税金
2019.7.25

不動産投資を法人化した場合のメリット・デメリット

(画像=VGstockstudio/Shutterstock.com)
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不動産投資の規模や収益の額が大きくなると、税負担が気になりだし、節税を検討する傾向があります。節税の選択肢として浮上するのが「法人化」です。ただ、法人化することについては、メリットだけでなくデメリットもあります。

不動産投資の規模が大きくなったら法人化も一つの対策

資産運用の一つとして始めた不動産投資の規模が徐々に大きくなり、収益額が増えるのは喜ばしいことです。ただ、収益額が増えれば当然税金も多くなります。個人オーナーの場合、以下のような点で収益が大きくなっても半分以上が公的負担で消えてしまうデメリットがあります。
  • 所得税の「累進課税制度」で収益が増えれば増えるほど高い税率が適用される
  • 住民税は所得割部分につき一律10%で課税
  • 住民税の所得額計算を基準に国民健康保険税や保育料が計算される
  • 青色申告の損失の繰越控除も3年間が限度
こういった点から、投資規模や収益額が大きくなった個人オーナーは、不動産管理会社の設立という形の法人化を検討するようになるのです。ただ、不動産投資の法人化にもメリット・デメリットがあります。

法人化のメリット

不動産投資事業を法人化する場合、次のようなメリットがあります。

法人税率が所得税よりも低くなる可能性が高い

一番のメリットは「適用される税率が個人のときよりも低くなる可能性が高い」という点です。法人になると所得税の代わりに法人税が課されます。

法人税率は所得税の税率と異なり、原則として一律の税率が適用されます。2018年4月1日以後の開始事業年度における法人税の適用税率は23.2%(所得額800万円以下の部分については15%あるいは19%)となっています。一方、所得税の税率は課税対象となる所得額が900万円を超えると23%から33%になります。売上から各種経費を差し引いた所得額が900万円を超えるようになった場合には、法人化をした方が節税になる可能性が高くなるのです。

ただ、実際には、所得税や法人税といった国税だけでなく、住民税や事業税などの地方税も課されることになります。国税だけでなく地方税とのバランスも併せて考えるとよいでしょう。

家族を従業員にしやすく、経費の枠が増える

不動産投資家の多くは青色申告を行っています。中には家族を青色事業専従者という名の従業員にし、彼らへの給料を必要経費としているケースもあります。ただ、専従の度合いが低ければ青色事業専従者にすることはできませんし、結果、家族への給料も必要経費にすることはできません。

しかし、法人化した場合には、専従の程度に関係なく家族を役員とすることができますし、その給料も「損金」つまり法人税法上の必要経費とすることができます。

さらに、個人事業主の場合、打ち合わせを兼ねた家族とのお茶代などは経費になりませんが、法人にすれば役員同士の事業の打ち合わせとして経費計上することができます。

損失の繰越控除の期間が3年→10年に

この他、損失の繰越控除の期間については、個人は3年間であるのに対し、法人は10年間と定められています。

法人化のデメリット

一方で、法人化にはデメリットもあります。

全体で見ると公的負担が増える可能性も

先ほど「一定の所得金額を超えると適用される法人税率が現在の所得税率よりも低くなる」とお伝えしました。国税の税率だけで見ると法人税の方がお得なのですが、実際には住民税や事業税などの地方税も納めなくてはなりません。これらの税の税率を合計した実効税率は37.04%ですが、法人に適用される法人住民税の税率は12.9%と個人住民税の税率より高めです。また、赤字の場合、個人が納める住民税の均等割額は5,000円程度で済みますが、法人の場合は年70,000円前後の法人住民税均等割を納めなくてはなりません。

この他、役員報酬や従業員給与に課される所得税や住民税などもあります。一概に個人より得だとは言い切れません。

「売上=自分のお金」ではない

法人は個人とは別の法的な一人格を有しており、法人の会計と個人の会計は区別しなくてはなりません。つまり、いくらオーナー企業とは言え、会社のお金を社長が完全に自由に使うことはできないのです。

社長のプライベートの支出を会社の経費に計上した場合、税務署から「役員賞与」という損金算入できない費用として指摘されるだけでなく、その分別途所得税などを納付しなくてはなりません。

メリット・デメリットの両方を含めて検討を

上記以外にも、法人化には細かいメリット・デメリットがあります。これらを総合的に勘案し、ご自身にとって何がベストな選択かを検討していただければと思います。

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