税金
2019.5.30

不動産賃貸業で家族への給与を必要経費にする条件

(画像=beeboys/Shutterstock.com)
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不動産賃貸業を開始したとき、配偶者や一緒に暮らしている家族に事務処理や賃貸物件の清掃などを頼むケースもあるかもしれません。このとき、生活を共にする家族に手渡した給料は不動産所得の計算上、必要経費になるのでしょうか。今回は、家族への給料が所得税法上どういう扱いになるのかについて解説します。

不動産賃貸業における家族への給与は必要経費になる

税法上は原則として、「生計を一にする家族への給与は必要経費にならない」となっていますが、税法で定める一定の要件を満たした場合、家族への給与は必要経費になります。支払った給与が必要経費となる場合の名目や上限額は、申告の形態に応じて次のようになります。

白色申告

・名目は「事業専従者控除」
・上限額は次のいずれか低い方の金額
 イ 支払う相手が配偶者ならば86万円、配偶者以外の親族ならば専従者1人につき50万円
 ロ (事業専従者控除を差し引く前の事業所得等の金額)÷(専従者の数+1)

青色申告

・名目は「青色事業専従者給与」
・上限額は「青色事業専従者給与に関する届出書(※)」に記載した金額

経費になるための条件とは

不動産事業は「事業的規模」であることが必要

賃貸物件の運営の規模は、人によってまちまちです。1人で運営できる小規模のものもあれば、1人では管理しきれない大規模なものもあるでしょう。もし、小規模の不動産賃貸業でわざわざ家族に給与を支払って経費にしていたとすれば、「1人で運営できる程度の規模なのにわざわざ家族への給与を経費で落とすのは不当に税金を低くしたいからではないか」とみられる可能性があります。

この懸念に備えるかのように、税法では事業専従者控除も青色事業専従者給与も不動産所得の規模が大規模でなければ認めないとしています。不動産所得でいう「大規模」とは「5棟10室」、すなわち次の基準をクリアしているものをいいます。

・マンションやアパートなどといった貸室については、貸し出せる独立した部屋数が10室以上であること
・独立した家屋を貸し出す場合には、おおむね5棟以上であること

給与を受け取る家族についての条件

また、給与を受け取る家族についても条件があります。同一生計親族、つまり一つのお財布でともに生活をまかなっていることも条件の一つですが、これ以外にも次のような基準を満たしていることが求められます

・その年の12月31日時点で15歳以上であること
・原則としてその年を通じて6ヵ月超、その不動産事業に専従していること

「専従する」ということは、原則として学生であったり、あるいは他の職業についていたりするのは除外するということです。このほか、白色申告については事業専従者控除の適用を受ける旨や控除金額を申告書に記載することが、青色申告については適用を受けようとする年の3月15日(※)までに「青色事業専従者給与の届出書」を所轄税務署長に提出することが求められます。

※その年の1月16日以降に事業を開始する場合あるいは家族に給料を払おうとする場合には、そういった行為をした日から2ヵ月以内

青色事業専従者給与は「常識的な範囲内で」

青色事業専従者給与については、事前に届けた金額の枠内であればOKであるからといって、不当に高い金額は認められません。事業的規模などから判断して妥当と認められる部分のみが必要経費となります。

「他で働いていない=専従」ではない

「他で働いていない=専従」ではなく、事務量や作業量からみて「不動産事業に専従している」と判断されます。つまり、駐車場の数や家賃振込や経費引落の回数などの規模と、その専従者の事務など作業量のバランスを検討することが必要です。仮に、妻がパート・バイトに出ておらず、青色事業専従者となり、入出金や帳簿の管理をしていたとします。

しかし、その事務量が不動産事業の状況からみて僅少だと判断されれば、青色事業専従者だと認められず、結果支払った給与が必要経費として認められなくなる可能性があります。不動産賃貸業における家族への給料は所得税法上、必要経費になりますが、さまざまな要件を満たすことが重要です。適用する際は要件を満たしているかどうか、慎重にチェックするとよいでしょう。

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