空き家の活用促進にも効果あり。浸透するデュアルライフとは
(画像=Anna Om/Shutterstock.com)
木崎涼
木崎涼
大手税理士法人で多数の資産家の財務コンサルティングを経験。ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパートの資格を持ちながら、執筆業を中心に幅広く活動している。

最近、都市と地方の2拠点で暮らすデュアルライフが注目されています。新たな暮らし方であるデュアルライフが広がれば、空き家対策や地方物件の人気上昇が見込めるかもしれません。ここでは、デュアルライフの事例をもとに今後の展開について予測します。

最近注目されているデュアルライフとは

デュアルライフは、2拠点生活を意味する和製英語で主に都市と地方のそれぞれに拠点を持ち、行き来しながら暮らす生き方を指します。セカンドハウスというと、かつては富裕層に許された特権というイメージでした。しかし、最近では民泊やシェアハウスの台頭、空き家の増加、地方家賃の下落といった背景から、2拠点生活のコストが下がってきました。

そのため、シニアだけでなく20代・30代のうちからデュアルライフを楽しむ人が増えてきています。単身世帯、ファミリー世帯を問わず、デュアルライフは憧れの新しい生き方として注目されているのです。

デュアルライフの費用や地方での暮らし方

デュアルライフに何となくワクワクするイメージを持っていても、現実的には「仕事は?」「費用は?」「地方では実際何をしているの?」など、気になることはたくさんあります。デュアルライフというと、まず浮かぶのはフリーランスです。場所や時間の制約を受けず、一人で自由に仕事をするフリーランスは確かにデュアルライフに向いているといえます。

実際、フリーのコンサルタントやライター、アフィリエイターでデュアルライフを楽しむ人のブログもたくさんあります。しかし、会社員だからといってデュアルライフができないわけではありません。週5日を都心で勤務し、週末を地方で過ごすというスタイルなら、会社員だったり家族がいたりしても十分実現できます。

デュアルライフの滞在に決まりはありません。「週末だけ地方で暮らす人」「季節によって移動する人」「1カ月のうち1週間だけ東京に行く人」など、人の数だけデュアルライフのスタイルがあるのです。デュアルライフのデメリットとして、費用の問題があるのは否定できません。しかし、民泊やシェアハウスを活用することで、滞在費用を抑えることができます。

また、地方物件の家賃が下落していることから、計算してみると意外と何とかなるという人も多くいます。デュアルライフを送る人の地方での過ごし方も、人によってさまざまです。ゆったりした田舎で古民家をDIYしたり家庭菜園を楽しんだりする人もいれば、京都や沖縄に住んで観光を楽しむ人もいます。子育ての環境として、自然の多い地域や人とのつながりの強い地域を選択するのも一つです。

快適にデュアルライフを送るためには、場所選びと人間関係作りが大切です。最初は、数週間の滞在で「お試し期間」を設けるのも効果的です。自分に合った場所を選べば、理想の暮らしを実現することができます。

デュアルライフは空き家対策や地方活性化の一助になるか

東京一極集中は、かねてより問題視されており、国は地方活性化に注力してきました。また、都市部で働く人を中心として、地方移住や田舎暮らしへの憧れが強まってきています。そのような背景から、今後もデュアルライフの人気は上昇すると予想されます。デュアルライフを送る人を指す「デュアラー」という言葉は、リクルートの2019年のトレンドキーワード入りを果たしました。

デュアルライフを送る人は、ブログやSNSなどで積極的な発信を行っていることから、思わぬ地域が脚光を浴びる可能性もあります。また、デュアルライフの増加は地方に新たな可能性をもたらします。社会問題化している空き家も、デュアルライフの浸透によって住まい手が見つかるかもしれません。また、地方物件の需要が増えることや、人気の上昇による賃料アップも見込まれます。

デュアルライフに注目した空き家対策として、地方公共団体がバックアップを始めることも想定されます。広がるデュアルライフの波は、不動産投資家にとっても大きなチャンスといえるでしょう。

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