区分所有マンション,一棟マンション,徹底比較
(画像=baihoen/stock.adobe.com)

賃貸用のマンションを取得して不動産投資を行う場合には大きく分けると「区分所有マンション」「一棟マンション」といった2種類の投資物件があります。それぞれにメリット、デメリットがあるので、自分たちの条件などに合わせて投資先を選択しましょう。

目次

  1. まずは少ない予算で始められる区分所有マンションから
    1. 区分所有マンションのメリット
  2. 自分の意志だけでは自由にならない面もある
    1. 区分所有マンションのデメリット
  3. 一棟マンションなら管理や修繕計画も自由に
    1. 一棟マンションのメリット
  4. デメリットは工夫次第で極小化できる
    1. 一棟マンションのデメリット

まずは少ない予算で始められる区分所有マンションから

区分所有マンションへの不動産投資は、分譲マンションの1室、例えばワンルームマンションなどを取得して賃貸住宅として運用および収益を得る方法です。区分所有マンションの主なメリットは以下の3つのような点を挙げることができます。

区分所有マンションのメリット

  • 一棟マンションよりも初期投資額が小さくてすむ
  • 一棟マンションよりも融資を受けやすくなる
  • 市場が整備され流動性も高いので処分しやすい

価格は中古ワンルームなら1,000万円以下の物件もあります。しかし新築マンションの場合は首都圏の人気の高いエリアだと2,000万円を超えることも少なくありません。多くの場合、分譲会社がローンを紹介してくれるため、頭金は5~10%程度あれば問題ないでしょう。収益性の高い物件なら全額ローンが可能なケースもあります。

そのためまずは区分所有マンションへの投資から始める人が多い傾向です。区分所有マンションを取得後、何らかの事情で現金化が必要になっても中古マンション市場が整備されているため、比較的容易に売却できるというメリットもあります。

自分の意志だけでは自由にならない面もある

区分所有マンションはデメリットもあるため、その点を理解しておかないと後悔することになります。主な3つのデメリットは以下の通りです。

区分所有マンションのデメリット

  • 一棟マンションに比べて利回りが低い
  • 一棟なら空室リスクは分散できるが区分所有は入居者がいなくなると家賃収入はゼロに
  • 区分所有なので管理面など一人の意向で自由にできない

図表1 投資用マンションの利回りの推移 (単位:%)

一棟マンションに比べると物件価格は安いのですが、利回りはやや低くなります。図表1にあるように一棟マンションの8.37%に対して区分所有マンションは7.64%です。利回りを高くするためにマンションの外観をきれいにしたりペット可にして家賃を上げたりするなどして稼働率を向上させたいと思っても多数のオーナーがいるため自分一人ではなかなか自由に条件を設定することができません。

一棟マンションなら管理や修繕計画も自由に

一棟マンションであればオーナーは自分一人のため、管理や修繕計画などを独自の判断で進めることができます。定期的に外壁をきれいにして入居率が落ちないようにしたり思い切ってペット可にして家賃を高く設定したりするなどの判断も可能でしょう。

一棟マンションのメリット

  • 区分所有に比べて利回りが高い
  • 全戸空室になることは考えにくく賃料収入が安定している
  • 複数戸を所有することで経費などのスケールメリットを享受できる
  • 維持管理や長期修繕計画などを進めやすい
  • 土地がついているため資産価値を維持しやすい

先述したように利回りは区分所有マンションより高くなったり長期的な視点で資産価値の維持がしやすかったりするなどがメリットです。子どもや孫の代になるかもしれませんが老朽化して賃貸経営が難しくなってきたときには、入居者の退去後に思い切って更地にして売却したり建て替えたりするなどもできます。

土地がついている分、資産価値を維持しやすいだけではなく選択肢が広いことも特徴です。

デメリットは工夫次第で極小化できる

一棟マンションも区分所有マンション同様にデメリットはあります。デメリットをしっかりと押さえたうえで投資しないと判断を誤ったり後悔したりすることになりかねません。

一棟マンションのデメリット

  • 区分所有に比べて初期投資額が大きくなる
  • 金額が大きいため売却に手間取る可能性がある
  • 1ヵ所に集中しているので地震や水害などの災害によるリスクが大きい

一棟マンションのデメリットも事前に対策を講じておくことでリスクを極小化できます。例えば災害リスクについては、各自治体がHPなどで公表しているハザードマップでリスクの少ないエリアを確認しておくことは可能です。建物についても地震などの自然災害に強い構造になっていれば被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。

また多少のコストになりますが、火災保険や地震保険などに加入して万一に備えておけば被害にあったとしてもいち早く再建が選択できるでしょう。ただし区分所有マンションの場合、権利関係が複雑になって一棟マンションに比べるとなかなか簡単には手続きが進まないことがあるため、注意が必要です。

山下和之
山下和之
1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などの著書がある

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