることができるでしょう。なお、不動産の「譲渡」「取得」の基準日ですが、「引き渡し日」または「売買契約日」を用います。譲渡の基準日を「引き渡し日」に設定した場合、取得の基準日も「引き渡し日」を使うことが必要です。

譲渡所得とほかの所得は合算できない

不動産の譲渡所得に対する税金は、事業所得や給与所得、不動産所得などの所得と合算して計算することはできません。ほかの所得と分離して計算することになっているため、このことを分離課税と呼びます。ただし、別の不動産を売却して譲渡損失が出た場合は、譲渡所得と合算することができます。不動産を売却して多額の黒字が出そうなときは、値下がりしている不動産も同じ年に売却して黒字を減らすことができないか検討してみるのもよいでしょう。

売却のタイミングには要注意

譲渡所得税は短期と長期に分かれ、短期が適用される場合には税率が非常に高くなってしまうことが理解できたのではないでしょうか。売却を検討するときは、自分が保有している不動産が「短期に当てはまるのか」「長期に当てはまるのか」についてしっかりと確認して税額をシミュレーションしてから売却のタイミングを計ることが賢明です。取得費用や譲渡費用についても細かく計算したい場合は、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
 

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